私のバラ色ではない人生

野村にれ

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呆れた中年妹2

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 同時に王族だったララシャは、もしも今の姿で、ピデム王国で同じような状況に陥っていたら、ララシャと似たような体形をしていたエミアンローズも、非難の的だっただろうと思い、身震いがした。

「たまたまでしょう?」
「たまたまで戻るか!お前が戻っていないのが、証拠だろう!」

 ソアリスは肥え太っていることを面白がっているが、サイラスは別に太っていることを、痩せろと言っているわけではなく、太っていないことを認めないことが、非常に不愉快であった。目にする度に、そのことが蘇って、苛立つ。

「まあいい、話しても時間の無駄だな。それで茶会のために働くのではないのか?」
「呼んであげたい子達がいるのよ、だから、いいじゃない」
「そのいいじゃないは、お金を出してくれてもいいじゃないということか?」

 サイラスが最近、暴言を吐いてしまっていたのは、ララシャの存在があったからではないかと考えたことがあった。

 ソアリスは口答えをするので、両親はそれが許せなかったようだが、私は同じ妹だからと色眼鏡で見て、ララシャの延長だったのではないかと、思っている。

 だからといって、理由があろうがなかろうが、自分の言ったことをなかったことにならないことも、理解している。

「そうよ、それ以外何があるの」
「前に言っただろう、自分で稼いでからにしなさいと…共通語も覚えられないはずだよ。寝たら忘れるのか?どうなっているんだ、お前の頭は」
「お茶会くらいいいじゃない!」
「くらいね、だったら茶会のお金くらい稼げばいいだろう」
「何よ!ケチ!」

 捨て台詞を怒鳴り付ける気力もなく、この前の夜会もソアリスを馬鹿にした態度を取って、ラーバ夫人に注意を受けて、いそいそと帰って来た。

 あの後で、友人のファシリアが離縁されて、修道院に入ったことも知らない。誰を呼ぶというのだろうか、まともな人間ではないだろう。そんな人間をロアンスラー公爵邸に、入れるわけにはいかない。

 呆れるしかない中年の妹に、中年の兄は溜息を付いた。

 ララシャはドスドスと、足音を鳴らして、部屋に戻り、クッションに当たるも、働く気もなければ、何か売ってお金にしようとは考えない。

 リベルから送って貰った物がララシャの今の全てで、探せば令嬢時代のドレスはあるかもしれないが、中年が着れる様なデザインでない上に、サイズが合わない。

 絶対に入らないのである。

 だからこそ、今持っている物を、手放すことは出来ない。

「何よ!茶会くらいいじゃない!」

 ララシャは茶会、茶会と言っているが、ロアンスラー公爵邸で自分一人でセッティングしたこともなければ、勿論いくら掛かるかも全く知らない。

 ピデム王国では陛下の許可が下りずに、開くことが出来なかった。

 それからララシャは拗ねた様子を取っていたが、誰の視界にも留まることはなく、無視されていた。メイドにも酷いのよと話をしたが、聞き流されている。

 だが、ララシャは吉報を耳にした。

 それは父の妹が嫁いだ、ジルアス伯爵邸で夜会が開かれるということ。叔母は公爵令嬢でありながら、伯爵家に嫁いだ。

 家族総出で出席するため、ララシャも参加が出来ると思い込んだ。

 叔母は気の弱い父とは違って、誇り高き公爵令嬢であった。ララシャは私と同じだから、気が合うと思ったが、会ってみると正論ばかり言い、マナーに厳しい人物だったので、近付くのは止めた。

 ゆえに特別会いたいわけではないが、裕福な伯爵家なら、きっと盛大な夜会になる。離縁された可哀想な姪っ子を労わるように仕向ければいい。

 ララシャは夜会に心が踊り、機嫌のいいララシャを皆が不気味に思っていた。
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