異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

28．実食

「ぴゃっ！」
　かわいい声をあげて、ふわふわ天使が目覚めました。
自分が寝てた事に気が付いてなかった模様です。
全力投球感が子供らしくて良いです。
わんぱくでも良いので、たくましく育ってください。

そしてそろそろご飯かな？と、思っていたので丁度良いです。

「ぴょんぴょんしてたら眠くなったみたいね。よく寝てたよ。」
　頭を撫でながら、そう言うと、嬉しそうに目を細めた。
お、これが噂のなでぽか？
ただしイケメンに限るんじゃなけったっけ？
つまり、私はイケメンって事だな。

はーい、取り敢えず、汁が付いたままだった、手を拭きますね。
「あのね、一杯採れたの！食べる？」
　一回、寝て起きたら、元気いっぱいですね。
手を握ってふきふきしていると、目をキラキラさせて、一生懸命訴えかけてきます。

手足は細いままですが顔色も悪くないです。
昨日とは別人の様ですが、異世界チートアイテムのせいなのですかね？
それとも、この子自身の強さ的なものですかね？

解んないけど。
何にせよ、死の匂い色濃い状態っていうか、瀕死から1日で回復してくれてよかった。
医療関係の知識とかほぼ無いもんね。
とっとと治ってくれないと、私が不安でしねる。

ベッドの上に、ランチマットをひいて、プルプルの実を出して貰いました。

「でかっ！」
　私が驚愕の表情を浮かべた事が面白かったのか、フロルがきゃらきゃら笑っています。
愛ういのう……。
いや、しかし、木の下から見上げると……、今も見上げているけど、ちっちゃいんですよ。
イメージ的に言うと、スモモくらい？

フロルがポシェットから出したの、一個がポシェットと同じくらいの大きさある。
色は赤いけど、ヤシの実かダチョウの卵のイメージ。

……え、遠近法？
木の上、どのくらい距離があるの？

生でカットして食べたら良いのはゴクちゃんに聞いてたので、
異世界ウエットティッシュで表面をきれいに拭いて、異世界ナイフでカットします。
なにこれ、甘い桃みたいな良い匂い。
カットする感じも、柔らかいし、すごく美味しそう！

この実は、赤い間は種が無いそうで、もっと育つと、黒くなって実自体が種になるんだって。
もちろんゴクちゃん情報。
フロル待ってる間、食べる気まんまんで、色々聞いておいたんだ。

「はい、頑張ったフロルさんからどうぞ。」
　皮も食べても良いのだそうだけど、一個だけ皮を林檎うさぎの形にカットして渡す。
なんとなく、ご褒美のつもり。

「かわいい！」
　喜んでいるようで良かった。
そして私も実際に食べて見る。
美味しい！
天使のような美少年が収穫した果物美味しい！

マスカットとアップルマンゴーを足して桃で割った……と言うより、
全部の良いとこ取りした様な味でした。
野生種の果物で、これだけ美味しいとかすごい。