私のバラ色ではない人生

野村にれ

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ミフルの結婚2

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「ケイト、誰かに言われたの?」
「うん?えすざーるおうこくは、くーとこくおうへいかのおくにだとききまちた」
「それで、国王陛下が言えばいいと思ったのね?」
「そうよ?」

 ケイトはさも当たり前のように、言い放ち、媚びを売る相手も完璧である。グレイ殿下も、始めは本当によく話すと思っていたが、笑いが堪えられず、ミフルの横で口を押えて笑っている。王太子夫妻も同様である。

「ハハハハハ!実に賢い」

 クート国王陛下は豪快に笑い出した。

「っふふ。ケイト殿下、アフタヌーンティーの時間におやつを用意しておりますから、それまで我慢していただけませんか?」

 ミフルからケイトのことは聞いていたが、想像以上で笑いが堪えれらないというエバー王妃陛下が、優しい微笑みでケイトに問い掛けた。

「えばーおうひへいか!おやつでしゅか!」
「名前まで完璧ですわね、本当に素晴らしいわ。ええ、おやつです」
「ありがちょうございます。たのちみにしておりしゅ」
「是非、楽しみにしておいてくださいませ」
「申し訳ございません、ありがとうございます」

 ソアリスはエバー王妃陛下に、頭を下げた。

「いいえ、ケイト王女、私も混ぜていただいてもいいかしら?」
「はいっ、もちろんでごじゃいます」

 ケイトの鼻に皺を寄せる満面の笑顔に、王妃陛下もつられて破顔した。

「もう、あなたドレスの調整もあるんだから」
「どれちゅ…」
「ケイト、とても可愛いのよ?」

 ケイトはソアリスに似ているため、華美なドレスを好まない。

「そなの?」
「そうだよ、クッキーだよ?」

 フラワーガールを務めるケイトのために、グレイ殿下がミフルにケイトの好きな物を聞いて、着想を得ようと思ったが、食べるものばかりで、クッキーならば出来るかもしれないと作らせたものであった。

「くっきー!」
「食べられないわよ」

 クッキーが食べられるテンションだったために、ソアリスの鋭い指摘が入った。

「ちょんな~」

 しかし、アイスボックスクッキーをイメージされたドレスと、お揃いのヘッドリボンは、オレンジとブラウンで子どもっぽい色味ではないものの、本当に可愛かった。

 着せているメイドたちが、ケイトに話し掛けられる度に、ウッと言いながら胸を押さえており、後日、胸が苦しいほど可愛かったと皆に話すことになる。

「食べてしまいたいほど、可愛いわ。色味もよく合っている。グレイ様、ありがとうございます」
「いや、本当に可愛い。良く似合っている」

 ミフルとグレイの感想であった。

「ああ、本当に可愛いな。クッキーの妖精のようだ」
「ええ、ドレスを着せて、あれほど喜んでいることはありません」

 ソアリスに汚さないでと言われて、汚れが目立たないような色にしてと、喧嘩しているのを見たこともある。

「ケイトに相応しいドレスですね、とても愛らしいです」

 アンセム、ユリウス、カイルスの感想であった。

「大きなクッキー…」

 一人だけ本当に食べそうな声色だったのは、ソアリスであった。

 そして、アフタヌーンティーの迎えに来た両陛下は、ドレス姿のケイトを見て止まってしまい、メイド同様に胸を押さえていた。

「何だ…妖精か」
「なんて可愛いの…可愛すぎて、目が溶けてしまうわ」

 相当の衝撃だったようで、『どうでちゅか?』と、寄って来たケイトを思わずクート陛下は抱き上げていた。

「とても似合っているよ」
「くっきーなの、おいちそうでちょ?」
「ええ、食べてしまいたいわ。本当によく似合っている」
「ありがちょう」

 まるで祖父母と孫のような光景が広がっていた。確かにミランの甥であるために、似ていなくもない三人に皆も、微笑ましい気持ちになった。

 そして、アフタヌーンティーを楽しみ、ソアリスは気を揉んでいたが、国王陛下夫妻に気に入られたのなら大丈夫だと、ケイトと同じ思考をしていたのである。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は17時に、もう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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