異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

32．金魚

「あっ！」
　唐突に思いだしたんですが、さっきの脱皮した皮って、このまつげ金魚もどきなのでは……。
え？でも、海の魚には脱皮する種類も居るらしいけど、私の知ってる金魚は脱皮しない……よね？
というか、帰ってくれないかなあ？

「なによ？何か気がついた事があるなら言ってごらんなさい。」
　ラクダみたいな睫毛まつげをばっさばっささせる、偉そうな金色の金魚。

「えー？何か、上から目線ですね。」
　色々思う所はあるけど、フロルに真似されたくないなあ。

「なによ、諦めなさい。んもう、失われた記憶ロストメモリーのヒントになるかと思ったのにぃ。」
　さっきから言ってる、失われた記憶ロストメモリーって何だ？
聞いて欲しいのかな？聞いたら帰ってくれるかしら？

「失われた記憶ロストメモリーって、もしかして記憶喪失？」
　だとすれば、記憶を失っても、濃いキャラですね？

「失われた記憶ロストメモリーって言ったらそれしかないでしょう？
　察しの悪い子ねえ……。」
　いらっとした。

「私の予想では……、上から目線だし、エレガントでブリリアントなので、お城に帰れ。」
　正直に言って、偉そうな人がいっぱいのとこに行ったら知り合いいるんじゃね？って思いました。
後は、ただ、巣に帰って欲しいです。

「……お魚食べる？」
　怯えていたフロルさんも復活ですが、恐る恐る聞かれても、……食べませんよ？

「お腹壊しそうだからやめとこうね。」
　癒し系のフロルに答えて金魚を見る。
居座る雰囲気だなあ……。
別に、うるさくしないなら構わないけど……。
何枠？

「何よ、失礼な子達ねえ。」
金魚も含め、ペットなんて飼ってなかったからなあ……。
金魚の餌ってなに？
ミジンコ？

……このサイズの金魚に見合ったサイズの、ミジンコって、一体どんなサイズなの？