私のバラ色ではない人生

野村にれ

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7人きょうだい1

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「さて、皆さま、お集まりいただきありがとうございます」

 ソアリスは珍しく凛とした王妃らしい顔をして話し始めたので、きょうだいたちは背筋を伸ばした。

「お母様がお腹を痛めて、痛めて産み落とした、子どもたち。お父様とお母様から贈り物があります」

 アンセムも呼ばれてはいるのだが、明らかに、え?っという顔をしており、エクルはまた聞かされていなかったのだなと思った。

「メディナ、ポーリア、キャロライン、準備を!」
「「「は!」」」

 オーランとクイオもいるのだが、キビキビと働くソアリスの侍女たちに、手伝おうにも何も出来ずに、ただただ見つめていた。

 子どもたちの前には上等な装飾のされた正方形のケースと、長方形のケースがそれぞれに置かれた。

 だが、ケイトの前にはなかった。

「はい、ケイトはマドレーヌ」
「わぁ、やった」

 ホイっと置かれた簡易的にラッピングされた3つのマドレーヌ、ケイトは大喜びである。

「正方形の方を、オーーーーープン!」

 きょうだいたちは、戸惑い、顔を見合わせながら、正方形のケースを開いた。

 装飾をされたグレーダイヤモンドの男性側はブローチ、女性側はネックレスが入っていた。勿論、王家に相応しい大きな一粒になっている。

「お父様の瞳をイメージした宝飾品です」

 アンセムはまた、え?という顔をしているが、ソアリスは一切見ていない。

「とは言っても、お母様が準備したので、お父様は横であたふたしているのです」
「すまない」

 アンセムは居たたまれず、しょんぼりした。

「カイルスを産んだ時から準備しておりました」
「そ、そうなのか」
「なぜ言わないのだと思ったでしょう?ここで何も言わずに、二人で準備したのというような人間ではないことはご存知でしょう?サプライズですわ、ほほほ」

 皆、ちょっと知っているサプライズではないなと思いながらも、ソアリスらしいで済まされてしまうのが、クロンデール王国である。

「お母様、素敵です。ありがとうございます」

 始めにお礼を言ったのは、勿論カイルスである。

「いいえ」
「「「「「ありがとうございます」」」」」

「ですが、なぜ今なのですか?結婚する時では駄目だったのですか?」

 質問したのはアリルである、カイルスが生まれた時から準備していたのなら、結婚した時でも良かったはずである。

「7人もいるから面倒だったわけではありませんよ」

 そんな風には思っていたわけではないが、あり得ないとも言い切れないのがソアリスである。

「あなたたちは、仲がいいでしょう?ユリウスが結婚する際に渡していたら、何だった?って聞くでしょう?」
「はい、おそらく」
「それでこれだったとなって、次はマイノス、アリル、エクルと、ああ同じかって、喜びも薄れるでしょう?」
「そんなことは…」

 薄れるということはないと思うが、ソアリスにとってはそう考えられている。

「しかも、皆が結婚が出来ると保証もない。みーんな同じなのに、結婚しないと貰えないとなるのも嫌だったの」

 無事、順番に結婚していっているが、そうではなかったかもしれない。

「お母様がそれぞれに合った、気の利いた物を用意が出来る感覚があれば良かったのですが、ありませんでしょう?」

 皆、その質問には目を泳がせて、沈黙した。

「だからみーんな一緒に同じ物をあげちゃおうと思って、今日です。ケイトまで待っていたら、さすがにおっさんとおばさんになってしまうし、ミフルはなかなか会えなくなりますし、エクルはお腹が大きくなったら、動くのも大変になりますから、渡すなら今だと思ったのです」
「納得しました、ありがとうございます」

 子どもたちはきれい、嬉しいと手に取って当ててみたり、口々に言い合っており、ソアリスはにんまりとした。

「長方形の方も、オーーーーープン!」

 余韻に浸っていた子どもたちは、慌てて長方形のケースを開けた。
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