私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王妃と王女の帰還2

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「まさかシシリーヌ元王女以外に出会うとは!それがまさか実姉とは!もう、痛いほど、エクシアーヌの気持ちが分かったわ…笑ったりして、ごめんなさいね」
「いいえ、笑って当然です」
「私も耐えられなくて、本人の前で大笑いしてしまったわ」

 アンセムがメディナに目をやると、深く頷いた。

「年齢は違うのに、本当によく似た姉を持っていたみたいね」
「はい、そんなところは似て欲しくないところですね」
「そうね、全く嬉しくもないけど、思考が一緒なのかしらね?」
「そう思います」

 エクシアーヌは事情を知らないルルエに、シシリーヌのことを情けないと言いながら、説明をしている。

「それで、意見を通そうと、同じことを繰り返すものだから、本当に疲れたわ」
「結局はどう納得させたんだ?」
「それがね、兄とオードエル公爵が、陛下の婚約者だったころのララシャをこき下ろしたの。ガリガリで気持ち悪かった、陛下ははずれを引かされて気を揉んでいたとか、ララシャにはショックだったみたい」
「それで納得したのか?」

 それでも嘘だと言って、納得しないのではないかと思った。

「その弱ったところに、私にララシャが言ったことを言ってやったの」
「何を?」
「リベル殿下の婚約が纏まった後で、ララシャは自分に酔いしれながら、『私はどうしてか、愛されてしまうの』と言ったの。だから愛されることはないと認めるか?と問い掛けたの。どんな場所でも、どんな姿でも、あなたなら愛されるのでしょう?それとも、ララシャには無理かしら?とね…」

 メディナがおみごとでしたと言う顔で、深く何度も頷いている。

「認めないということか」
「分かったとは言わせられなかったけど、ここが幕引きかなと帰って来たの。お腹もすいたもの。ちょっと食べていい?」

 話していたソアリスは食べれていなかった。

「ああ、食べてくれ」
「聞きたいことがあったら、ケイトに聞くといいわ」

 ケイトは既に食べ終えて、満足そうにお腹をすりすりと擦っている。

「ケイト、伯母さんはどうだった?」
「こえふちょっていたわよ?でもおかおはちいちゃくて、かわいくないぬいぐりゅみみたいだった」

 酷い、例えが酷いが、誰も否定は出来ない。

「ああ、そうだな。お母様に酷いことは言っていなかったか?」
「ちゃくさんいっちぇいたのよ、でもおかしゃまのほうがちゅよいからね、ばんばんいいかえちゃていたわ。かっきょよかたよ」
「そうか…」
「ちょふぁがこわれちょうでちんぱいだったわ」
「そうか」
「うぎょくたびにね、ぎちぎち、みちみちいってたの」
「そうか…」

 着眼点までも同じではないか。ケイトの言う音がさらにソファが、どれだけ壊れそうだったかを物語っている。

「おちりもちゅごくおおきくてね、おかしゃまがいわでものっちぇいたのかなっていって、いわおばっていっちぇあげたのよ」
「いわおば…」

 言葉のチョイスが、確実にソアリスだ。横で素知らぬ顔をして、もぐもぐ食べている。本当にお腹がすいていたようだ。

「うん!ちょふぁがかわいちようだったよ?やちぇたほうがいいとおもうわ」
「そうだね」
「わたちのことも、ばかにちたから」
「っな!ケイトを馬鹿にしたのか?」

 アンセムも、皆も一斉に殺気を放ち始めていた。

「そう、むちゅめまでつれているの?じょうちきがないっていっちゃわ」
「「何だと!」」

 意外にも怒りで立ち上がったのは、ユリウスとマイノスであった。

「おにいしゃま、だいじょぶ。おーどうぇるこうちゃくが、そのにょうなことないっていってくれたのよ。あと、おにくはちゅきだけど、ふとったおばのにくはいらにゃいわっていってあげたのよ?」
「よく言った」
「いらない」

 意外と可愛い妹への過激派だったユリウスとマイノスであった。

「あとは、おかしゃまがきょうつうごではなちてるところは、けいとはよくわかりゃなかった」
「共通語?」
「陛下、恐れながら、私が説明します」
「頼む」

 ソアリスはスープを美味しそうに啜っており、メディナが代わりに答えた。
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