59 / 71
魔法召いのブレェス
赤ドラゴンとの仲直り4
しおりを挟む
「いいよ」
静寂から聞こえてきたのはありえもしない返答だった。
思わずルーファースは「は?」とこぼす。
顔を上げ初めて成長した赤ドラゴンの瞳をちゃんと見て、信じられないというような声で問いかける。
「許してくれるのか?」
「もういい。あのとき君は子供でボクも子供でお互いに許し合えなかった。それだけだったんだ。ボクも酷いこと言ってごめんなさい。謝ってくれてありがとう」
「なんで礼なんか言うんだ」
礼を言われたことにルーファースは心底驚いた。
「嬉しかったから。これで仲直り」
「なか、なおり……」
誰かと喧嘩をし、謝り、仲直りするなんてことルーファースはしたことがなかった。
いけないことをしてしまって、もう絶対に戻らないと思っていた。
別に元の関係に戻りたいとかは思っていなかった。
それでも初めてのことに知らずに胸が高鳴った。
ーー赤ドラゴンとまた普通に話せることが嬉しいのか?
錆びた鎖が解けて、半透明の壁がなくなったようだ。
この高鳴りはなんなのかルーファースは考えたが答えがでない。
「話を聞いていれば……」
聞きなれない声を耳にしてルーファースは我にかえる。ファウンズたちもそうだろう。
赤ドラゴンの後ろを見ると黒ドラゴンがこちらを見ていた。
当然だ、さっきまで戦っていた相手なのだから。
ドラゴンやら人間やらの乱入で黒ドラゴンは忘れさられていた。
学園を壊しにやってきた脅威的なドラゴンを端においてのんきに話をしていたなんてとんだ笑い話だ。黒ドラゴンもよく終わるのを待っていてくれた。
怒って攻撃でもしてくるのだろうと全員身構える。
黒ドラゴン一体に対してドラゴン二体に男四人。どちらかといえば黒ドラゴンの方が不利だ。しかし力の力量の差はわからない。
警戒するにこしたことはない。
「お前は我の息子か?」
「……とうさん?」
落ち着いた黒ドラゴンの問いかけと赤ドラゴンの返答にその場の空気が静まった。
静寂から聞こえてきたのはありえもしない返答だった。
思わずルーファースは「は?」とこぼす。
顔を上げ初めて成長した赤ドラゴンの瞳をちゃんと見て、信じられないというような声で問いかける。
「許してくれるのか?」
「もういい。あのとき君は子供でボクも子供でお互いに許し合えなかった。それだけだったんだ。ボクも酷いこと言ってごめんなさい。謝ってくれてありがとう」
「なんで礼なんか言うんだ」
礼を言われたことにルーファースは心底驚いた。
「嬉しかったから。これで仲直り」
「なか、なおり……」
誰かと喧嘩をし、謝り、仲直りするなんてことルーファースはしたことがなかった。
いけないことをしてしまって、もう絶対に戻らないと思っていた。
別に元の関係に戻りたいとかは思っていなかった。
それでも初めてのことに知らずに胸が高鳴った。
ーー赤ドラゴンとまた普通に話せることが嬉しいのか?
錆びた鎖が解けて、半透明の壁がなくなったようだ。
この高鳴りはなんなのかルーファースは考えたが答えがでない。
「話を聞いていれば……」
聞きなれない声を耳にしてルーファースは我にかえる。ファウンズたちもそうだろう。
赤ドラゴンの後ろを見ると黒ドラゴンがこちらを見ていた。
当然だ、さっきまで戦っていた相手なのだから。
ドラゴンやら人間やらの乱入で黒ドラゴンは忘れさられていた。
学園を壊しにやってきた脅威的なドラゴンを端においてのんきに話をしていたなんてとんだ笑い話だ。黒ドラゴンもよく終わるのを待っていてくれた。
怒って攻撃でもしてくるのだろうと全員身構える。
黒ドラゴン一体に対してドラゴン二体に男四人。どちらかといえば黒ドラゴンの方が不利だ。しかし力の力量の差はわからない。
警戒するにこしたことはない。
「お前は我の息子か?」
「……とうさん?」
落ち着いた黒ドラゴンの問いかけと赤ドラゴンの返答にその場の空気が静まった。
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる