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転生先は悪役令嬢?
しおりを挟む私、悪役令嬢じゃん────。
私の名前はマリア・フローレンス。
先月8歳になったばかりのフローレンス家公爵令嬢。
今さっき戸棚に足の小指をぶつけ、あまりの痛みにひっくり返って地面に後頭部を叩きつけ、その拍子に前世の記憶なるものを思い出した数奇な女の子である。
「はわわ、転生ってほんとにあるんだぁ......。」
滅茶苦茶リアルな夢という可能性も考え幼女のぷにぷにほっぺをぎゅっと摘んでみたけれど、しっかり痛いので前世で何百回と見た転生でいいのだろう。
「お嬢様!大丈夫ですか?!」
「あっ、大丈夫よ!少しぶつけただけです!」
そうだった、さっき盛大にすっ転んでいたんだった。フリーズしてぶつぶつ呟いていたせいで使用人さんにいらぬ心配をかけてしまった。
このままだと上手く今入ってきた記憶を整理できないな……そうだ!
「私、へやにもどります。」
一言いってから今までいたダイニングフロアを出てさっき心配してくれた使用人さんを連れて自室に戻った。そして使用人さんにお礼を言って1人にして欲しい旨を伝える。
私は部屋に1人になったことを確認し、頭の中を整理し始めた。
思い出した前世は、ごく普通の女子高生(しかし一般人に擬態したオタク)だった。
帰り道で通り魔にブスッとお腹を刺されてじわじわと死んだらしい。死因を考えるとふつふつ怒りが込み上げてきたので、次は今世のことを整理し始める。
今いる場所はセスター王国のフローレンス邸。
家族構成は父、母、兄、私の4人家族で別邸に祖母が1人。
今までマリア・フローレンスとして過ごした思い出やマナー等も問題なく思い出せた。
しかし、そうしてマリアの記憶を思い出していくと、とある問題を見つけた。
それが冒頭のセリフである。
「や、やばいのでは…?立場とか設定、そのまんま悪役令嬢みたいなのだけれど……!」
そう、このマリア・フローレンスという少女はどうも悪役令嬢臭をぷんぷんさせたご令嬢だった。
まず、マリアには第1王子の婚約者がいる。
第1王子はまさに正統派王子様で、淡い金髪に深いグリーンの瞳を持つ白皙の美男子である。
そしてこの婚約は、美しい王子に一目惚れしたマリアが一人娘に甘い父に無理を言って結んで貰った婚約だったのだ。
もうこの時点でもう悪役令嬢にリーチをかけている。
そして私が“ 悪役令嬢 ”だと確信したのは、もう1人の婚約者についてである。
(蛇足だが記憶を整理していてこの情報を思い出した時、前世の私は婚約者2人???とクエスチョンマークを飛ばしたが、今世のこの国、王子には2人の婚約者を立てることが義務のようになっている。)
その娘は伯爵令嬢であり、白銀の髪に桃色の瞳を持ったひっっっじょうに可憐な美少女であった。そして彼女に会った時、マリアはこう言ったのだ
「あなたみたいな女が、王子のとなりにたてると思わないことね!」
はいアウトー!!!!!
こうしてマリア=悪役令嬢という方程式が完成した…。
今思い起こすと、さっきお礼を言った使用人さんの顔が驚愕に染まっていたな…マリアはお礼とか言わない子だった……悪役………
.........いや、まだ悲観するには早い。まだマリアは8歳になったばかり、これなら若気の至りで済ませられる。ここから心を入れ替えて行けば、まだ挽回できる!
悪役令嬢から国の為に尽くす忠義の令嬢になろう!
そうと決まれば…!
「目指せ、悪役令嬢回避エンド!」
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