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魔法召いのブレェス

それぞれの1

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 各地に、魔物を抹消する者が集うための機関が置かれている。学園から卒業したものは大半そこに所属する。魔物をどう倒すか学んできたのだから当然だが、それがひとつの道だとは限らない。

 魔物を抹消する、同じ目的で集う者たちをひとまとめにいうと隊という。隊がいる機関はいくつかある。まず西にあるのがーー『ブリゲイド』。そこに所属しているフウコとシルビア。フウコは珍しく、ライハルトと同じ場所ではなかった。

「意外ね。あの男と一緒じゃないなんて」
「いたくもないのにずっと一緒で嫌気がさしてね、わざと違うところに入ったの。悪い?」
「別に。いいんじゃない」
「シルビアとの連携の方が上手くいってるし、いい感じ。あんたこそ派遣なんてよくやるわね」
「何かと楽だし、ひとつのとこに留まるのがいやなの。緊急で呼び出されたら来てあげるわ」

 ロザントは派遣としてブリゲイドに来ていた。ターゲットの魔物を倒し用が終わればロザントは去って行った。



 そしてまた別の日。北にある『フォース』からロザントに要請が入った。

「雑魚だ。適当に滅殺する」
「ーー了解」
「(この二人なんなの、作戦というものがないの。まあ雑魚だからいいけど)」

 ロザントは前にする二人に呆れかえっていた。学園を一番に卒業したユークと、追いかけるかたちで卒業したロキ。この組み合わせはなんら不思議ではないが、作戦のなさといい猪突的なところ特にロキ。涼しい顔して魔物に突っ込んでこれまたユークも涼しい顔して援護するかたちでついていって……。

「ロキ、適当すぎるのは良くないよ。って、いつも言ってるよね」
「テキトーが最強とか馬鹿みたいなこと思ってないけど、考えるの面倒だからそういうのはあんたに任せるって、いつも言ってるよな」
「(なんとなく連携になってる……?)」

 喋りながらも魔物を退治している。これもこれである意味ひとつの連携方法なのかも……と思わなくもなかったロザントだった。

 お互い反発しているようでしていない、しているとしたらそれが連携に繋がっていてーー背中の重さを預けあっているかのような、支えあっているといったら少し違う。
 そんなふうに見えると言ったら不本意だとロキは顔をしかめるだろう。本人たちにそんな気がなくとも、戦いにはその人らの絆やらが見えてくる。

 何もしないというわけにはいかず、ロザントは魔法で援護した。
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