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第二章 ドラゴンハンター02 良知美鈴
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「美鈴ちゃんに抱っこされて、リラックスしちゃったみたいね、この子は」
いつの間にか、ピキは目を閉じて寝てしまったようだ。
「美鈴ちゃんは、ゆっくりこの子と心を通わせていくといいわ」
「心を通わせる?」
美鈴がたずねると、圭吾が答えた。
「ピキちゃんの気持ちがわかるようになったら、身守りドラゴンになってくれるよ」
「わたしにはわからない世界だけど、圭吾くんの言う通りらしいわね。ドラゴンハンターには、ドラゴンの気持ちがわかるんだって」
彩芽がうらやましそうに言った。
「ピキちゃん」
美鈴は愛情をこめて、ピキの名前を呼んだ。
ピキが、そっと目を覚ます。伸びをするように、翼を大きく広げた。
「ピキちゃん、飛びたがってる」
「飛ばしてやって」
圭吾がささやくように言った。
「ピキちゃん、飛んで」
美鈴の声に、ピキはフワリと浮いた。
「もっと高く」
美鈴が言うと、ピキは踊るように宙を舞った。美鈴の頭の上をクルクル回る。
「その調子」
圭吾が、美鈴の肩を叩く。
「戻ってきて」
美鈴は右手を差しのべた。すると、ピキは静かに美鈴の右手へ舞い降りた。
「ガラスのビンに入れてごらん」
圭吾が、美鈴の持っているビンを指さした。
「ピキちゃん、入って」
美鈴はそっとつぶやいた。ガラスのビンに入っているピキを想像する。
ふいに右手が軽くなった。見ると、左手に握られたガラスのビンに、ピキが入っている。
美鈴は瞬きを繰り返した。目の前で起きたことが信じられなかった。
「美鈴ちゃん、おめでとう」
彩芽がパチパチと拍手した。美鈴はその音を聞いて、やっと喜びがわいてきた。
「できた! できたよ、圭吾くん」
ピキの入ったビンを持って、飛び跳ねた。
「やったね」
圭吾も一緒に喜んでくれた。
「人に寄生していないドラゴンなら、美鈴ちゃんはもう捕まえることができるわ」
「本当ですか?」
美鈴は自信がなかった。
「でも、人に寄生しているドラゴンを見つけたら、ドラゴン研究所か圭吾くんに言ってね。慣れるまで、一人で戦うのは危険だわ」
「どうせわたしも、一人じゃまだ不安だし……」
美鈴は、圭吾を見上げた。
「大丈夫。なにかあったら、ぼくに言って。力になるから」
圭吾の言葉に、美鈴は小さな勇気をもらった気がした。
しばらくは圭吾にたよってみよう。美鈴は胸に手を当てた。この胸の中にある小さな勇気が大きくなって、一人で戦える日がきっと来る。
炎が灯ったみたいに、美鈴は胸の奥が熱くなった。
いつの間にか、ピキは目を閉じて寝てしまったようだ。
「美鈴ちゃんは、ゆっくりこの子と心を通わせていくといいわ」
「心を通わせる?」
美鈴がたずねると、圭吾が答えた。
「ピキちゃんの気持ちがわかるようになったら、身守りドラゴンになってくれるよ」
「わたしにはわからない世界だけど、圭吾くんの言う通りらしいわね。ドラゴンハンターには、ドラゴンの気持ちがわかるんだって」
彩芽がうらやましそうに言った。
「ピキちゃん」
美鈴は愛情をこめて、ピキの名前を呼んだ。
ピキが、そっと目を覚ます。伸びをするように、翼を大きく広げた。
「ピキちゃん、飛びたがってる」
「飛ばしてやって」
圭吾がささやくように言った。
「ピキちゃん、飛んで」
美鈴の声に、ピキはフワリと浮いた。
「もっと高く」
美鈴が言うと、ピキは踊るように宙を舞った。美鈴の頭の上をクルクル回る。
「その調子」
圭吾が、美鈴の肩を叩く。
「戻ってきて」
美鈴は右手を差しのべた。すると、ピキは静かに美鈴の右手へ舞い降りた。
「ガラスのビンに入れてごらん」
圭吾が、美鈴の持っているビンを指さした。
「ピキちゃん、入って」
美鈴はそっとつぶやいた。ガラスのビンに入っているピキを想像する。
ふいに右手が軽くなった。見ると、左手に握られたガラスのビンに、ピキが入っている。
美鈴は瞬きを繰り返した。目の前で起きたことが信じられなかった。
「美鈴ちゃん、おめでとう」
彩芽がパチパチと拍手した。美鈴はその音を聞いて、やっと喜びがわいてきた。
「できた! できたよ、圭吾くん」
ピキの入ったビンを持って、飛び跳ねた。
「やったね」
圭吾も一緒に喜んでくれた。
「人に寄生していないドラゴンなら、美鈴ちゃんはもう捕まえることができるわ」
「本当ですか?」
美鈴は自信がなかった。
「でも、人に寄生しているドラゴンを見つけたら、ドラゴン研究所か圭吾くんに言ってね。慣れるまで、一人で戦うのは危険だわ」
「どうせわたしも、一人じゃまだ不安だし……」
美鈴は、圭吾を見上げた。
「大丈夫。なにかあったら、ぼくに言って。力になるから」
圭吾の言葉に、美鈴は小さな勇気をもらった気がした。
しばらくは圭吾にたよってみよう。美鈴は胸に手を当てた。この胸の中にある小さな勇気が大きくなって、一人で戦える日がきっと来る。
炎が灯ったみたいに、美鈴は胸の奥が熱くなった。
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