私のバラ色ではない人生

野村にれ

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仁義なき対決10

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 王妃陛下はあなたのような子をよく知っていると、自身の周りにいた王女や貴族令嬢を例え話に出して、根気強く話をしてくれた。

 このままでは誰も助けてくれない、このままでは修道院で生涯を終えることになると、母親と同じだと言われることが、恥ずかしいと思うべきだと、冷静に話をしてくれて、エミアンローズは不味いと感じたのか、大人しくなったそうだ。

 ララシャにはエミアンローズの詳しい話は、伝わっていなかった。

「エミアンローズは元気なの?」
「ええ、よくやく留学生になったというレベルらしいけど。学ぶ姿勢から、教えるべきだったわね」
「私だって、ちゃんとするように言ったわ」

 ララシャの場合は根気強くもなければ、分かるまでではなく、言ったというくらいの話である。一度言ったら聞くように育てていないことが、王族としては間違いと言えるのだが、分かるはずもない。

「自分に出来ないのなら、任せればよかったじゃない」

 ララシャが教えていたわけではなく、教師の邪魔をしていた。

「任せていたわ!だから、私のせいじゃないわ」
「寄り添うこともなく、責任を取ろうともしない。母親だと言いながらも、都合のいいところだけ、美味しいところだけ欲しいだけでしょう?」
「何が悪いの!私は辛い思いをしてあの子を産んだのよ?あなたにように簡単に7人も産んだような人には分からないでしょうけど」

 ソアリスはいつものことなので、何とも思わなかったが、室内の全員が怒り、殺意すら抱いた。

「何を言っても、己を顧みる気はなさそうね。あなたはエスザール王国、クロンデール王国、そしてピデム王国に虚偽の発言をしたことは変わらないわ」
「そっ、それは…」

 ララシャはエスザール王国、ピデム王国、クロンデール王国に嫌悪される存在となっている。

「本当なら、あなたにどこにも居場所なんてなかったのよ」
「そんなはずないわ!」
「あるわよ」
「リベルとエミアンが、迎えに来るんだから」
「そんな風に思っていたの?」
「当たり前じゃない、私たちは泣く泣く別れたのよ!」

 ソアリスは悲劇のヒロインが誕生していたことに、ようやく気付いた。

「そう、じゃあ…どうしようかしらね、母親が修道院というのは、またエミアンローズが自棄になって迷惑を掛けてしまったら困るものね」

 ソアリスは今の己を顧みることもなく、反省もしていないララシャは修道院も迷惑だろうと思っていた。そして、最後の砦として取っておくべきだとも考えていた。

 既にサイラスには領地に住める家はあるかを調べて貰っており、一人暮らしの女性が住まうエリアがあるようで、ララシャと話をしてから決めることになっていた。

「一人で領地で暮らすことを命じます」
「は!既に手配しております」

 ララシャは答えなかったが、サイラスが答えた。サイラスは修道院にも念のために話をしてあった。王都から領地、段階を踏んで、最終的には修道院に行くことになる可能性はあるが、まずは王都から一気に引き離すことにした。

「初めの一ヶ月は教えてくれる者を手配して、生活費は渡す。その後は働き口も見付けてあるから、その給料で生活しなさい。働かなければ、何も食べられないからな」
「っな!どうして私が!」
「誓約書を守らなかったため、王家としての判断です」

 ソリアスはしっかりとララシャの目を見つめて、言い切った。

「…な…な…側妃のことを言っただけじゃない!駄目なら、駄目で終わりでしょう!どうしてそんなことになるのよ」
「誓約書を守らなかったため、王家としての判断だと言っただろう!」
「っ」

 ソアリスとララシャでは、姉妹という立場だと思っているのはララシャだけで、責任も覚悟も、心持ちも違う。

「一人で働いて、暮らすなんて…さ、再婚するわ…」
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