異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

ぬるちぃるちる

文字の大きさ
上 下
9 / 52

9.遭遇

しおりを挟む
あー、フィールド上って、やっぱりモンスター出るんだ……。

ゆっくりと噴射式殺虫剤を構えた手を降ろす。
緊張で、指先が白くなるほど強く握りしめた缶を元の空間に戻した。

いやもうね、黄色とも緑ともつかない蔦の絡まった木の陰から
いきなりショッキングピンクと黒のやばそうなやつが、
ぶんぶん言いながらいきなりエンカウントとか本当に……ね。

心臓に来るよね。
勘弁してくれですよ。

なんかね、もうね、めっちゃ羽音で威嚇されてたし、敵以外の何物でも無かったよね。
とっさに召喚した殺虫剤(人体には無害だが、モンスターは瞬殺)を吹きかけた私、グッジョブ。

ほら、私、ごく普通の現代日本人だから、武器とか触ったことないしね。
殺虫剤一択だよね。

それにしても、団体さんで来てたら、余裕で死んでたかも。
単体でよかった。

強張こわばりの残る手首を軽く振りながら、めちゃくちゃ悪そうな顔の、
咬まれたら絶対無事では済まされないすごいあごをしたピンク色の蜂が、
もがいて消えた後を見下ろすと、手の平サイズの水晶の様なものが残ってた。

「あれ何?」
 ゲームならドロップアイテムだって思うけど、現実には、触って良いものかどうかも迷う。

『カメラ機能で撮影してみて?』
 おっと、『あれ』と言う指示語では、伝わらなかったようです。

言われた通り、カメラで撮影すると、モンスターコア(小)と表示された。
拾っておくのが正解らしい。

(小)って事は、(中)とか(大)とかあるのだろうか?
手の平サイズで、(小)って事はこれより大きいのはどうなるんだろ?
鞄にばらばら入れるのもあれだし、モンスターコア用の袋は別にしとこう。

元の世界で余り使う機会のなかったウエストポーチを腰に巻いてそこに仕舞った。
確実に私のファッションは……、いや、考えるんじゃない、体で感じるんだ!

ウエストポーチに付与した能力は、ウエストポーチの中にある間は、大きさや重さが曖昧になる機能。
これで、モンスターコアを百個でも千個でも持ち運べるよ!
一体、何に使うのか、まだ把握してないけれど。

詳細な解説も出て来たから後で読んどこう。
取りあえず、拾って上衣のポケットに入れる。

街の入り口までに、威嚇してきた良く解らない虫(じっくりと観察する前に殺虫剤を噴射した為)を倒し、
モンスターコア(小)を3つ手に入れた。

いやー、私、剣とか全然無理だけど、殺虫剤なら結構な使い手かもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――

金斬 児狐
ファンタジー
 ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。  しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。  しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。  ◆ ◆ ◆  今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。  あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。  不定期更新、更新遅進です。  話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。    ※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...