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23.足
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「ところで、フロルの足なんだけど、動くかなあ?」
どういう事をして、どんな風に”潰した”のか解んないけど、
こんな可愛い子が、痛いとか辛いのは駄目です。
異世界から召喚した湿布さん、そろそろ結果を見せてください。
少し不安そうな顔でゆっくりと、頼りない細い足を伸ばし、雑草の絨毯を踏みしめて立ち上がる。
そして、大きな瞳からホロホロと涙をこぼし始めた。
「どこが痛いの?」
……なんてこった、異世界のアイテム万能説終了のお知らせだと思いつつ、
膝をついて手を伸ばすと、フロルは、足を動かし、腕の中に飛び込んで来て声を上げ、わんわん泣き始めた。
「痛くないの!動くの!」
その言葉を信じるなら、今まで痛くて怖くて辛かった事に蓋をして耐えていたのが、
一気に外れた反動だろうかと思った。
こんな小さい子になんて事をするんだと思う。
どうしよう、好きなだけ泣いて良いよと言うべきか、
まだ弱っているかもだから、泣きやませて水分を摂らせるべきか……。
何も言えなくて、熱気を放つ身体を抱きしめて頭と背中を撫で続けた。
暫くすると身体を離そうとしたので、撫でるのをやめると、照れた笑いで見上げて来た。
なんだこの可愛い生き物は……。
だがいかんぞ、目が腫れて居るではないか。
洗面器に水を張って顔を洗わせる。
顔を洗うのが下手可愛い。
……というか、やっぱり何しても可愛い。
服がびしょびしょになったので、着替えさせる。
ロングシャツにケーキの箱の赤いリボンという雑な格好だ。
取りあえず、森の中では、私しかいないし、良いよね。
ついでに湿布もはがす。
「折角歩けるようになったのだから、後でこのへんお散歩しようね。」
そう言うと、嬉しそうにしっぽがぶんぶん揺れた。
どういう事をして、どんな風に”潰した”のか解んないけど、
こんな可愛い子が、痛いとか辛いのは駄目です。
異世界から召喚した湿布さん、そろそろ結果を見せてください。
少し不安そうな顔でゆっくりと、頼りない細い足を伸ばし、雑草の絨毯を踏みしめて立ち上がる。
そして、大きな瞳からホロホロと涙をこぼし始めた。
「どこが痛いの?」
……なんてこった、異世界のアイテム万能説終了のお知らせだと思いつつ、
膝をついて手を伸ばすと、フロルは、足を動かし、腕の中に飛び込んで来て声を上げ、わんわん泣き始めた。
「痛くないの!動くの!」
その言葉を信じるなら、今まで痛くて怖くて辛かった事に蓋をして耐えていたのが、
一気に外れた反動だろうかと思った。
こんな小さい子になんて事をするんだと思う。
どうしよう、好きなだけ泣いて良いよと言うべきか、
まだ弱っているかもだから、泣きやませて水分を摂らせるべきか……。
何も言えなくて、熱気を放つ身体を抱きしめて頭と背中を撫で続けた。
暫くすると身体を離そうとしたので、撫でるのをやめると、照れた笑いで見上げて来た。
なんだこの可愛い生き物は……。
だがいかんぞ、目が腫れて居るではないか。
洗面器に水を張って顔を洗わせる。
顔を洗うのが下手可愛い。
……というか、やっぱり何しても可愛い。
服がびしょびしょになったので、着替えさせる。
ロングシャツにケーキの箱の赤いリボンという雑な格好だ。
取りあえず、森の中では、私しかいないし、良いよね。
ついでに湿布もはがす。
「折角歩けるようになったのだから、後でこのへんお散歩しようね。」
そう言うと、嬉しそうにしっぽがぶんぶん揺れた。
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