私のバラ色ではない人生

野村にれ

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叱咤2

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「あのドレス、いずれケイトには年齢が合わなくなるでしょう?でも、ケイトが幼い頃、着ていたというのはデザイナーにとって、ブランドになるの。既に問い合わせが入っているようだし、プレタポルテが売り出されると思うわ」

 熱意ある駆け出しの若いデザイナーで、男爵家の令嬢である。こういうのを作ってみたかったと言っており、有難かったが、いずれケイトは年齢的に着れなくなる。

 普通のドレスを頼むことは可能だが、折角だからとエスザール王国、グレイ殿下にも作ることの許可は既に得ていたが、双方で売るのはどうかと考えていた。

 エクシアーヌも、エマリーに着せたいと言っており、二人が着れば、もっと話題になるだろうと思っている。

「そんなこと…」

 そんなこと知らない、ブランドになると言うのなら、私の方が相応しい。無意識にエミアンローズは、ケイトとまた張り合っていた。

「子どもの頃だけの特権だけど、だからこそ価値は必要だと思わない?民のことを考える王女という立場なのに、そんなことを考えたこともない?」
「私だって、ドレスを着ることは出来るわ」

 機会がなかっただけで私が着れば、あの王女なんかよりも価値がある。

「あなたでは着る方が限られるでしょう?肥えた方でも、美しく見えるドレスというのなら売れるかもしれないけど…」
「はぁぁ?」

 エミアンローズは少し痩せた方がいいとは言われたことはあるが、太っていると言われたのは初めてであった。

「まさかララシャと同じで、肥え太っていないというつもり?肥えてるわよ」

 エミアンローズは怒りで鼻息がフーフーと、噴射されていたが、ソアリスはお構いなしに続けた。

「ララシャが155センチで、同じくらいの身長でしょう?ララシャは80キロを超えていたようだけど、あなたは70キロ前後ってところかしら?」

 エミアンローズは156センチで、まさに言われたように68キロから72キロまでを行ったり来たりしていた。

「王女と言うのなら、せめて体重管理はすべきではないかしら?」

 ソアリスも体重のことはララシャでお腹一杯で、言いたくはなかったが、さすがに変わっていないとしか思えないエミアンローズの姿に、忠告として言うことにした。

「誰か注意することはなかった?聞くつもりがなかったの?」
「…」
「私もあなたにまで言うつもりはなかったわ。でも王女ということで、肥えていることだけでも、マイナスになるのよ」
「どうしてよ」

 ようやくエミアンローズが口を開いた。

「贅沢をしていると思われるからよ」
「別にいいじゃない」
「何かしているのならまだいいわ、あなた何か国に貢献した?それなのに、贅沢をしていると思われるの。体質だったとしても、むしろ不健康に見えるわ」
「お母様だって」

 王族で太っている者はいなかった、でもずっと側にいた母は太っていた。

「ええ、肥え太っているわね。でも、何もしなかったから、どうなった?余計な事しかせずに、今や一人でボヤキながら生きているのよ?」

 それを言われると、エミアンローズは何も言えなかった。

 ララシャは領地で、一人で生きている。

 始めは反抗し、悪態を付いていたが、どんどん部屋は汚くなり、食事も食べれないとなって、ようやくどうにか生活するようになった。

 お金がなければ生活が本当に出来ないことが分かり、工場にも働きに行くようになっている。

 誰も見に行ってはいないが、少しは痩せたそうである。

「自分を甘やかされたと言いたくない、優秀だとは思われたい気持ちはあるのに、学ぼうとはせず、痩せようとは思えないのね…」

 恥ずかしいと思える部分が、都合良くなっているのだろうと、ソアリスは思った。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

予定通り17時に、もう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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