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エミアンローズの手紙2
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「エミアンローズはやり直せたということでしょう。それで、ララシャ宛ての手紙を預かっていて、私に渡すか判断して欲しいということなの」
「そういうことですか、報告によると変わりなないそうです」
ララシャと言えば、変わりない。いや、思考が一切、変わらないのである。
「仕事には行っているのよね?」
「休むこともあるそうですけど、一応行ってはいます。お金がないと食事が出来ませんし、あれでも公爵令嬢や王子妃だったことで、物乞いするようなことは出来ないとプライドはあるようですから」
「そこにはプライドがあったのね…」
休み過ぎて給料が少なかった月は、衣住には困らなかったが、食事に困ることになり、だからと言ってご馳走して貰うならともかく、恵んで貰うことはララシャには許せないことだった。
サイラスは、一ヶ月に一度、地区の管理者の報告を受けている。
「王太子殿下の婚約者ということが、あれと周りを助長させ、さらにリベル殿下に見初められたことで、天高く舞い上がったのだろう」
「叩き付けられただけでしたけどね」
「自業自得だ、誰かが嫌がらせをしたわけでもないのに、自らが驕っただけだろう」
ララシャがいくら悪かったとして、陥れられたというのなら、まだ何か出来たかもしれないが、完全なる一人で暴走した結果である。
そして、公になったララシャは王子妃に相応しい行動を取れないことで、行事も参加させて貰えなかったこと。ピデム王国に居座っていただけの存在であった。
サイラスは本当に恥ずかしかった。どうしてこんなに二人の妹は、両極端に違うのだろうか。
やらなかった者は、実績が浮き彫りなった。ララシャはよくもここまで騙せてはいなかったが、問題にされなかったと思った。
「ララシャは高く上がった感覚が、ないのかもしれないわね」
「ああ…そうか、そうかもしれぬな」
ララシャにとって王子妃も当然であり、これからもこの生活が続くことを疑ってすらいなかった。
「それでも、変わらないというのは、ある意味才能ですわね」
「ああ、まだ誰かが迎えに来てくれると思っているのでしょう」
「誰かララシャを訪ねて来たり、お手紙があったりは?」
「ありません」
「友人と言っていた方も?」
「ああ、誰一人おりません」
「そう…」
ロアンスラー公爵邸に来ていた友人たちは自滅した者もいるが、そうではない者はまだいるはずだが、誰も関わらない選択をしたということだろう。
「結婚のことは、誰かから聞くことになるでしょう」
「そうですね」
「手紙を書いたりはしていないのかしら?」
「出し方が分からないのと、手紙も自分でほとんど書いたことがないと思います」
「手紙を?」
「公爵邸では、侍女に代筆させていた」
「え?」
ソアリスも、ララシャのそのような事情は知らないことであった。
「そうか!字が子どもみたいだから」
「ああ、だから代筆させていたんだ。持って行ったのは、誰も書いてくれなかったから、自分で書いたのだよ」
「あれが届いたら、いたずらかと思うわよね」
「ああ」
「マーニー夫人は、どう思う?」
「はい、また余計なことを考え出すのではないでしょうか」
ララシャにとっては、待ちに待った手紙だろう。だが、そんな物を渡せば、調子の乗ることは間違ない。
「私も一緒に暮らすと?」
「その通りです」
「それは絶対に言い出すでしょうね。迎えに来てくれると待っているだけならいいけど。でもね、決別が書いてあるそうなの。ただ、ララシャが真剣に受け取るかどうかなのよね」
「はい…」
書いてある通りに受け取らないのが、ララシャである。誰かに書かされている、騙されているなどと言い出すだろう。
「少しは痩せたのかしら?」
「少しは痩せたようですけど、元のような姿ではありません」
「そういうことですか、報告によると変わりなないそうです」
ララシャと言えば、変わりない。いや、思考が一切、変わらないのである。
「仕事には行っているのよね?」
「休むこともあるそうですけど、一応行ってはいます。お金がないと食事が出来ませんし、あれでも公爵令嬢や王子妃だったことで、物乞いするようなことは出来ないとプライドはあるようですから」
「そこにはプライドがあったのね…」
休み過ぎて給料が少なかった月は、衣住には困らなかったが、食事に困ることになり、だからと言ってご馳走して貰うならともかく、恵んで貰うことはララシャには許せないことだった。
サイラスは、一ヶ月に一度、地区の管理者の報告を受けている。
「王太子殿下の婚約者ということが、あれと周りを助長させ、さらにリベル殿下に見初められたことで、天高く舞い上がったのだろう」
「叩き付けられただけでしたけどね」
「自業自得だ、誰かが嫌がらせをしたわけでもないのに、自らが驕っただけだろう」
ララシャがいくら悪かったとして、陥れられたというのなら、まだ何か出来たかもしれないが、完全なる一人で暴走した結果である。
そして、公になったララシャは王子妃に相応しい行動を取れないことで、行事も参加させて貰えなかったこと。ピデム王国に居座っていただけの存在であった。
サイラスは本当に恥ずかしかった。どうしてこんなに二人の妹は、両極端に違うのだろうか。
やらなかった者は、実績が浮き彫りなった。ララシャはよくもここまで騙せてはいなかったが、問題にされなかったと思った。
「ララシャは高く上がった感覚が、ないのかもしれないわね」
「ああ…そうか、そうかもしれぬな」
ララシャにとって王子妃も当然であり、これからもこの生活が続くことを疑ってすらいなかった。
「それでも、変わらないというのは、ある意味才能ですわね」
「ああ、まだ誰かが迎えに来てくれると思っているのでしょう」
「誰かララシャを訪ねて来たり、お手紙があったりは?」
「ありません」
「友人と言っていた方も?」
「ああ、誰一人おりません」
「そう…」
ロアンスラー公爵邸に来ていた友人たちは自滅した者もいるが、そうではない者はまだいるはずだが、誰も関わらない選択をしたということだろう。
「結婚のことは、誰かから聞くことになるでしょう」
「そうですね」
「手紙を書いたりはしていないのかしら?」
「出し方が分からないのと、手紙も自分でほとんど書いたことがないと思います」
「手紙を?」
「公爵邸では、侍女に代筆させていた」
「え?」
ソアリスも、ララシャのそのような事情は知らないことであった。
「そうか!字が子どもみたいだから」
「ああ、だから代筆させていたんだ。持って行ったのは、誰も書いてくれなかったから、自分で書いたのだよ」
「あれが届いたら、いたずらかと思うわよね」
「ああ」
「マーニー夫人は、どう思う?」
「はい、また余計なことを考え出すのではないでしょうか」
ララシャにとっては、待ちに待った手紙だろう。だが、そんな物を渡せば、調子の乗ることは間違ない。
「私も一緒に暮らすと?」
「その通りです」
「それは絶対に言い出すでしょうね。迎えに来てくれると待っているだけならいいけど。でもね、決別が書いてあるそうなの。ただ、ララシャが真剣に受け取るかどうかなのよね」
「はい…」
書いてある通りに受け取らないのが、ララシャである。誰かに書かされている、騙されているなどと言い出すだろう。
「少しは痩せたのかしら?」
「少しは痩せたようですけど、元のような姿ではありません」
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