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魔法召いのブレェス
罪滅ぼし1
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一緒に学園から出てきたサラビエル講師とリキは、全員が集う橋のところまで歩む。
「久しいな、リキ。無事でよかった」
目が合ったリキは「フェリスも」と言い微笑んだ。
フェリスとリキは別行動をしていた。
フェリスはルーファースに、ドラゴンへ謝罪させるためファウンズと共に。
リキはドラゴンへ危害を加えない世界にするためユキと同行していた。そのユキはサラビエル講師に殺されてしまった思ったのだが今では一時期奪われたという表現が正しいのだろう。
ユキが奪われて移動も簡単にできなくて頼りにしたロキとユークが力を貸してくれることになった。それから後にシルビアもついて来てくれることになったのだが途中で離れることになって。
いろいろあって今ではここに全員いる。
「会議した結果、一部のドラゴンには魔物退治を強力してもらうことになった。我々からのドラゴンへの手出しはなくなる。だが人間に危害を加えるようなドラゴンならこちらも抵抗はさせてもらう」
リキよりも前に出てサラビエル講師は堂々とした態度で言い切った。と思いきや、居心地悪そうに眼鏡のふちを押さえ直す。
「……これでいいだろ、罪滅ぼしは」
サラビエル講師は裏切り行為をした。黒ドラゴンを自分一人で倒すために。しかし力及ばず。
リキたちが来なければ命も取られてしまっていたかもしれない。
医務室のベッドで目が覚めたサラビエル講師にそのことをユークたちが話しても、倒さなければ気がすまないと身を引こうとせず。
どうしてそんなに執着しているのか問うと、ある人物の敵討ちだとサラビエル講師は答えた。
その人物を聞いたファウンズとユークはなんで今まで思い出さなかったのか、自分自身を不思議に思った。
それでも黒ドラゴンを退治するのは諦めろと、ファウンズは言い放った。黒ドラゴンには子供の赤ドラゴンがいて、その赤ドラゴンとルーファースが繋がっているから。
仲直りしたところをみると赤ドラゴンとルーファースは本当に親しい関係なのだろう。
やっと良い関係となったのだ。これからの世界にも重要な存在となるかもしれない。赤ドラゴンの親である黒ドラゴンを殺してその可能性を壊すわけにはいかない。
それにあれは事故だったんだ。
ファウンズの言葉にサラビエル講師は、わかっていたかのように目を伏せ辛そうな顔をした。
『確かにあれは事故だったのかもしれない。それでも、私のせいでもある。あのとき私が……』
『あんたのせいじゃない。ドラゴンを学園へ連れて来ようとしたやつが悪い。あんたが提案者なのか?』
『あのときはまだそういう口出しができる立場じゃなかった……』
『言うことを聞くしかなかったんだろ。それはもういい』
どうでもいいといった感じのファウンズにサラビエル講師はなぜか、許されるのかもしれないと感じた。
そして、敵討ちをしなければと強く思いながら、絶対に許されはしないとどこがで感じていたことを知る。
『あの人が望んだはずのない世界。サラビエル講師、あんたはそんな世界をつくりかけている。小さい頃はドラゴンの暴走に巻き込まれてあの人は亡くなったんだと思っていた。だが今の俺には、最後までドラゴンを守ろうとしていたように見える。そんなドラゴンをあんたは仇として倒そうとしていた』
サラビエル講師はそこではっとする。
『おかしいだろ? あの人が守ろうとしたものをあんたが消せば、あの人の死はあんたが無駄にしたも同然になる』
守ろうとしていた。あのドラゴンを。
目に映ったあの人の最後は、首に絡みつく鎖に苦しみながら橋から落ちるドラゴンを追うように自ら崖に飛ぶ姿だった。
脳裏で再生されたあの時の記憶を一切先入観なしに見たら確かにそうだったのかもしれない。
だとしたら呪縛魔法をドラゴンにかけた自分が本当に悪い……そう思い絶望するサラビエル講師はファウンズの言葉にまたもや救われる。
『あの人もあんたと同じで上の言うことを聞くしかなかった。リキの望む世界はあの人の見ていた世界と同じだと俺は勝手に解釈している。だからそれを実現してほしい』
初めてのファウンズからの頼み。いや命令なのかもしれない。
医務室の窓際のベッドにはリキが眠っている。そのベッドの両脇には椅子があり、窓の方のにはシルビアが、もう一つの方はロキが。
ルーファースは空いているベッドに座っている。
ファウンズの傍に立っているユークは無表情でファウンズと同じ真剣な顔をしている。が、話を聞くためサラビエル講師たちの方を向いているロキは静かに驚いていた。
ファウンズがこんなにも喋っていると。
いつも喋らないというわけではないが、無口な彼が一人でべらべらと喋ることが珍しかったのだ。
話を聞いていても細かいことまでよくわからないが「あの人」にお互い執着していることがわかる。それが誰かはロキは知らない。
『裏切り行為の罪滅ぼしをしてくれ』
罪滅ぼし。
それはリキへの裏切りに対してのもの。
ドラゴンと共存できる平和な世界を一緒に実現する。リキと約束をしたものの、そうしようともせず逆にその邪魔をした、悪化させようとした。
ユークも畳み掛けるようにそのことについて提案したのだ。
「久しいな、リキ。無事でよかった」
目が合ったリキは「フェリスも」と言い微笑んだ。
フェリスとリキは別行動をしていた。
フェリスはルーファースに、ドラゴンへ謝罪させるためファウンズと共に。
リキはドラゴンへ危害を加えない世界にするためユキと同行していた。そのユキはサラビエル講師に殺されてしまった思ったのだが今では一時期奪われたという表現が正しいのだろう。
ユキが奪われて移動も簡単にできなくて頼りにしたロキとユークが力を貸してくれることになった。それから後にシルビアもついて来てくれることになったのだが途中で離れることになって。
いろいろあって今ではここに全員いる。
「会議した結果、一部のドラゴンには魔物退治を強力してもらうことになった。我々からのドラゴンへの手出しはなくなる。だが人間に危害を加えるようなドラゴンならこちらも抵抗はさせてもらう」
リキよりも前に出てサラビエル講師は堂々とした態度で言い切った。と思いきや、居心地悪そうに眼鏡のふちを押さえ直す。
「……これでいいだろ、罪滅ぼしは」
サラビエル講師は裏切り行為をした。黒ドラゴンを自分一人で倒すために。しかし力及ばず。
リキたちが来なければ命も取られてしまっていたかもしれない。
医務室のベッドで目が覚めたサラビエル講師にそのことをユークたちが話しても、倒さなければ気がすまないと身を引こうとせず。
どうしてそんなに執着しているのか問うと、ある人物の敵討ちだとサラビエル講師は答えた。
その人物を聞いたファウンズとユークはなんで今まで思い出さなかったのか、自分自身を不思議に思った。
それでも黒ドラゴンを退治するのは諦めろと、ファウンズは言い放った。黒ドラゴンには子供の赤ドラゴンがいて、その赤ドラゴンとルーファースが繋がっているから。
仲直りしたところをみると赤ドラゴンとルーファースは本当に親しい関係なのだろう。
やっと良い関係となったのだ。これからの世界にも重要な存在となるかもしれない。赤ドラゴンの親である黒ドラゴンを殺してその可能性を壊すわけにはいかない。
それにあれは事故だったんだ。
ファウンズの言葉にサラビエル講師は、わかっていたかのように目を伏せ辛そうな顔をした。
『確かにあれは事故だったのかもしれない。それでも、私のせいでもある。あのとき私が……』
『あんたのせいじゃない。ドラゴンを学園へ連れて来ようとしたやつが悪い。あんたが提案者なのか?』
『あのときはまだそういう口出しができる立場じゃなかった……』
『言うことを聞くしかなかったんだろ。それはもういい』
どうでもいいといった感じのファウンズにサラビエル講師はなぜか、許されるのかもしれないと感じた。
そして、敵討ちをしなければと強く思いながら、絶対に許されはしないとどこがで感じていたことを知る。
『あの人が望んだはずのない世界。サラビエル講師、あんたはそんな世界をつくりかけている。小さい頃はドラゴンの暴走に巻き込まれてあの人は亡くなったんだと思っていた。だが今の俺には、最後までドラゴンを守ろうとしていたように見える。そんなドラゴンをあんたは仇として倒そうとしていた』
サラビエル講師はそこではっとする。
『おかしいだろ? あの人が守ろうとしたものをあんたが消せば、あの人の死はあんたが無駄にしたも同然になる』
守ろうとしていた。あのドラゴンを。
目に映ったあの人の最後は、首に絡みつく鎖に苦しみながら橋から落ちるドラゴンを追うように自ら崖に飛ぶ姿だった。
脳裏で再生されたあの時の記憶を一切先入観なしに見たら確かにそうだったのかもしれない。
だとしたら呪縛魔法をドラゴンにかけた自分が本当に悪い……そう思い絶望するサラビエル講師はファウンズの言葉にまたもや救われる。
『あの人もあんたと同じで上の言うことを聞くしかなかった。リキの望む世界はあの人の見ていた世界と同じだと俺は勝手に解釈している。だからそれを実現してほしい』
初めてのファウンズからの頼み。いや命令なのかもしれない。
医務室の窓際のベッドにはリキが眠っている。そのベッドの両脇には椅子があり、窓の方のにはシルビアが、もう一つの方はロキが。
ルーファースは空いているベッドに座っている。
ファウンズの傍に立っているユークは無表情でファウンズと同じ真剣な顔をしている。が、話を聞くためサラビエル講師たちの方を向いているロキは静かに驚いていた。
ファウンズがこんなにも喋っていると。
いつも喋らないというわけではないが、無口な彼が一人でべらべらと喋ることが珍しかったのだ。
話を聞いていても細かいことまでよくわからないが「あの人」にお互い執着していることがわかる。それが誰かはロキは知らない。
『裏切り行為の罪滅ぼしをしてくれ』
罪滅ぼし。
それはリキへの裏切りに対してのもの。
ドラゴンと共存できる平和な世界を一緒に実現する。リキと約束をしたものの、そうしようともせず逆にその邪魔をした、悪化させようとした。
ユークも畳み掛けるようにそのことについて提案したのだ。
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