私のバラ色ではない人生

野村にれ

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姪の訪問2

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 ララシャで失敗したキリスはハッキリと言うことにしており、リベル殿下からも何か問題を起こしたら、叱って欲しいと言われている。

 エミアンローズがケイトと同じくらいなら、多少の粗相は許されるが、エミアンローズは19歳になる年である。

 正直、ケイトが規格外だとは言え、体の大きさでおぼつかない部分はあるが、キリスはケイトの方がエミアンローズより所作が美しいとすら思っていた。

 ケイトはロアンスラー公爵邸に来た際に、子ども用のティーカップではあったが、持ち方も、ほぼ音を出すことなくお茶を飲んでいた。

 お菓子も美味しそうに食べていることに注目されがちではあったが、ボロボロこぼすようなこともなく、食べ進めていたのである。

 サイラスに確認をすると、ソアリスが試しに教えてみたら、出来るようになったと聞いて、大層驚いた。ソアリスにとっては、きれいに食べさせれば、大食いを少しでも誤魔化せるのではないかという思惑があった。

 だからこそ、エスザール王国でも問題なく、王族と食事が出来たのである。

「孫も結婚して、忙しくしていますからね…」

 キリスはサイラスの娘と息子のことを言ったのだが、エミアンローズは違った。

「ミフル王女ですか」
「ええ、ミフル殿下も結婚されましたが、ロアンスラー公爵家の孫も結婚していますから」

 王家の方々は忙しいのもあるが、キリスとマルシャが口を出せる立場ではない。

「ミフル殿下は優秀なのでしょうね」
「ええ、王太子妃になるためも、随分と努力されたようです」
「そうなんでしょうね」

 ミフルを見たのはチラッとではあったが、華やかだったのは覚えている。そして次に見たのは、あの新聞だった。確かに美しかったが、結婚式なのだから当然だと思った。

 私と同じ立場なのに、どうして私とは違うのか。

 グレイ殿下は格好いいとは思ったが、好きだったわけではない。でもお母様があの時、可能にしていたら、私はあの場所にいたのではないかと考えた。

 目標があって努力するなら、私にも出来たかもしれない。私は王女としてと言われるばかりで、目標なんてなかった。

 留学までしたのに、王家の縁談は色々と難しいとは聞いていたが、結婚相手もどうしてなのか、見付からない。

 あの新聞を見るまで、グレイ殿下のことも、ミフル殿下のことも思い出すことはなかったが、何かが違えば、皆に祝福される、本当の中心にいたのではないかと考えて、胸が苦しくなった。

「折角クロンデール王国に来たのだから、参加してみたいわ…」

 キリスとマルシャは顔を見合わせて、頷いた。

「あまり期待はしないで欲しいのだけど、参加が出来そうなところがあるか、聞いてみるわ」

 マルシャは出来れば茶会よりも、夜会の方がいいだろうと考えた。

 茶会は同じテーブルで、間近で見られるため、粗が目立つだろう。夜会であれば茶会よりは見られることはなく、挨拶と会話くらいは出来るだろうと考えた。

「本当?」
「茶会や夜会のマナーは学んでいるね?」
「ええ、勿論よ」
「もし、参加することになればリベル殿下にも伺ってからになるからね」
「え?お父様に?」
「ああ、勝手に参加させるわけにはいかないからね」
「わ、分かったわ」

 だが、ララシャの娘ということ、王族の方を招くほどの夜会ではないと言われたりと、参加が出来るような茶会も夜会も見付からなかった。

 それはソアリスの耳にも入ることになった。

「どれだけ成長したのか、見て置くのも悪くないわね。ケイトもドレスが出来たから、参加させてみたいのよね」
「是非、我が家でやりましょう」

 手を挙げたのはメディナであった。

 実はコンクレット侯爵が、ケイトのアイスボックスクッキーのドレス姿を見掛けたようで、可愛かった、もっと近くで見たかったと言っていたそうだ。
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