私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王女の茶会6

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 アリルはエミアンローズをフォローする気は、始めからなかったので、嘘を付かれるとは残念だわという顔を作って置いた。

 周りもケイト殿下にどうして答えてあげないのか、いや分かっていないのかということを、理解して貰っただろうと思っていた。

 そして、ソアリスがカイルスとケイトを使っていることを、心の底から理解した。エミアンローズがララシャに似ていると思ったが、自分もソアリスにそっくりであることを、再度実感した。

 いや、王女はケイトは生き写しのようだが、全員そっくりである。一つ言えば、エクシアーヌ殿下も似て来ている。

 エミアンローズは、何を言われていたのか分からないが、周りの視線が良いものではないことに気付き、抑えきれなくなった。

「何よ!私は王女なのよ?失礼でしょう!」
「黙りなさい!」

 声を上げたのは、この中で絶対的にエミアンローズを叱れるソアリスであった。ソアリスは背筋をまっすぐに伸ばし、エミアンローズの前に立った。

「っな!」
「皆様、失礼いたしました。どうも具合が悪そうですので、帰らせますわ」
「っま」

 ソアリスは、エミアンローズの耳元に近付いた。

「幼子ではないのだから、分かるわよね?王女なのでしょう?それとも、ここで大声を上げて、ピデム王国にさらに泥を塗るつもり?」

 ロアンスラー公爵家の馬車を呼び、エミアンローズを乗せて帰らせた。

 ソアリスはロアンスラー公爵家の護衛が顔見知りであったために、後日、呼び出すから応じなさいと言伝を頼んだ。

 茶会はまるで最初からエミアンローズはいなかったかのように、仕切り直されて、無事に終わった。

 同じテーブルの全員から、エミアンローズに褒められるところは、正直なかったというのが感想であった。

 エミアンローズは、どうして私が帰されなければならないのかという思いであった。帰りが早かったことに、サイラス、キリスとマルシャもソアリスの言伝を聞いて、何かあったのだと悟った。

 エミアンローズは失礼な態度を取られたと言い張ったが、何があったのか聞くと、馬鹿にされた、褒めることもしなかった、お父様に言いつけるなどと言い出し、詳しい話はしようとしなかった。

 護衛によると、話までは分からないが、失礼ない態度を取っていたのはおそらくエミアンローズの方で、自分は王女だと言い出して、ソアリスに怒鳴り付けられて、帰されたということだった。

 そして、後日、ソアリスから王宮に来るように連絡があった。

 エミアンローズは問題になっては困るからと、謝罪をするつもりなのだと思い込み、王宮に向かった。

 通された部屋にはソアリスと侍女、護衛たちがいた。

「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
「お座りになって」
「…はい」

 エミアンローズは、言われなくても座るわよという態度であった。

「どうして呼ばれたと思う?」
「謝っていただけると思って、来ました」
「そんな顔ね」

 ソアリスもエミアンローズを見て、反省しているような素振りもないことから、そんなことだろうと思っていた。

「違うのですか?」
「3歳の子どもが褒められることが、そんなに面白くなかった?あなた19歳でしょう?」
「違います!失礼な態度を取られたから」
「具体的に言って頂戴」

 アリルや令嬢に聞いても、誰も失礼な態度と呼べることはなかったと聞いている。だが、エミアンローズにとっては違うのかもしれないと、聞くことにした。

「ですから、敬うというか、他国の王女なのですから、私の方を敬うべきではありませんか?」
「私は具体的に言ってと、言ったはずだけど?」

 エミアンローズは共通語で、ケイトに何を言われたのかは今でも分かっておらず、答えられない。

「それとも、王女だからという理由で、褒めて欲しかったと言うの?」
「王女というのは、そういう存在ではありませんか」
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