魔法召いのリキ・ユナテッド

リオ

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魔法召いのブレェス

ふとよみがえる光景

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「それぞれに解散してくれ」

 シルビアとユキが空から帰ってきて全員が集う。それに気づいたサラビエルの発言にルーファースは赤ドラゴンのことを見上げた。

『僕に名前つけてよ』

 飛行中に、名前をつけてと赤ドラゴンに言われたルーファース。

『あのドラゴンさんは〝フェリス〟って、リキに名付けてもらったって言ってた。幸せなって意味なんだって』

 仕方ないとルーファースは考えぼそっと呟いた。

『……アフェクト』
『どういう意味?』
『知るか』
『自分で言っといて? まさかテキトー!?』

 アフェクトと名をつけられた赤ドラゴンは驚きつつ平静を取り戻す。

『まあつけてもらえただけで嬉しいからいいや。じゃあ父さんにも名付けてあげてよ』
『なんでお前の親なんか』
『お願い』
『あんな長く生きてそーなのに名前つけられてねえのかよ。つか名前なんて必要か?』
『必要だよ』
『デスタン……でいっか』
『いっかってなに!?』

 ふと思いついたであろうものにまたもや赤ドラゴン、アフェクトは突っかかる。

『その意味は?』
『運命』

 とりあえずも聞いたが、とてもいい意味にアフェクトは『僕の名の意味ないのに父さんのよすぎない? 僕の名前はーー』と叫んだ。致し方なく、ないわけじゃねえよとルーファースが言うと『じゃあなに?』と問う。

『影響する』

 アフェクトは静まる。かと思いきや『影響するってなに。僕何に影響するって言うの』と疑問は解決されなかった。

 別れなのだと感じてアフェクトを見たルーファースは二匹に名をつけたことを思い出す。赤ドラゴンにはアフェクトと、その親の黒ドラゴンにはデスタンと。



「ここにいるドラゴンには魔物を見つけたら抹消してほしい。デスタン……だったか? 私たちはこれからをゼロとしよう」
「お前が望むなら」
「やることがあるのでな、先に失礼する」

 自らを殺そうとしたサラビエルをデスタンは許すようだ。仇討ちとして誰かのため、襲ってきたということを考慮してなのか。

 踵を返し学園へ向かい歩いたサラビエルはふと止まり振り返る。
 それぞれ対話している姿。皆がいる石橋を見て過去の記憶が鮮明によみがえる。

 ある目的で学園まで連れてこられた黒ドラゴン。それまで静かにしていた黒ドラゴンが石橋で暴れたために学園の者たちが総出で対峙した。
 
 石橋の手すりが崩壊し落ちていくドラゴンに続いてある男が一緒に落ちていった。

 今では、首に絡まる鎖に苦しんでいるドラゴンを助けに行ったのだと理解している。

(ああ、クラウス。お前たちの後輩はお前に似ているよ。皆、相手のことばかり考えて……、馬鹿ばかりだ)

 それが奇跡を生んだ。いや、そうしようとすればいつでもできたんだ。自分が捻くれていた。

 ーーお前がドラゴンを助けようとしていたなんて気付かずに。いや、そのことを理解しようとなんてしてなかった。
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