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仁義なき対決19
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「あの子は、ソアリスのように使い分けている!私はこの前、聞いたんだ」
「何を?」
「ケイトが散歩中に、何やら下心を持っていそうなオペイル伯爵が近付いていた」
「オペイル!」
オペイル伯爵は、ふざけた支援金を申請してくる常連である。
「私も、すぐさま駆け付けようとした!どうやら、目的は孫をカイルスの婚約者にと、ケイトを利用しようとしたようだった。だが、ケイトは『おまえににているのか?はげてんのか?はげむすめをすすめているのか?』って言ったんだよ…もうちょっと、言葉はたどたどしかったけど、内容はそんな感じだった」
「嘘でしょう…」
まるでソアリスの言いそうな言葉である。ソアリスが言ったというのならば、納得が出来る言葉である。
「私も、受け入れるのに時間を要した…オペイルは驚いて、小さな声で孫は禿げていませんと言いながら、去って行った。しかも、メイドと護衛ににっこりと笑って、『いまのはないしょね」って言ったんだよ」
「こっわ!ケイト、こっわ!」
一番言われたくない人に言われているのであるが、ソアリスは自分のことを横に置いて、恐怖を感じた。
「そっくりだろう…はげむすめって言葉、二歳の子どもは絶対、出ないよ?」
「う!」
さすがに身に覚えがあり過ぎるソアリスは、さすがに胸に刺さってしまった。
「でもユリウスとマイノスは優しいし、アリルは厳しいけどそんなことは言わなかったし、エクルも辛辣なところはあるけど、そこまでは言わないし、カイルスは穏やかで優しいし、ミフルは絶対に言ってはならない立場になるし…」
ソアリスはブチブチと、言い訳を始めた。
「別に反省するように言っているわけじゃない」
「そうなの?てっきり怒られているのだと思っていたのだけど?」
「そうではなくて、ケイトを連れて行っても大丈夫だって話だよ。あの子は大人ばかりでも、どんな話をしていても、自分をしっかり持っている」
「お菓子に夢中なだけじゃない?」
ソアリスが誰かとお茶をして、どうでもいい話を喋っていても、ケイトは飽きもせず、騒ぐこともなく、お菓子を食べている。
「う!それもあるけど…でも、きっと心強い味方になってくれるはずだよ」
「分かったわ、私が王妃として、暴走しないようにもでしょう?誰も止める自信がないからでしょう?」
「それも、ある。正直、ララシャ嬢には何を言ってもいいとは思っているが、ケイトの前だからという抑止力があってもいいと思ってのことだ」
最後にララシャに会うために、ロアンスラー公爵邸に行くことに決まった際に、誰かを付けた方がいいのではないかと話し合いが行われた。さすがに嫁であるルルエとエクシアーヌは、力になれないと辞退した。
身内だけで決めることになったが、耐性のあるソアリスとは違って、ララシャの態度でキレる自信があると言い、話ならなくなるかもしれない。全員で行くならば、フォローすればいいが、ゾロゾロと王族が行くわけにはいかない。
確実にソアリスの悪い口のオンパレードとなる光景を、目の前で見たい気持ちはあるが、相談の結果、ソアリス得意の幼児は何を言ってもいいこと、アンセムの遭遇した話を聞き、ケイトがいいのではないかということになった。
「承知いたしました!ケイトには何?おやつ?」
「夕食と、翌日のおやつを豪華にすると言おうと思っている」
「快諾するわね」
そして、『おやちゅ~ごうきゃなゆうちょく~』と、ウキウキで快諾したケイトは、お供としてやってきたのである。
馬車に揺られながら、また『ごうきゃなおやちゅ~ごうきゃなゆうちょく~ごうきゃばん~ごうきゃばん~』と、歌っており、食べることへの歌でしかないのだが、メディナはその姿に目尻が下がりっぱなしである。
「欲望丸出しの歌ね…」
「愛らしいです」
ソアリスは侍女の情緒も、狂い始めているのではないかと不安になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は17時に、もう1話投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「何を?」
「ケイトが散歩中に、何やら下心を持っていそうなオペイル伯爵が近付いていた」
「オペイル!」
オペイル伯爵は、ふざけた支援金を申請してくる常連である。
「私も、すぐさま駆け付けようとした!どうやら、目的は孫をカイルスの婚約者にと、ケイトを利用しようとしたようだった。だが、ケイトは『おまえににているのか?はげてんのか?はげむすめをすすめているのか?』って言ったんだよ…もうちょっと、言葉はたどたどしかったけど、内容はそんな感じだった」
「嘘でしょう…」
まるでソアリスの言いそうな言葉である。ソアリスが言ったというのならば、納得が出来る言葉である。
「私も、受け入れるのに時間を要した…オペイルは驚いて、小さな声で孫は禿げていませんと言いながら、去って行った。しかも、メイドと護衛ににっこりと笑って、『いまのはないしょね」って言ったんだよ」
「こっわ!ケイト、こっわ!」
一番言われたくない人に言われているのであるが、ソアリスは自分のことを横に置いて、恐怖を感じた。
「そっくりだろう…はげむすめって言葉、二歳の子どもは絶対、出ないよ?」
「う!」
さすがに身に覚えがあり過ぎるソアリスは、さすがに胸に刺さってしまった。
「でもユリウスとマイノスは優しいし、アリルは厳しいけどそんなことは言わなかったし、エクルも辛辣なところはあるけど、そこまでは言わないし、カイルスは穏やかで優しいし、ミフルは絶対に言ってはならない立場になるし…」
ソアリスはブチブチと、言い訳を始めた。
「別に反省するように言っているわけじゃない」
「そうなの?てっきり怒られているのだと思っていたのだけど?」
「そうではなくて、ケイトを連れて行っても大丈夫だって話だよ。あの子は大人ばかりでも、どんな話をしていても、自分をしっかり持っている」
「お菓子に夢中なだけじゃない?」
ソアリスが誰かとお茶をして、どうでもいい話を喋っていても、ケイトは飽きもせず、騒ぐこともなく、お菓子を食べている。
「う!それもあるけど…でも、きっと心強い味方になってくれるはずだよ」
「分かったわ、私が王妃として、暴走しないようにもでしょう?誰も止める自信がないからでしょう?」
「それも、ある。正直、ララシャ嬢には何を言ってもいいとは思っているが、ケイトの前だからという抑止力があってもいいと思ってのことだ」
最後にララシャに会うために、ロアンスラー公爵邸に行くことに決まった際に、誰かを付けた方がいいのではないかと話し合いが行われた。さすがに嫁であるルルエとエクシアーヌは、力になれないと辞退した。
身内だけで決めることになったが、耐性のあるソアリスとは違って、ララシャの態度でキレる自信があると言い、話ならなくなるかもしれない。全員で行くならば、フォローすればいいが、ゾロゾロと王族が行くわけにはいかない。
確実にソアリスの悪い口のオンパレードとなる光景を、目の前で見たい気持ちはあるが、相談の結果、ソアリス得意の幼児は何を言ってもいいこと、アンセムの遭遇した話を聞き、ケイトがいいのではないかということになった。
「承知いたしました!ケイトには何?おやつ?」
「夕食と、翌日のおやつを豪華にすると言おうと思っている」
「快諾するわね」
そして、『おやちゅ~ごうきゃなゆうちょく~』と、ウキウキで快諾したケイトは、お供としてやってきたのである。
馬車に揺られながら、また『ごうきゃなおやちゅ~ごうきゃなゆうちょく~ごうきゃばん~ごうきゃばん~』と、歌っており、食べることへの歌でしかないのだが、メディナはその姿に目尻が下がりっぱなしである。
「欲望丸出しの歌ね…」
「愛らしいです」
ソアリスは侍女の情緒も、狂い始めているのではないかと不安になった。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は17時に、もう1話投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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