23 / 50
転生石好き令嬢の生存戦略<後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の前編>
しおりを挟む
……で、あの後、めちゃくちゃ怒られた。
いやぁ……、なんて言うか、私。
男の子の生態を侮っていました。
……だって、この事は私達だけの秘密にしましょうねって言ったじゃない?
ベルだって、子供だけで山に入ったの解ったら怒られるって知ってたでしょう!
倉庫までならグレーゾーンだったけど、子供だけで庭に出たのはアウトだもの。
まあ、普段からこそこそ出たりしてるけど。
今日は、1日平和に、倉庫でアイテムを物色していたと言う事で、打ち合わせしたじゃない?
二人とも「わかった。」って確認したはずよ?
では、何故ばれたか?
それは、二人が服の下に、本日仕留めたあのムカデの一部パーツを隠し持ってきてしまったからだ。
そんな獲れたてつやつやの漆色の外骨格隠して、何故ばれないと思ったし。
いや、隠したからばれないと思ったのか?
……悪夢は母の一声から始まった。
「まあ二人とも、こだぬきさんの様なお腹、どうしたの?」
帰りに疲労からか、空っぽの割に重く感じるバスケットを持って楚々と歩いて来た私は、
お屋敷の入り口に偶然居合わせた母のその声を聞くまで、背後の二人の異変に気付いていなかった。
ぎょっとして振り返ると、二人とも服の中に明らかに何かを隠している。
焦って眼で問い詰めるも、二人してすっと逸らされた。
これでは、やましい事がありますと言っている様なものだ。
そして母に向き直り、笑顔で誤魔化そうとするベルと、何事も無かったかのような顔のシオン。
対照的な二人から距離を取って私は部外者ですという風を装ってみる。
「三人とも、ちょっとこっちにいらっしゃい。」
だが逃げられない!!
扇を畳んだ母の顔には、隠し事をしようとした子供達への静かな怒りが浮かんでいた。
シオンも一緒とはいえ、これは話が長くなりそうだ。
入口に近い小部屋で、母の閉じた扇の先端を柔らかほっぺにめり込ませたベルは、観念して、隠していたムカデの外骨格を服の下から取りだす。
私は脱力感も相まって、より一層重く感じたバスケットをそっとテーブルに置いた。
フィエブオオムカデの外骨格は、倒した直後の処理次第で、武器から薬まで色々なものが作れます。
食後にベルがシオンに説明しながら解体してるのが、とても良い子守唄代わりになって、
一人で日よけのパラソルの元、微睡んでいたツケがこんな形で現れると知っていたならば!
しっかり監修しておくべきでした。
これが、「後悔先に立たず」ですね。
「何故大きいままで……。」
せめて処理の際に、小さく切って持ってくるとか他に方法は有ったはず。
黒くてつやつやの、装飾用の処理がしてある背中側の関節一つ分ずつ机の上に置く二人に呆れて、思わず呻く様に呟いてしまう。
「そういう問題ではありません。」
母は、聞き洩らしてはくれなかったようで、即座に冷たい声で突っ込まれた。
以前だったら卒倒してたレベルの案件だと思うけど、母様ったら、最近逞しくなって来たなと思う。
……誰の所為かとかは聞かないでほしい。
漆塗りの鎧の腹部を連想させるつやつやのカーブを眺めつつ母の小言を聞き流していると、
さっきまで抱えていたバスケットが、テーブルの上でごそっと動いた気がした。
私以外気付いた様子はない。
気のせい?あれっ?疲れているのかしら?
そしてゆっくりと持ちあがったバスケット蓋の下で光る二つの目。
しっかりと目があってしまいました。
……そう、空の割に重いと思ったのは気のせいでは無かったのね……。
いやぁ……、なんて言うか、私。
男の子の生態を侮っていました。
……だって、この事は私達だけの秘密にしましょうねって言ったじゃない?
ベルだって、子供だけで山に入ったの解ったら怒られるって知ってたでしょう!
倉庫までならグレーゾーンだったけど、子供だけで庭に出たのはアウトだもの。
まあ、普段からこそこそ出たりしてるけど。
今日は、1日平和に、倉庫でアイテムを物色していたと言う事で、打ち合わせしたじゃない?
二人とも「わかった。」って確認したはずよ?
では、何故ばれたか?
それは、二人が服の下に、本日仕留めたあのムカデの一部パーツを隠し持ってきてしまったからだ。
そんな獲れたてつやつやの漆色の外骨格隠して、何故ばれないと思ったし。
いや、隠したからばれないと思ったのか?
……悪夢は母の一声から始まった。
「まあ二人とも、こだぬきさんの様なお腹、どうしたの?」
帰りに疲労からか、空っぽの割に重く感じるバスケットを持って楚々と歩いて来た私は、
お屋敷の入り口に偶然居合わせた母のその声を聞くまで、背後の二人の異変に気付いていなかった。
ぎょっとして振り返ると、二人とも服の中に明らかに何かを隠している。
焦って眼で問い詰めるも、二人してすっと逸らされた。
これでは、やましい事がありますと言っている様なものだ。
そして母に向き直り、笑顔で誤魔化そうとするベルと、何事も無かったかのような顔のシオン。
対照的な二人から距離を取って私は部外者ですという風を装ってみる。
「三人とも、ちょっとこっちにいらっしゃい。」
だが逃げられない!!
扇を畳んだ母の顔には、隠し事をしようとした子供達への静かな怒りが浮かんでいた。
シオンも一緒とはいえ、これは話が長くなりそうだ。
入口に近い小部屋で、母の閉じた扇の先端を柔らかほっぺにめり込ませたベルは、観念して、隠していたムカデの外骨格を服の下から取りだす。
私は脱力感も相まって、より一層重く感じたバスケットをそっとテーブルに置いた。
フィエブオオムカデの外骨格は、倒した直後の処理次第で、武器から薬まで色々なものが作れます。
食後にベルがシオンに説明しながら解体してるのが、とても良い子守唄代わりになって、
一人で日よけのパラソルの元、微睡んでいたツケがこんな形で現れると知っていたならば!
しっかり監修しておくべきでした。
これが、「後悔先に立たず」ですね。
「何故大きいままで……。」
せめて処理の際に、小さく切って持ってくるとか他に方法は有ったはず。
黒くてつやつやの、装飾用の処理がしてある背中側の関節一つ分ずつ机の上に置く二人に呆れて、思わず呻く様に呟いてしまう。
「そういう問題ではありません。」
母は、聞き洩らしてはくれなかったようで、即座に冷たい声で突っ込まれた。
以前だったら卒倒してたレベルの案件だと思うけど、母様ったら、最近逞しくなって来たなと思う。
……誰の所為かとかは聞かないでほしい。
漆塗りの鎧の腹部を連想させるつやつやのカーブを眺めつつ母の小言を聞き流していると、
さっきまで抱えていたバスケットが、テーブルの上でごそっと動いた気がした。
私以外気付いた様子はない。
気のせい?あれっ?疲れているのかしら?
そしてゆっくりと持ちあがったバスケット蓋の下で光る二つの目。
しっかりと目があってしまいました。
……そう、空の割に重いと思ったのは気のせいでは無かったのね……。
0
お気に入りに追加
696
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
釣った魚にはエサをやらない。そんな婚約者はもういらない。
ねむたん
恋愛
私はずっと、チャールズとの婚約生活が順調だと思っていた。彼が私に対して優しくしてくれるたびに、「私たちは本当に幸せなんだ」と信じたかった。
最初は、些細なことだった。たとえば、私が準備した食事を彼が「ちょっと味が薄い」と言ったり、電話をかけてもすぐに切られてしまうことが続いた。それが続くうちに、なんとなく違和感を感じ始めた。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる