256 / 350
仁義なき対決2
しおりを挟む
「皆さま、ようこそ、お越しくださいました」
「今日は、お邪魔いたしますわね」
さすがに二十年以上帰っていない実家に、戻って来たという感覚はない。
「オードエル公爵も、夫人も関わっており、同席したいということでしたので、ご一緒させていただいてよろしいかしら?」
「はい、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、ご迷惑をお掛けします」
オードエル公爵、ミクシワ伯爵を呼び出して、既に話はしている。
「マーニー夫人も、お邪魔いたします」
「よろしくお願いいたします」
ソアリスにとって義姉となるが、親しい間柄ではないため、王妃陛下と臣下である公爵夫人という立場でしかない。
「ろあんすらーこしゃく、おかしはよういしてあるかしら?」
ブレないケイトは今日も、絶好調である。そして、サイラスとはソアリスが復讐として、ぐりぐり攻撃の際に会い、紹介をされている。
ケイトは表にはまだほとんど出ることがないので、ペラペラ話す様に、ロアンスラー公爵邸の者は驚いたが、サイラスはやはりソアリスにそっくりだったなと思ったくらいである。
「ケイト、お菓子は少しだけって約束でしょう?」
「殿下、お菓子はございますが…」
ソアリスから昼食は要らない、菓子も沢山用意しなくていいと手紙に書いてあったが、ケイトのことだったのだろうかと、サイラスは思っていた。
だが、両親も執事も、ソアリスの好みが分からないので、お菓子は沢山用意してしまっているので、あるにはあるが、一体どういうことなのだろうか。
「まあ、ぜひいただきましょ」
「お兄様、山盛り出さないで頂戴。ぜ~んぶ、食べちゃうから」
「そうなのか?」
「そうなのよ、はち切れそうになっても、食べるのよ。恐ろしいんだから」
ケイトはお腹をポ~ンと叩いており、その姿にサイラスはソアリスが、同じことをしていたことを思い出していた。
その様子を後ろから悶える様に覗いていたのは、キリスとマルシャであった。可愛い、一番幼い孫が我が邸にいるだけでも、感動ものであった。
「お父様、お母様もお邪魔いたしますわね」
「王妃陛下、ようこそおいでくださいました」
「ようこそおいでくださいました」
二人はまるで別人かのように、ソアリスに遜り、鼻で笑いそうになった。
ソアリスたちは応接室に通され、ケイトと一緒に座り、後ろにメディナ、左横にオードエル公爵と後ろにミソラ、右横はサイラスとマーニーという布陣となった。
護衛は配置につき、キリスとマルシャは少し離れた場所に座っている。
そして、お茶と菓子が用意され、ソアリスはケイトの前に置かれたお菓子の量を確認していた。
「ちゅくないわ~」
サイラスとマーニー、運んできたメイドはその言葉にビクっとした。
「少ないですか」
「いえ、十分です!いつもより多いくらいだわ」
「もっとたべれますのよ」
「いいえ、これで十分です」
「ちょんな~せっちょ~な」
「駄目よ」
いつも付いている者も、ミソラもいつもの光景であり、オードエル公爵もこの前、見た時は驚いたが、今は微笑ましい目で見つめていた。
「昼食が食べられなくなるのではありませんか?」
「たべるのよ」
「お兄様、それは効果がないの。三食はきっちり食べるんだから」
「そ、そうなのか…」
サイラスは自身の子どもに話していたことから、言ってみたが、ケイトには意味がなかったようだ。
「ご褒美はあげるから、そういう約束でしょう?」
「ちょうだった!」
「ね?すぐなくなるんだから、ゆっくり食べるのよ?」
「はい!」
おいちと言いながら、少しずつ菓子を頬張るケイトのおかげで、これからララシャと対決をするとは思えないほど穏やかであった。
ソアリスとケイトの前に座るのは、ララシャとなる。
「誰か来ているの?」
その声と同時に、ようやく今日で最後の主役の登場となった。
「今日は、お邪魔いたしますわね」
さすがに二十年以上帰っていない実家に、戻って来たという感覚はない。
「オードエル公爵も、夫人も関わっており、同席したいということでしたので、ご一緒させていただいてよろしいかしら?」
「はい、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、ご迷惑をお掛けします」
オードエル公爵、ミクシワ伯爵を呼び出して、既に話はしている。
「マーニー夫人も、お邪魔いたします」
「よろしくお願いいたします」
ソアリスにとって義姉となるが、親しい間柄ではないため、王妃陛下と臣下である公爵夫人という立場でしかない。
「ろあんすらーこしゃく、おかしはよういしてあるかしら?」
ブレないケイトは今日も、絶好調である。そして、サイラスとはソアリスが復讐として、ぐりぐり攻撃の際に会い、紹介をされている。
ケイトは表にはまだほとんど出ることがないので、ペラペラ話す様に、ロアンスラー公爵邸の者は驚いたが、サイラスはやはりソアリスにそっくりだったなと思ったくらいである。
「ケイト、お菓子は少しだけって約束でしょう?」
「殿下、お菓子はございますが…」
ソアリスから昼食は要らない、菓子も沢山用意しなくていいと手紙に書いてあったが、ケイトのことだったのだろうかと、サイラスは思っていた。
だが、両親も執事も、ソアリスの好みが分からないので、お菓子は沢山用意してしまっているので、あるにはあるが、一体どういうことなのだろうか。
「まあ、ぜひいただきましょ」
「お兄様、山盛り出さないで頂戴。ぜ~んぶ、食べちゃうから」
「そうなのか?」
「そうなのよ、はち切れそうになっても、食べるのよ。恐ろしいんだから」
ケイトはお腹をポ~ンと叩いており、その姿にサイラスはソアリスが、同じことをしていたことを思い出していた。
その様子を後ろから悶える様に覗いていたのは、キリスとマルシャであった。可愛い、一番幼い孫が我が邸にいるだけでも、感動ものであった。
「お父様、お母様もお邪魔いたしますわね」
「王妃陛下、ようこそおいでくださいました」
「ようこそおいでくださいました」
二人はまるで別人かのように、ソアリスに遜り、鼻で笑いそうになった。
ソアリスたちは応接室に通され、ケイトと一緒に座り、後ろにメディナ、左横にオードエル公爵と後ろにミソラ、右横はサイラスとマーニーという布陣となった。
護衛は配置につき、キリスとマルシャは少し離れた場所に座っている。
そして、お茶と菓子が用意され、ソアリスはケイトの前に置かれたお菓子の量を確認していた。
「ちゅくないわ~」
サイラスとマーニー、運んできたメイドはその言葉にビクっとした。
「少ないですか」
「いえ、十分です!いつもより多いくらいだわ」
「もっとたべれますのよ」
「いいえ、これで十分です」
「ちょんな~せっちょ~な」
「駄目よ」
いつも付いている者も、ミソラもいつもの光景であり、オードエル公爵もこの前、見た時は驚いたが、今は微笑ましい目で見つめていた。
「昼食が食べられなくなるのではありませんか?」
「たべるのよ」
「お兄様、それは効果がないの。三食はきっちり食べるんだから」
「そ、そうなのか…」
サイラスは自身の子どもに話していたことから、言ってみたが、ケイトには意味がなかったようだ。
「ご褒美はあげるから、そういう約束でしょう?」
「ちょうだった!」
「ね?すぐなくなるんだから、ゆっくり食べるのよ?」
「はい!」
おいちと言いながら、少しずつ菓子を頬張るケイトのおかげで、これからララシャと対決をするとは思えないほど穏やかであった。
ソアリスとケイトの前に座るのは、ララシャとなる。
「誰か来ているの?」
その声と同時に、ようやく今日で最後の主役の登場となった。
3,749
お気に入りに追加
7,626
あなたにおすすめの小説
後妻を迎えた家の侯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
私はイリス=レイバン、侯爵令嬢で現在22歳よ。お父様と亡くなったお母様との間にはお兄様と私、二人の子供がいる。そんな生活の中、一か月前にお父様の再婚話を聞かされた。
もう私もいい年だし、婚約者も決まっている身。それぐらいならと思って、お兄様と二人で了承したのだけれど……。
やってきたのは、ケイト=エルマン子爵令嬢。御年16歳! 昔からプレイボーイと言われたお父様でも、流石にこれは…。
『家出した伯爵令嬢』で序盤と終盤に登場する令嬢を描いた外伝的作品です。本編には出ない人物で一部設定を使い回した話ですが、独立したお話です。
完結済み!
「だから結婚は君としただろう?」
イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。
黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。
救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。
プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。
それを。
あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。
アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。
…そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。
けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。
「君を愛することはない」
と。
わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。
公爵令嬢の立場を捨てたお姫様
羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ
舞踏会
お茶会
正妃になるための勉強
…何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる!
王子なんか知りませんわ!
田舎でのんびり暮らします!
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
【完結】殿下の本命は誰なのですか?
紫崎 藍華
恋愛
ローランド王子からリリアンを婚約者にすると告げられ婚約破棄されたクレア。
王命により決められた婚約なので勝手に破棄されたことを報告しなければならないのだが、そのときリリアンが倒れてしまった。
予想外の事態に正式な婚約破棄の手続きは後回しにされ、クレアは曖昧な立場のままローランド王子に振り回されることになる。
見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる