私のバラ色ではない人生

野村にれ

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姪の訪問1

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 エミアンローズは留学する前よりかは礼儀正しくはなったが、胸を張って出せる王女にはなっておらず、国王陛下になったカリルに聞いては貰っているが、エミアンローズを娶ってもいいという者は現れていない。

「お祖父様と、お祖母様に会いに行っては駄目?」
「ん?クロンデール王国のか?お母様に会いたいのか?」

 ララシャは何をしているのかと聞いて来ることもあったが、再び王家に盾突いて、領地で一人で暮らしていることを知ると、聞いて来ることはなくなった。

「そうじゃないわ、お祖父様とお祖母様って言ったでしょう?ここにいても居心地が悪いもの…」

 ララシャに会いたいと言いにくいのかもしれないとも考えたが、会いたいのなら会えばいいとも思っていた。

「そうか…うん、ロアンスラー公爵に聞いてみるよ」

 確かにエミアンローズを見る目は厳しく、気分が変わって良いかもしれないと思い、ロアンスラー公爵にお伺いを立てることにした。

 サイラスから両親が面倒を看ると言っているので、来てもらって構わないと返事を貰い、エミアンローズはクロンデール王国に行くことになった。

 エミアンローズはロアンスラー公爵家にやって来た。

 ここならば厳しい目を向けられることはない、怒られることも、あわよくば甘やかしてくれるのではないかという期待があった。

「お祖父様、お祖母様、ご無沙汰しております」
「ようこそ、おいでくださいました」
「お元気そうで何よりです」

 対応したのはキリスとマルシャであった。さあさあと部屋に案内して貰い、お菓子を用意して貰い、留学の話を聞かせて欲しいと言われて、自分に都合のいい話ばかりを話して聞かせ、エミアンローズは自分が中心となることに喜びを感じていた。

 そして、私が求めていたのは、これよと満足に思っていた。

 リベルにはクロンデール王国に行っても、きちんと勉強もするように言われていたが、見られていないのをいいことにしておらず、だが時間が経つにつれて、相手にしてくれるのが祖父母だけでは、不満に思うようになっていった。

「お茶会などはありませんか?是非、参加してみたのですけど」

 ピデム王国では王子や王女たちにしか呼んで貰うことはなく、ロンド王国でもマナーを学ぶために参加させて貰っていたが、教育の場でしかなかった。

 クロンデール王国ならばピデム王国の王族ということで、参加すると言えば喜ばれるだろうと考えた。そういった部分も、ララシャに似ていたのである。

「リベル殿下から、礼儀とマナーは完璧ではないと聞いているんだよ」
「…え」

 エミアンローズは、一瞬何を言われたのか分からなかった。祖父母はそれは喜ばれるだろうと言ってくれると思っていた。

 キリスとマルシャはリベル殿下から、勉強もまだ足りていないこと、留学のおかげで礼儀やマナーも前よりかは良くなったが、完璧とは言えず、粗が目立つという現状の手紙を貰っていた。

 確かに二人から見ても、お茶だけでもティーカップの持ち方ですら、時折間違えていることもあり、音もカチャカチャと鳴り、手紙の通りだと思えた。

「私は王族です」
「だからだよ、何かあればピデム王国の評価になるんだ。王族は出来て当たり前を求められる存在でございましょう?」
「でも、ランド王国の王妃陛下には良くなったと」

 良くなったと言われただけで、とてもいいと言われたわけではない。

「そうだとしても、茶会やパーティーは楽しく過ごせばいいという場ではなく、礼儀やマナーを身に付けたうえで楽しむ場だからね。さすがに王族を下位貴族の茶会に、参加させるわけにはいかないだろう?」
「それはそうですけど」

 ロアンスラー公爵家の伝手がある家となれば、高位貴族となる。そこへ幼子でもない、粗の目立つ王女を参加させれば、ピデム王国の評価を下げる恐れがある。
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