私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王女の茶会3

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 ソアリスのテーブルには、リズ、ポーリア、メディナ、そしてケイト。アリルのテーブルにはリファラ、オーリン、そして二人の友人たち、そしてエミアンローズ。

 茶会が始まると、いや、始まる前からケイト目はお菓子に釘付けである。

「ケイト、ゆっくり上品に食べるのよ」
「わかっちぇるわ」

 そう言いながら、既にケーキを切って、食べ始めている。給仕ではなく、後ろでキャロラインがフォローしてくれているので、安心ではある。

「まるで共食いじゃない」
「っふふ、共食いって…」

 朗らかにケイトを中心に囲むテーブルの隣では、まずお互いに挨拶を交わし、一番年上のアリルが監視と、何かあれば令嬢たちのフォローしようと思っていた。

「私はこれと、それと、それと、これとこれを」

 ケイト並みの量を指示したエミアンローズ。

 もしかしたら、前よりかは少し痩せたのかもしれないが、まだ肥えていると呼べる体形であり、しかもララシャとは違い、顔にも贅肉が付く質だったようで、顔も大きいままで、迫力がある。

 夫人や令嬢が食べるので、小さなケーキではあるのだが、大口でバクバクと食べ始めたエミアンローズは、ちょっと見ていられないほどであり、アリルがソアリスの方を見ると、眉間に皺を寄せて、鋭い目をしていた。

「まあまあですわね」
「さようでございますか」

 オーリンが主催者の娘として、少し驚いたが微笑みながら答えた。オーリンや他の令嬢もエミアンローズのことは伝えてあり、気負うことはないと話を付けている。

「王家には敵いませんでしょう、申し訳ございません」
「そうですわね」
「まあ、ピデム王国ではこんなに豪華なデザートが頻繁に出ますの?」

 ちょっとイラっとし始めていた、アリルはエミアンローズは王家で、良い待遇ではないと聞いていたので、敢えて聞いてみることにした。

「当たり前ではありませんか」

 実際はララシャがいた頃までの話であり、現在はこんなデザートが出ることはない。だから、貪りついているのである。

「まあ、そうなのですね」
「クロンデール王国では出ませんの?」
「ええ、こんなに豪華な物は茶会やお祝いでもないと出ませんわ」
「っふ、そうなのですね。笑っちゃうわ」

 馬鹿にされたこともだが、同時にだからこんなに大きいのだと思った。

 それから、それぞれに話をしながら、デザートを楽しみ、エミアンローズもまあまあと言いながら、ケーキを追加して、大口で食べることを繰り返しており、マナーは出来ていないなと判断した。

 美味しくて、ドレスが入らなくなっちゃうという話が聞こえたのか、突然、エミアンローズが質問をした。

「皆様、結婚されてらっしゃるの?」
「殿下、私以外はまだ学生ですから、婚約中ですわ」

 結婚もしていないのに、全員が夫人の席では可哀想だと思い、このテーブルにした意味を分かってもいなかったらしい。

「そ、そうなの?」

 全員が当たり前のように頷き、エミアンローズは自分と同じで、婚約者がいない者もいると思っていた。いや、そのようなテーブルにするべきだろうと思った。

「殿下はどのような方と、ご結婚を考えてらっしゃるのですか?」

 アリルは高飛車に王女として振舞うエミアンローズに、一番聞かれたくないことだろうことを訊ねた。

「私も是非お聞きしたいです」

 オーリンが便乗すると、私も私もと声が上がる。

「…ええ、王族となると、色々相手に制約があるのよ」

 皆、興味津々でエミアンローズに視線を向けている。エミアンローズは注目されることは嬉しいが、どう答えれば自分の価値を示せるかを考えていた。

「お父様が決めた方と結婚するとは思います」
「ご希望はないのですか?」
「ええ、お父様を信じておりますので」
「きっと素晴らしい方に嫁がれるのでしょうね」

 そうですわねと皆も微笑み、エミアンローズもまんざらではない顔をしていた。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は17時に、もう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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