愛するあの子は、わたしが殺した

ことは

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「リナちゃん、だめ―!!」

 叫び声と同時に、首にかかる圧力が消えた。

 一気に肺に空気が戻ってきて、瑞穂はゴホゴホとむせた。

「ママ、大丈夫?」

 目の前には心配そうに見守るリナ……ではなくマミが立っていた。

「マミちゃんが、またママを助けてくれたの?」

 瑞穂の問いかけに、マミはうんうんと泣きながらうなずいた。

「ありがとう。でも本当はママも、天国に行った方がいいのかも。リナちゃんのお母さんと同じ。ママはマミちゃんを死なせてしまったから」

「違うよ、リナちゃんとマミは違う」

 マミがブンブンと首を横に振る。

「マミはね、あの時はまだママの一部だったの。だから、マミは死んだけどママの一部も死んじゃったの。だからね、だから……」

 マミが泣きじゃくる。

「ママが生きていたら、マミも一緒に生きているんだよ。マミはママの一部なの。だからマミとママはずっと一緒なの。マミの言っている意味がわかる?」

 瑞穂は、黙ってうなずいた。正直なところ、本当の意味で理解できているかはわからなかった。

 瑞穂は、ごめんねと言おうとして言葉を飲み込んだ。きっとまたマミに、謝らないでと言われてしまう。

 でも今、これだけは伝えたかった。

「マミちゃん、愛してる。ずっとずっと愛しているよ」

「知ってる。知ってるよママ」

 マミが涙を流しながら、ひどく苦しそうな顔をする。

「――マミちゃん、大丈夫?」

「マミはね……ママが、幸せになるのを見届けたら……天国に……行く、つもりだったの」
 
 言葉が途切れ途切れになる。呼吸も荒い。マミは今にも倒れそうだ。

「でも……もう、無理」

「マミちゃん?」

「マミが……リナちゃんの魂、から、離れ、たら……リナちゃん、は……マ、マを……」

 マミがふらふらと揺れる。

「マミちゃん!」

「だから……マミ、行く……ね。リナちゃん……連れ、て……一緒に……天国、に……行く、ね」

「マミちゃん行かないで!」

 瑞穂はマミに手を伸ばした。

「だか、ら……おね……が……いママ」

「待って!」

 瑞穂は必死にマミを抱き寄せようとした。

 マミをその両腕に抱きしめようとした。

 だが瑞穂の両腕は虚無を掴んだ。
 
 誰もいない。



 ただ、声だけが聞こえた。



「ママ、幸せになって」


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