私のバラ色ではない人生

野村にれ

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「エミアンローズ王女からの手紙には何と?」

 エミアンローズから手紙が来ていると聞いたために、ユリウスは代表して話を聞きに来ていた。

「どうやら、ララシャの様子に反面教師になったようよ。まあ、余程酷かったのでしょうけど、自分も同じことをしていることに、とても恥じていると、これからはきちんと学んでいくそうよ」
「そうですか、もっと早く気付くべきでしたけどね」

 ユリウスを含め、きょうだいたちはエミアンローズにわざわざ会うことはなかったが、アリルから茶会では酷かったということは聞いていた。

「そうね、私は気付けるかは半信半疑だったけど、そこはリベル殿下の血筋かしらと思っていたところよ」
「嘘、と言うことはないのですよね?」
「リベル殿下からも、同じような手紙が来ていたから、嘘ではないと思うわ」
「それなら良かったです。母上、罵ったりはしなかったのですよね?」
「していないとも言えない」
「何ですか、それは」

 誰よりもソアリスが言うことで、不安に陥る言葉である。

「どうして怒らないのかと聞かれたから、頭にヘドロが詰まってんのかとか、叩き甲斐のありそうな尻をしてんな、尻を出せ、尻を!王妃陛下に、尻を差し出しなさい!とは言ったわね」
「十分、言っているじゃないですか!尻を叩く気満々じゃないですか」
「だって、リベル殿下にも如何様にもと言われていたから」

 エミアンローズが大人しく尻を差し出していたら、ソアリスは迷いなく叩くつもりであった。ララシャの娘だから、そのくらいしないと駄目なのではないかと、思っていたからである。

「でも、聞かれたから言っただけよ?自暴自棄になっては困るから、追い詰めたりはしていないわ」
「ユリウス殿下、エミアンローズ王女は半泣きになっておいででした」

 ポーリアがすかさず、捕捉をした。

「効果てきめんじゃないですか」
「一応王女だから、言われたことがないでしょうからね」
「普通は言われませんよ」
「でも、ケイトに嫉妬するような子だったんだもの。ケイトはあれでも3歳よ?」
「あれでもって…」

 確かに息子の方が年上なのに、ケイトの方が叔母らしい態度である。ミオスおにいちゃまなんて呼ぶのかと思ったが、おにいちゃまは私の方であることをきちんと理解し、ミオスと呼んでいる。

「どう言えば伝わるのか、ララシャのせいで構えすぎてしまったみたいね」
「ああ、それはそうですよね」
「ここからどう変わるか、必死になってくれるといいわね」
「そうですね」

 ユリウスは関わりもないが、ミフルのことでエミアンローズの印象は良くないが、暴走したのは伯母の方で、不幸になって欲しいとまでは思っていない。

「ルルエはどう?具合は悪くなっていない?」
「はい、順調です。それより、エクルでしょう」

 報告はエクルの方が後だったが、生まれるのはルルエよりも先になる。

「ええ、陣痛が始まったら連絡を貰うことになっているわ」
「母上が来ると、生まれるとアリルに聞いたんでしたっけ?」

 ソアリスもアリルの時と同じように、駆け付けようとは思っていたが、エクルはアリルからお母様が来れば、きっと無事生まれると話して聞かせたらしい。

「ええ、そんなはずないのだけど」
「いや、母上は分かりませんからね」
「代わりに頑張れ大丈夫陛下を派遣してみようかしら?」
「私にも言えますが、男は役に立ちません。母上が行ってあげてください。エクルも安心するでしょうから」
「そうかしら?」
「そうですよ!」

 ユリウスはソアリスの安心感は、何物にも代えられないと実感している。

 そして、その日のおやつに小麦粉をクレープのようにして、野菜と海鮮を包み、ソースを塗った焼き物が出て、ソアリスとケイトは同じ顔をして頬張っていた。

 きちんとしなくてはいけない場でなければ、二人は大胆に食べるところも似ているというよりは、ケイトがソアリスを真似ている。
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