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魔法召いのブレェス
夢ではない3
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最初はシルビアもリキたちと行動を共にしていた。
ある街でドラゴンを飛ぶ姿を見かけ追いかけることにしたのだが、丁度ファウンズとルーファースを見かけシルビアはそちらを追うことになったのだ。
手違いで討伐機関に渡してしまったドラゴンの討伐依頼。どうすればそれを破棄することができるのか。
ファウンズたちと対面できたシルビアはそのことについて話した。
リキたちがドラゴンを追って行ったことも言い、一緒に早く追いかけようと提案したのだがそれどころではなかったらしい。
ファウンズとルーファースは姿をなくしたフェリスを探していた。
いなくなったフェリスを探さなければならない。ドラゴンを追ったリキたちも追わなければならない。
フェリス探しよりもドラゴンを追ったリキたちと合流する方が何かと危険で二人で行く必要がある。シルビアとファウンズで行くのが一番良いがそれは駄目だとファウンズは言った。ルーファースを一人にするのは信用できないと。
そうなると必然にシルビアとルーファースで行くことになるが組み合わせとしては今まで一緒にいたファウンズとルーファースが良い。
二つを天秤にかけてシルビアはフェリス探し、ファウンズとルーファースにリキたちを追ってもらうことにした。
それでシルビアはフェリスと赤ドラゴンに出会い、ドラゴンが向かった方角ーー学園にフェリスの背中に乗り赤ドラゴンを連れて来たらしい。
部屋が定員オーバーでここにいないフェリスは、ファウンズたちと同行していたのだが休憩中に離れているとき、赤ドラゴンの姿を見つけこの機はないと自分だけで追ってしまったと。
それでばらばらになってしまった皆はこうして医務室に集まった。
シルビアの話を聞いていて未だベッドの上にいるリキの前にルーファースが姿を現わす。「起きたんだ」とユークが言う。他のベッドで寝ていたらしい。
「ルーファース……ドラゴンへの謝罪は済んだの?」
「ああ、まあな。それより、お前が呑気に寝てるときに俺たちがあの黒ドラゴンを始末してやったんだぞ」
「図々しい。少し手合わせしただけだろ」
気をそらすように視線を外し話題を変えたルーファースの隣へファウンズがやってくる。
あの時、リキは寝ていたのではなく気絶していたのだ。
「あのドラゴンは殺してしまったの?」
ルーファースの『始末した』という発言。
確かに黒ドラゴンは始末しなければならない存在だったのかもしれない。学園を滅ぼしにやってきたと決意を心に決めていたようだったから。
それでもーー黒ドラゴンを始末した、という言葉とユキが殺されてしまったことが重なってそうであってほしくないとリキは微かに思った。
サラビエルに殺されてしまったと思っていたユキはなぜか目の前にいるけれど、亡くなってしまったという喪失感は未だ覚えている。自分のせいであったからこそそれは大きかった。
だから黒ドラゴンもユキのように生きていてほしいと思う。
「こいつの謝るべきドラゴンが何の縁があってか黒ドラゴンの生き別れの子供で、そいつのおかげで平和的解決をした」
「ということは黒ドラゴンは生きてる?」
ファウンズが肯定するのを見てリキは安心し、別に視線を移す。
ユキを見上げ、疑問に思っていたことを問う。
「それでユキはどうして……。あの時死んでしまったんだって思った」
「私もそう思った。しかし眠っていただけらしい」
ユキが言うには、あの首を鎖で締め苦しめる魔法をサラビエルは力を抑えて使った。黒ドラゴンをやっつけるのにユキの存在が邪魔になるのではないか、と心配してやったことなのだとサラビエルは言ったと。
サラビエルと直接話がしたいとリキが切り出すと、サラビエルは講師たちと会議中で話せないようだ。やっと本格的にドラゴンとの共存する世界を考えられているとのこと。
あまりリキは深く考えてはいなかったが、学園を中心に世界は回っているらしい。討伐機関が重要な所だと思っていたが一番は身近な学園だった。
ここは窮屈だ、とのことでユキは医務室から出ていく。
リキは考えがあってサラビエルの会議室に向かうことにした。なんでとロキに聞かれる。自分に関係のあることだからと答えると次にユークが「サラビエル講師は一度、ドラゴンと共存できる世界を一緒につくる、なんていう約束をしながら裏切った。だから今度は本当にその世界を、サラビエル講師に何があっても必ず実現させてもらう。そういう形で報いを受けてもらうことにしたんだ」と。
ユークの口からそんな言葉がでてくるなんて思わなかった。
裏切られたこともあったから、これを機に力を貸してもらえたらなんて期待した。
「それでも私は微力かもしれないけど力になりたい。フェリスの生きやすい世界にするって約束したから、ユキにものびのびと暮らせるようになってほしいから。サラビエル講師だけには任せられない」
会議室に行くと決めたリキを止める者はいなかった。外で待っているとファウンズが出て行く。
シルビアたちはリキの背中を見送ってからファウンズに続いていった。
ある街でドラゴンを飛ぶ姿を見かけ追いかけることにしたのだが、丁度ファウンズとルーファースを見かけシルビアはそちらを追うことになったのだ。
手違いで討伐機関に渡してしまったドラゴンの討伐依頼。どうすればそれを破棄することができるのか。
ファウンズたちと対面できたシルビアはそのことについて話した。
リキたちがドラゴンを追って行ったことも言い、一緒に早く追いかけようと提案したのだがそれどころではなかったらしい。
ファウンズとルーファースは姿をなくしたフェリスを探していた。
いなくなったフェリスを探さなければならない。ドラゴンを追ったリキたちも追わなければならない。
フェリス探しよりもドラゴンを追ったリキたちと合流する方が何かと危険で二人で行く必要がある。シルビアとファウンズで行くのが一番良いがそれは駄目だとファウンズは言った。ルーファースを一人にするのは信用できないと。
そうなると必然にシルビアとルーファースで行くことになるが組み合わせとしては今まで一緒にいたファウンズとルーファースが良い。
二つを天秤にかけてシルビアはフェリス探し、ファウンズとルーファースにリキたちを追ってもらうことにした。
それでシルビアはフェリスと赤ドラゴンに出会い、ドラゴンが向かった方角ーー学園にフェリスの背中に乗り赤ドラゴンを連れて来たらしい。
部屋が定員オーバーでここにいないフェリスは、ファウンズたちと同行していたのだが休憩中に離れているとき、赤ドラゴンの姿を見つけこの機はないと自分だけで追ってしまったと。
それでばらばらになってしまった皆はこうして医務室に集まった。
シルビアの話を聞いていて未だベッドの上にいるリキの前にルーファースが姿を現わす。「起きたんだ」とユークが言う。他のベッドで寝ていたらしい。
「ルーファース……ドラゴンへの謝罪は済んだの?」
「ああ、まあな。それより、お前が呑気に寝てるときに俺たちがあの黒ドラゴンを始末してやったんだぞ」
「図々しい。少し手合わせしただけだろ」
気をそらすように視線を外し話題を変えたルーファースの隣へファウンズがやってくる。
あの時、リキは寝ていたのではなく気絶していたのだ。
「あのドラゴンは殺してしまったの?」
ルーファースの『始末した』という発言。
確かに黒ドラゴンは始末しなければならない存在だったのかもしれない。学園を滅ぼしにやってきたと決意を心に決めていたようだったから。
それでもーー黒ドラゴンを始末した、という言葉とユキが殺されてしまったことが重なってそうであってほしくないとリキは微かに思った。
サラビエルに殺されてしまったと思っていたユキはなぜか目の前にいるけれど、亡くなってしまったという喪失感は未だ覚えている。自分のせいであったからこそそれは大きかった。
だから黒ドラゴンもユキのように生きていてほしいと思う。
「こいつの謝るべきドラゴンが何の縁があってか黒ドラゴンの生き別れの子供で、そいつのおかげで平和的解決をした」
「ということは黒ドラゴンは生きてる?」
ファウンズが肯定するのを見てリキは安心し、別に視線を移す。
ユキを見上げ、疑問に思っていたことを問う。
「それでユキはどうして……。あの時死んでしまったんだって思った」
「私もそう思った。しかし眠っていただけらしい」
ユキが言うには、あの首を鎖で締め苦しめる魔法をサラビエルは力を抑えて使った。黒ドラゴンをやっつけるのにユキの存在が邪魔になるのではないか、と心配してやったことなのだとサラビエルは言ったと。
サラビエルと直接話がしたいとリキが切り出すと、サラビエルは講師たちと会議中で話せないようだ。やっと本格的にドラゴンとの共存する世界を考えられているとのこと。
あまりリキは深く考えてはいなかったが、学園を中心に世界は回っているらしい。討伐機関が重要な所だと思っていたが一番は身近な学園だった。
ここは窮屈だ、とのことでユキは医務室から出ていく。
リキは考えがあってサラビエルの会議室に向かうことにした。なんでとロキに聞かれる。自分に関係のあることだからと答えると次にユークが「サラビエル講師は一度、ドラゴンと共存できる世界を一緒につくる、なんていう約束をしながら裏切った。だから今度は本当にその世界を、サラビエル講師に何があっても必ず実現させてもらう。そういう形で報いを受けてもらうことにしたんだ」と。
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会議室に行くと決めたリキを止める者はいなかった。外で待っているとファウンズが出て行く。
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