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7人きょうだい2
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そこには美しい万年筆と、万年筆?という物が入っていた。
「万年筆と、護身用武器です!」
「武器!?」
じっと見つめると、薔薇の装飾がしてあり、パッと見は武器には見えない。
「持って振ると伸びて、カチッと止まります。女性陣は自身の自衛用に、男性陣は是非とも妻へお渡しください。狙うのは脛、目がおすすめです」
「おすすめ…」
「こうやってパッとしゃがみ込んで、相手の脛を狙い撃つ、非常事態の際は目を突くのが理想です」
同じような武器をソアリスはどこからか取り出しており、周りの人と距離を取って、シュンシュンと振り回して実演している。
祖母とは思えない、キビキビした動きである。
「お母様も、作ったのですね…?」
「ええ、試行錯誤を繰り返して出来上がった一品ですの。侍女たちにも装飾は違いますが、渡してあります」
メディナ、ポーリア、キャロラインもどこから取り出したのか、同じような武器を当たり前のように持っている。
「腕を叩き付けるだけでも効果があります。壊れたら、お母様に連絡してください」
ユリウスとマイノスは恐る恐る妻に渡すと、ありがとうございますと嬉々とした声を上げており、ソアリスは満足そうに頷いた。
「カイルスは、妻が出来たらお渡ししてね」
「はい、でも出来なかったらどうしましょう」
「そうね、そうなったら誰か渡したい人に渡したらいいわ」
「はい、ケイトでも?」
「ああ…ケイトは、グレーダイヤモンドはキープしておりますが、後はお父様が用意してくださるわ、きっと。ね?」
皆はその言葉に、カイルスが生まれた時と言っていたことを合わせて、ケイトはまだ2歳で、マドレーヌに夢中でいいのだが、用意していないのだと察した。
「あ、ああ…」
「けいとは、おっきなけーきがいいなぁ~でも、やまもりのあげいもでもいいよ~おっきなおにきゅもいいかな~」
「ああ、うん…大きなケーキに揚げ芋に肉か」
「うん!」
ケイトはカイルスの横に座っており、ブローチをマドレーヌを食べながら、きれいだねとは言っていたが、欲しいとは言わなかった。
「でみょ、わたし、そのぼうはほちい」
「でしょうね、でももう少し大きくなってからね」
ソアリスはケイトが欲しがるのではないかと思っていた。
「ええ~」
「ええじゃありません、まださすがに無理よ」
「ケイト、そうだよ、さすがに持てないよ。欲しかったら、私のをあげるから、ね?」
「わかっちゃ」
カイルスも助言して、ケイトも仕方なく納得した。
万年筆はゴールドの装飾のされたシルバーに、王家の紋章と王宮の門がイメージされたデザインで、それぞれに名前が入っていた。
「続いて、メディナ、ポーリア、キャロライン、準備を!」
「「「は!」」」
再び、キビキビと動き出した侍女たちは、今度はルルエ、エクシアーヌ、ルーファ、ブルックスの前に先ほどより小さい長方形のケースを置いた。
「開けてみてください、デザインの違う万年筆です。子どもたちをどうぞよろしくという、わ、気持ちですので、お受け取りください」
「「「「ありがとうございます」」」」
普段使いして貰いたい物であるため、紋章が入っているのは普段は使い辛いという意見を聞き、妻と夫には紋章は入れなかった。
「お母様、賄賂と言おうとしましたね?」
アリルがジト目で、ソアリスに言い放った。
「さすがアリルちゃん!鋭いわね、折角我慢したのに」
「バレバレですよ」
『わ』と言ったことをアリルは見逃さず、賄賂だと導き出していた。ソアリスもさすがに王妃が、子どもにならともかく妻や夫に賄賂と言うわけにはいかなかった。
「言わなかったんだからセーフよ!グレイ殿下と、カイルスのお相手には、お母様がまだ預かって置きますからね」
「「ありがとうございます」」
グレイ殿下には結婚式の時に渡すつもりである。
「万年筆と、護身用武器です!」
「武器!?」
じっと見つめると、薔薇の装飾がしてあり、パッと見は武器には見えない。
「持って振ると伸びて、カチッと止まります。女性陣は自身の自衛用に、男性陣は是非とも妻へお渡しください。狙うのは脛、目がおすすめです」
「おすすめ…」
「こうやってパッとしゃがみ込んで、相手の脛を狙い撃つ、非常事態の際は目を突くのが理想です」
同じような武器をソアリスはどこからか取り出しており、周りの人と距離を取って、シュンシュンと振り回して実演している。
祖母とは思えない、キビキビした動きである。
「お母様も、作ったのですね…?」
「ええ、試行錯誤を繰り返して出来上がった一品ですの。侍女たちにも装飾は違いますが、渡してあります」
メディナ、ポーリア、キャロラインもどこから取り出したのか、同じような武器を当たり前のように持っている。
「腕を叩き付けるだけでも効果があります。壊れたら、お母様に連絡してください」
ユリウスとマイノスは恐る恐る妻に渡すと、ありがとうございますと嬉々とした声を上げており、ソアリスは満足そうに頷いた。
「カイルスは、妻が出来たらお渡ししてね」
「はい、でも出来なかったらどうしましょう」
「そうね、そうなったら誰か渡したい人に渡したらいいわ」
「はい、ケイトでも?」
「ああ…ケイトは、グレーダイヤモンドはキープしておりますが、後はお父様が用意してくださるわ、きっと。ね?」
皆はその言葉に、カイルスが生まれた時と言っていたことを合わせて、ケイトはまだ2歳で、マドレーヌに夢中でいいのだが、用意していないのだと察した。
「あ、ああ…」
「けいとは、おっきなけーきがいいなぁ~でも、やまもりのあげいもでもいいよ~おっきなおにきゅもいいかな~」
「ああ、うん…大きなケーキに揚げ芋に肉か」
「うん!」
ケイトはカイルスの横に座っており、ブローチをマドレーヌを食べながら、きれいだねとは言っていたが、欲しいとは言わなかった。
「でみょ、わたし、そのぼうはほちい」
「でしょうね、でももう少し大きくなってからね」
ソアリスはケイトが欲しがるのではないかと思っていた。
「ええ~」
「ええじゃありません、まださすがに無理よ」
「ケイト、そうだよ、さすがに持てないよ。欲しかったら、私のをあげるから、ね?」
「わかっちゃ」
カイルスも助言して、ケイトも仕方なく納得した。
万年筆はゴールドの装飾のされたシルバーに、王家の紋章と王宮の門がイメージされたデザインで、それぞれに名前が入っていた。
「続いて、メディナ、ポーリア、キャロライン、準備を!」
「「「は!」」」
再び、キビキビと動き出した侍女たちは、今度はルルエ、エクシアーヌ、ルーファ、ブルックスの前に先ほどより小さい長方形のケースを置いた。
「開けてみてください、デザインの違う万年筆です。子どもたちをどうぞよろしくという、わ、気持ちですので、お受け取りください」
「「「「ありがとうございます」」」」
普段使いして貰いたい物であるため、紋章が入っているのは普段は使い辛いという意見を聞き、妻と夫には紋章は入れなかった。
「お母様、賄賂と言おうとしましたね?」
アリルがジト目で、ソアリスに言い放った。
「さすがアリルちゃん!鋭いわね、折角我慢したのに」
「バレバレですよ」
『わ』と言ったことをアリルは見逃さず、賄賂だと導き出していた。ソアリスもさすがに王妃が、子どもにならともかく妻や夫に賄賂と言うわけにはいかなかった。
「言わなかったんだからセーフよ!グレイ殿下と、カイルスのお相手には、お母様がまだ預かって置きますからね」
「「ありがとうございます」」
グレイ殿下には結婚式の時に渡すつもりである。
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