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仁義なき対決12
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「ケイト~!聞いてよ、あの肥え太った姉はね、自分が人気者だって自分で言うの!誰も賛同していないのに、おっかしいでしょう」
テンションの上がったソアリスは、ケイトにとても楽しそうに答えた。
「にんきっていうのは、とくべちゅってこと?」
「そうね、特別で皆が偉いわね、可愛いわねってちやほやしてくれることね」
「されてないのにいってるの?」
「そうなの」
「ケイトしっているのよ、それってかんちがいっていうのよ?」
「その通りね」
皆も人気者中年令嬢に笑うわけにはいかなかったが、ケイトの言葉に頷きながら、激しく同意した。
ミソラは安定の鼻の下伸ばし&同時顎出しに挑戦している。本来なら、「人気者中年令嬢っ!」と合いの手を入れたいほどであった。
「馬鹿にするのも、いい加減にしなさい!」
「自分で、自分のことを人気者って言うのって、どんな気持ちで言っているの?」
シシリーヌは当時、他国の王女であったために聞けなかったが、まさか聞けるチャンスが身内からやって来るとは思わずに、素朴な疑問を口にした。
「事実を言っているだけよ」
「でも、人に言われるならまだしも、わざわざ口にすることかしら?」
「分かっていないから、言っているの!」
「教えてあげているということ?」
「そうよ!」
ソアリスは自分が人気があるということを知らせるために言っていたのか、自分に価値があると、素晴らしい人だと誇示していたのか。
自分に自信のある、ケイトのいう勘違いをしやすい人間が、言いがちなのではないかと、結論付けた。
「あなたは人気があると誰かに言われたということね?誰に言われたの?」
「友人よ」
「お世辞だとは思わないの?」
「事実なんだから、思うはずがないじゃない」
「へえ~不幸になっていった夫人たちかしらね?」
「不幸?」
ララシャはどういう意味かと、ソアリスをじっと見つめた。
「ローティー夫人は、娘のことで伏せっているそうよ」
「え?王家に嫁いだんでしょう?」
「ええ、後は…ファシリアは離縁されて修道院。あなたと一緒ね」
「私は修道院になんて行かないわ」
ファシリアのことはルーエンヌから少し聞いていたが、ローティーは一体どういうことなのか、理解が出来ない。
ララシャにとって、王家に嫁ぐということは、幸せの象徴である。
「そして、ファーリンも、同じ道になるかもしれないのよね、オードエル公爵?」
「はい、既に離縁しておりますので、決めるのはデラウェース伯爵です」
「…え、離縁されたの?」
「はい、そうです」
「まあ、そうだったの…別居されていたようだったけど、ファーリン様は上手く言っているとおっしゃっていたのに」
まるでいつかの誰かのような様な状態であったのに、ララシャはお可哀想にという口振りで、オードエル公爵の方を見つめた。
オードエル公爵は、ララシャの方を見ようともしない。
「気落ちなさらないでくださいね」
「…」
何も分かっていないララシャは醜態を曝したことなかったかのように、オードエル公爵に同情を寄せた。
「私も離縁しましたが、強く生きて行かなくてはと思っておりますのよ。ですから、何かありましたら、お声をおかけくださいませね、きっと同じ経験をした私なら、サリエスト様の力になれると思いますわ」
ララシャは慈悲深い自分に酔いしれながら語っているが、オードエル公爵の視線も体勢を変えることなく、反応すらしなかった。
その様子にララシャは私が気遣ってあげているのに、反応すらしないのは、とても気落ちしているのだろうと思い、今日もソアリスが余計な話ばかりして、あまり発言すらしなかったのも、そのせいだと思い込んだ。
テンションの上がったソアリスは、ケイトにとても楽しそうに答えた。
「にんきっていうのは、とくべちゅってこと?」
「そうね、特別で皆が偉いわね、可愛いわねってちやほやしてくれることね」
「されてないのにいってるの?」
「そうなの」
「ケイトしっているのよ、それってかんちがいっていうのよ?」
「その通りね」
皆も人気者中年令嬢に笑うわけにはいかなかったが、ケイトの言葉に頷きながら、激しく同意した。
ミソラは安定の鼻の下伸ばし&同時顎出しに挑戦している。本来なら、「人気者中年令嬢っ!」と合いの手を入れたいほどであった。
「馬鹿にするのも、いい加減にしなさい!」
「自分で、自分のことを人気者って言うのって、どんな気持ちで言っているの?」
シシリーヌは当時、他国の王女であったために聞けなかったが、まさか聞けるチャンスが身内からやって来るとは思わずに、素朴な疑問を口にした。
「事実を言っているだけよ」
「でも、人に言われるならまだしも、わざわざ口にすることかしら?」
「分かっていないから、言っているの!」
「教えてあげているということ?」
「そうよ!」
ソアリスは自分が人気があるということを知らせるために言っていたのか、自分に価値があると、素晴らしい人だと誇示していたのか。
自分に自信のある、ケイトのいう勘違いをしやすい人間が、言いがちなのではないかと、結論付けた。
「あなたは人気があると誰かに言われたということね?誰に言われたの?」
「友人よ」
「お世辞だとは思わないの?」
「事実なんだから、思うはずがないじゃない」
「へえ~不幸になっていった夫人たちかしらね?」
「不幸?」
ララシャはどういう意味かと、ソアリスをじっと見つめた。
「ローティー夫人は、娘のことで伏せっているそうよ」
「え?王家に嫁いだんでしょう?」
「ええ、後は…ファシリアは離縁されて修道院。あなたと一緒ね」
「私は修道院になんて行かないわ」
ファシリアのことはルーエンヌから少し聞いていたが、ローティーは一体どういうことなのか、理解が出来ない。
ララシャにとって、王家に嫁ぐということは、幸せの象徴である。
「そして、ファーリンも、同じ道になるかもしれないのよね、オードエル公爵?」
「はい、既に離縁しておりますので、決めるのはデラウェース伯爵です」
「…え、離縁されたの?」
「はい、そうです」
「まあ、そうだったの…別居されていたようだったけど、ファーリン様は上手く言っているとおっしゃっていたのに」
まるでいつかの誰かのような様な状態であったのに、ララシャはお可哀想にという口振りで、オードエル公爵の方を見つめた。
オードエル公爵は、ララシャの方を見ようともしない。
「気落ちなさらないでくださいね」
「…」
何も分かっていないララシャは醜態を曝したことなかったかのように、オードエル公爵に同情を寄せた。
「私も離縁しましたが、強く生きて行かなくてはと思っておりますのよ。ですから、何かありましたら、お声をおかけくださいませね、きっと同じ経験をした私なら、サリエスト様の力になれると思いますわ」
ララシャは慈悲深い自分に酔いしれながら語っているが、オードエル公爵の視線も体勢を変えることなく、反応すらしなかった。
その様子にララシャは私が気遣ってあげているのに、反応すらしないのは、とても気落ちしているのだろうと思い、今日もソアリスが余計な話ばかりして、あまり発言すらしなかったのも、そのせいだと思い込んだ。
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