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魔法召いのブレェス

夢ではない2

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「リキちゃん……」

 寝ぼけながらに見つめたまま名を呼ぶ。
 ベッドにうつ伏せになって寝ていたシルビアは数回瞬いたあと、前触れもなくリキに飛びついた。それまでシルビアが座っていた椅子が勢いよく倒れ音をたてる。

「シルビアくん……?」

 衝撃で倒れそうになりながらもリキは腕で自分の体を支えた。
 なぜ彼がここにいるのか、不思議に思いながらも他のことが頭をかすめる。

「ユークさんは?」

 その問いかけにシルビアは無反応だった。
 というのも「無事で良かった」という言葉に重なってしまったのだ。
 どうしてこんなに必死なのだろう。彼を悲しませるようなことをしてしまっただろうか。
 そんなことを思いながらもう一度聞こうかとリキが考えていたときシルビアは離れた。正確にいうとはがされたようだ。

 ロキがシルビアの首根っこを持って怒ったような顔をしている。起きたばかりですごい形相だ。

「なにするの」
「何してんだ。こっちのセリフだ」

 リキから見て右側にシルビアと同じようにベッドにうつ伏せになっていたロキ。本当に起きたてなのだろう。シルビアに対しての言葉遣いがおかしい。

「ユークさんは」
「俺ならここにいるけど?」

 リキの問いかけにカーテンに手を添えユークは姿を現した。
 横だけカーテンに遮られて、いても見えなかったのだろう。

「良かった……」

 なぜかシルビアがいて、あの時まで一緒にいたユークがいなくて心配だった。大きな怪我でもしているのではないかと。けれどそうではなくてとても安心した。
 リキが緩む表情でユークを見ていると視界いっぱいにロキの顔が映る。

「俺もいるけど?」

 とても不機嫌そうだ。眠気もまだ抜けきっていないのだろう。目が怖い。

「なんでそんな嬉しそうなわけ?」
「二人とも無事だったんだって思って」
「俺見てそんな顔したっけ?」
「してないかもだけど」
「なんでしねえの?」

 まるで酔っ払いのようだ。いつものロキならこんなに顔を近づけてはこない。半分意識も薄いのではないだろうか。

「目が覚めたとき一番にロキを見たから無事だったんだって思ったの。だけどユークさんがいなくて。それでなぜかシルビアくんがいて。どうしてシルビアくんここにいるの?」
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