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別れ
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「そういう意味ではないわ」
「ではどういう意味なのですか!」
「だから…私は…」
ララシャは意見が通るまで、同じことを言い続けているように、頭の回転は速くない。良い説得する言葉が思いつかず、言葉に詰まった。
「もう、いいわけは結構です」
「いいわけではないの、ママの本心なのよ?お願いよ、エミアン。私の可愛いエミアン、ママの願いを叶えてくれるでしょう?」
自分のことしか考えていない姿に、エミアンローズはもう見たくないと、ララシャから目を逸らした。
「エミアンローズ、もういい。ララシャを連れて行ってくれ…」
キリスが疲れ果てたように言うと、ララシャは護衛騎士に両腕を取られて、引きずれられて行ったが、エミアン、エミアンと叫んでいた。
「お母様!」
エミアンローズがララシャを呼ぶと、ララシャはまたパッと明るい表情をした。
「さようなら!お元気で!」
驚いて茫然としている隙にララシャを護衛たちが、また引きずって行き、馬車に詰め込まれて、家に運ばれて行った。
「大丈夫か?」
キリスはララシャの姿をじっと見つめるエミアンローズに声を掛けた。
「はい、ソアリス王妃陛下に言われたように、反面教師だと思って、向き合ったら、自分がどれだけ愚かだったか、恥ずかしいほどよく分かりました」
「そうか…」
「真似たわけではないですが、私はお母様が大丈夫なのだからと、どこかで思っていたのだと思います」
キリスは同意するわけではなく、静かに聞き続けた。
「ソアリス王妃陛下にもお伝えしたいところですが、お忙しいでしょうから、戻ってから手紙を書こうと思います」
「それがいいかもしれないな」
「はい…」
エミアンローズは王都に戻って、一夜休んでから、ピデム王国に戻った。
家に戻されたララシャは暴れたそうだが、ここに住めなくなったら、修道院に行って貰うことになりますと言えば、唇を噛み締めて、入って行ったそうだ。
どうしてなのかか、修道院には行きたくないと思っているようで、今でも切り札になっていることが救いであった。
戻ったエミアンローズは、リベルときちんと話をしようと思っていた。
「お父様、ただいま、戻りました」
エミアンローズは、落ち着いた様子で、しっかりカーテシーを行った。
「顔つきが変わったな」
「はい…」
「ソアリス王妃陛下か?」
「はい」
「座りなさい」
「はい」
リベルとエミアンローズは向かい合って、座った。
実際、リベルはソアリスから手紙を貰って、ドキリとした。
エミアンローズがお茶会に参加したいということだったので、侍女である侯爵家の招待したが、礼儀がなっていないので、私の判断で帰らせた。あのままではいけない、叱ってもいいかという伺いの手紙であった。
すぐさま、如何様にも叱って貰って構わないと、了承の手紙を書いた。
「怒られたか?」
「はい、ですが、冷静に、淡々とお叱りを受けました」
「そうか」
リベルは自分と同じように、怒鳴り散らされたと思っていたが、エミアンローズにはさすがに違ったらしい。
「お父様も怒られたと伺いました、きちんと話をしてみなさいと」
「ああ、そうか。私は口を挟む間のないほど、怒鳴られたよ。だが、言われて当然のことであった」
「口が悪いと、王妃陛下ご自身がおっしゃっていました」
「ああ…あんな風に言われたこともなく、口で追い詰められるというのは、こういうことなのだなと思った」
今でも思い出すと、酷い後悔と共に、ソアリス王妃陛下の冷たい瞳と罵る言葉が思い出される。
「私も直接、少し聞きました…」
「そうなのか?」
「はい…正直、怖かったです。でも当然だなと、今では思います」
「私も今でもあの光景を思い出す」
二人はまるでソアリス王妃陛下の口から発されているとは思えず、頭の中が混乱するほどの罵る言葉を思い出していた。
「ではどういう意味なのですか!」
「だから…私は…」
ララシャは意見が通るまで、同じことを言い続けているように、頭の回転は速くない。良い説得する言葉が思いつかず、言葉に詰まった。
「もう、いいわけは結構です」
「いいわけではないの、ママの本心なのよ?お願いよ、エミアン。私の可愛いエミアン、ママの願いを叶えてくれるでしょう?」
自分のことしか考えていない姿に、エミアンローズはもう見たくないと、ララシャから目を逸らした。
「エミアンローズ、もういい。ララシャを連れて行ってくれ…」
キリスが疲れ果てたように言うと、ララシャは護衛騎士に両腕を取られて、引きずれられて行ったが、エミアン、エミアンと叫んでいた。
「お母様!」
エミアンローズがララシャを呼ぶと、ララシャはまたパッと明るい表情をした。
「さようなら!お元気で!」
驚いて茫然としている隙にララシャを護衛たちが、また引きずって行き、馬車に詰め込まれて、家に運ばれて行った。
「大丈夫か?」
キリスはララシャの姿をじっと見つめるエミアンローズに声を掛けた。
「はい、ソアリス王妃陛下に言われたように、反面教師だと思って、向き合ったら、自分がどれだけ愚かだったか、恥ずかしいほどよく分かりました」
「そうか…」
「真似たわけではないですが、私はお母様が大丈夫なのだからと、どこかで思っていたのだと思います」
キリスは同意するわけではなく、静かに聞き続けた。
「ソアリス王妃陛下にもお伝えしたいところですが、お忙しいでしょうから、戻ってから手紙を書こうと思います」
「それがいいかもしれないな」
「はい…」
エミアンローズは王都に戻って、一夜休んでから、ピデム王国に戻った。
家に戻されたララシャは暴れたそうだが、ここに住めなくなったら、修道院に行って貰うことになりますと言えば、唇を噛み締めて、入って行ったそうだ。
どうしてなのかか、修道院には行きたくないと思っているようで、今でも切り札になっていることが救いであった。
戻ったエミアンローズは、リベルときちんと話をしようと思っていた。
「お父様、ただいま、戻りました」
エミアンローズは、落ち着いた様子で、しっかりカーテシーを行った。
「顔つきが変わったな」
「はい…」
「ソアリス王妃陛下か?」
「はい」
「座りなさい」
「はい」
リベルとエミアンローズは向かい合って、座った。
実際、リベルはソアリスから手紙を貰って、ドキリとした。
エミアンローズがお茶会に参加したいということだったので、侍女である侯爵家の招待したが、礼儀がなっていないので、私の判断で帰らせた。あのままではいけない、叱ってもいいかという伺いの手紙であった。
すぐさま、如何様にも叱って貰って構わないと、了承の手紙を書いた。
「怒られたか?」
「はい、ですが、冷静に、淡々とお叱りを受けました」
「そうか」
リベルは自分と同じように、怒鳴り散らされたと思っていたが、エミアンローズにはさすがに違ったらしい。
「お父様も怒られたと伺いました、きちんと話をしてみなさいと」
「ああ、そうか。私は口を挟む間のないほど、怒鳴られたよ。だが、言われて当然のことであった」
「口が悪いと、王妃陛下ご自身がおっしゃっていました」
「ああ…あんな風に言われたこともなく、口で追い詰められるというのは、こういうことなのだなと思った」
今でも思い出すと、酷い後悔と共に、ソアリス王妃陛下の冷たい瞳と罵る言葉が思い出される。
「私も直接、少し聞きました…」
「そうなのか?」
「はい…正直、怖かったです。でも当然だなと、今では思います」
「私も今でもあの光景を思い出す」
二人はまるでソアリス王妃陛下の口から発されているとは思えず、頭の中が混乱するほどの罵る言葉を思い出していた。
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