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魔法召いのブレェス
赤ドラゴンとの仲直り2
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『なんで連れていかれたんだろう』
『俺の、せいだ。俺がお前の親ドラゴンの居場所、教えた。だから』
『どうして? どうしてボクのとうさん連れていかれちゃったの?』
『わからない』
『一緒に探しに行こう?』
『できない』
『どうして?』
ルーファースは思い出した。
ドラゴンを学園に連れていき研究することができれば……と大人がこぼしていたことを。
なんでこんなときに思い出すんだ。思い出さなければ被害者でいられた。
己の軽率な行動にルーファースは後悔した。
『学園に連れて行かれたんだ。もう、戻ってこれないかもしれない……』
『どういうこと?』
赤ドラゴンの純粋に問う瞳が自分を責めているようにルーファースは感じた。
『……お前の父親は戻ってこねえって言ってんだ』
『だからなんで』
『さっきからなんでとかどうしてとかうるせえんだよ。もう戻ってこないって言ったら戻ってこねえんだよ』
『なんでそういうこと言うの? きみはボクのとうさんを助けてくれないの?』
『もう助からねえんだよ。ーーもう、死んだんだよ』
逆ギレしてしまった。思わず嘘も飛び出した。
ルーファースはもう後戻りできなくなった。赤ドラゴンを傷つけるという行為からどう抜け出せばいいのか小さい頃のルーファースにはわからなかった。
『……それって、あの人たちがボクのとうさんを殺したってこと? そんなことをする理由は……』
『人間にとってドラゴンは異質なんだ。だから俺たちは敵同士なんだ』
『そうだとしたらきみは、ボクから親をとるためにボクと仲良くした、ってそう言いたいの? ボクを騙したの?』
『ああ』
『きみも、そうなんだね。ボクの母親は人間に騙されて殺されたってとうさんが言ってた。だからきみのことも信じるなって。だけどボクはきみのことを信じてた、きみのことが好きだった。それでもきみは違ったんだ。……もう、さよならだ』
どこかへ行こうと背中を向ける小さな赤ドラゴンにルーファースは焦った。
『……どこ行くんだ?』
『きみには教えない。裏切られるから』
指摘されたルーファースの心がずきっと傷む。
親ドラゴンのことを言っているのだろう。自分が居場所を教えたせいで連れ去られた。
狙われたばかりの親ドラゴン。いつ赤ドラゴンも狙われるかわからない。
ドラゴンは普通の人間と比べものにならないほど強いが赤ドラゴンはまだ小さな子供。そんな子供が一匹でいれば狙われやすいのは当然。
言葉に詰まったルーファースだがそれでもと、赤ドラゴンが一匹で生きようとしていることを止めなければと思った。
『俺の、せいだ。俺がお前の親ドラゴンの居場所、教えた。だから』
『どうして? どうしてボクのとうさん連れていかれちゃったの?』
『わからない』
『一緒に探しに行こう?』
『できない』
『どうして?』
ルーファースは思い出した。
ドラゴンを学園に連れていき研究することができれば……と大人がこぼしていたことを。
なんでこんなときに思い出すんだ。思い出さなければ被害者でいられた。
己の軽率な行動にルーファースは後悔した。
『学園に連れて行かれたんだ。もう、戻ってこれないかもしれない……』
『どういうこと?』
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『……お前の父親は戻ってこねえって言ってんだ』
『だからなんで』
『さっきからなんでとかどうしてとかうるせえんだよ。もう戻ってこないって言ったら戻ってこねえんだよ』
『なんでそういうこと言うの? きみはボクのとうさんを助けてくれないの?』
『もう助からねえんだよ。ーーもう、死んだんだよ』
逆ギレしてしまった。思わず嘘も飛び出した。
ルーファースはもう後戻りできなくなった。赤ドラゴンを傷つけるという行為からどう抜け出せばいいのか小さい頃のルーファースにはわからなかった。
『……それって、あの人たちがボクのとうさんを殺したってこと? そんなことをする理由は……』
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『そうだとしたらきみは、ボクから親をとるためにボクと仲良くした、ってそう言いたいの? ボクを騙したの?』
『ああ』
『きみも、そうなんだね。ボクの母親は人間に騙されて殺されたってとうさんが言ってた。だからきみのことも信じるなって。だけどボクはきみのことを信じてた、きみのことが好きだった。それでもきみは違ったんだ。……もう、さよならだ』
どこかへ行こうと背中を向ける小さな赤ドラゴンにルーファースは焦った。
『……どこ行くんだ?』
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