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黒歴史1
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バート伯爵とファシリアの娘であるメオリールは、またアプダード侯爵令息に、縁談を申し込んで欲しいとファシリアに言い出した。
断られた理由がただお断りするというものだったが、ファシリアとメオリールが今はまだ決めないということだろうと、何度か申し込むことになっていた。
まさか関わりたくないと思っていたのなら、迷惑だっただろう。
ポーリアにあれだけ言われたファシリアも、さすがにメオリールの要求を了承することは出来ずに、今はどうかしらと誤魔化すしかなかった。
ファシリアの煮え切らない態度に、メオリールは父に頼むことにした。バート伯爵は、諦めさせるために事情を話すことにした。
勿論、ファシリアの生家であるデラウェース伯爵家に確認を取り、謝罪と共に事実だと認めている。
ファシリアのしたことを告げると、メオリールは半狂乱になった。
「何よそれ!お母様のせいじゃない!」
「だから、縁談の申し込みは二度と出来ない。一度断られているのに、何度も申し込む方がおかしかったんだ。もう諦めなさい」
「お母様と私は違うわ!関係ないじゃない」
納得の出来ないメオリールは、首を振って、嫌だ嫌だと子どものようだ。
「落ち着きなさい」
「嫌よ…そんなの」
「嫁ぐ形になるのだから、ファシリアが関わらないならと言って貰えるならいいが、そのような関係でもないのだろう?」
ファシリアの兄となる息子は前妻との子どもで嫡男である、メオリールはファシリアの子どもで、自ずと嫁に行くしかない。
「話もして貰えないんだもの!それがお母様のせいだったなんて…」
「潔く諦めなさい」
「どうにかならないの!」
「ならないさ、過去に戻ってなかったことになんて出来ないだろう?」
なかったことにはならないから、アプダード侯爵は今でも嫌悪している。若気の至りなんて話ではない、恐い話である。
「どうにかしてよ!」
「余計なことをすれば、嫌われていくだけだ。大人しくしていた方がいい」
最悪の印象を植え付けている以上、これ以上、嫌われないことくらいしか出来ることはない。
「嫌よ!彼と結婚するって決まっているの!お父様、お母様と離縁にして、もう関係ないって言ってよ!」
「はあ…」
確かに離縁は頭を過ったが、もしも結婚してもいいという意思があるのであれば、あちらからファシリアとの関係は切らせてもらうなどと、言うことも出来たはずだ。それもないということは、その程度の存在だということだろう。
「そうしたところで、あちらが了承するとは限らない」
「そんなことないわ、関係ないと分かったら受けてくれるはずよ」
あちらは侯爵家で、しかもまだ17歳である。一体どんな自信がどこにあるのか分からないが、話し方を間違えたのかもしれないと後悔していた。
「何度も縁談を申し込んだことも、不愉快に思ってらっしゃる。メオリールも望んだことだろう?」
「それは、まだお決めになっていないから…アプローチしてもいいじゃない。一度断られたからって、諦められないもの…」
ある意味、ファシリアの血筋というところだろう。
「ファシリアの二の舞になりたいか?」
「え?」
「これ以上、押し進めても、ファシリアと同じだと言われるだけだぞ?」
「それは、嫌よ…」
「では、諦めなさい。それがお前のためでもある」
アプダード侯爵令息ではない相手にはなるが、結婚するためにも、これ以上イメージを悪くするわけにはいかない。今ならば、ファシリアのせいということに出来る。
「これ以上、余計なことをすれば、あちらから正式に苦情が入ることになるだろう。そんなことにはなりたくないだろう?」
「それはそうだけど、このままなんて…」
「正式に苦情が入ったら、庇えない…だから諦めなさい」
メオリールは納得が出来ないまま、絶望して部屋に戻るしかなかった。ファシリアにも伝えたことが知らされた。
断られた理由がただお断りするというものだったが、ファシリアとメオリールが今はまだ決めないということだろうと、何度か申し込むことになっていた。
まさか関わりたくないと思っていたのなら、迷惑だっただろう。
ポーリアにあれだけ言われたファシリアも、さすがにメオリールの要求を了承することは出来ずに、今はどうかしらと誤魔化すしかなかった。
ファシリアの煮え切らない態度に、メオリールは父に頼むことにした。バート伯爵は、諦めさせるために事情を話すことにした。
勿論、ファシリアの生家であるデラウェース伯爵家に確認を取り、謝罪と共に事実だと認めている。
ファシリアのしたことを告げると、メオリールは半狂乱になった。
「何よそれ!お母様のせいじゃない!」
「だから、縁談の申し込みは二度と出来ない。一度断られているのに、何度も申し込む方がおかしかったんだ。もう諦めなさい」
「お母様と私は違うわ!関係ないじゃない」
納得の出来ないメオリールは、首を振って、嫌だ嫌だと子どものようだ。
「落ち着きなさい」
「嫌よ…そんなの」
「嫁ぐ形になるのだから、ファシリアが関わらないならと言って貰えるならいいが、そのような関係でもないのだろう?」
ファシリアの兄となる息子は前妻との子どもで嫡男である、メオリールはファシリアの子どもで、自ずと嫁に行くしかない。
「話もして貰えないんだもの!それがお母様のせいだったなんて…」
「潔く諦めなさい」
「どうにかならないの!」
「ならないさ、過去に戻ってなかったことになんて出来ないだろう?」
なかったことにはならないから、アプダード侯爵は今でも嫌悪している。若気の至りなんて話ではない、恐い話である。
「どうにかしてよ!」
「余計なことをすれば、嫌われていくだけだ。大人しくしていた方がいい」
最悪の印象を植え付けている以上、これ以上、嫌われないことくらいしか出来ることはない。
「嫌よ!彼と結婚するって決まっているの!お父様、お母様と離縁にして、もう関係ないって言ってよ!」
「はあ…」
確かに離縁は頭を過ったが、もしも結婚してもいいという意思があるのであれば、あちらからファシリアとの関係は切らせてもらうなどと、言うことも出来たはずだ。それもないということは、その程度の存在だということだろう。
「そうしたところで、あちらが了承するとは限らない」
「そんなことないわ、関係ないと分かったら受けてくれるはずよ」
あちらは侯爵家で、しかもまだ17歳である。一体どんな自信がどこにあるのか分からないが、話し方を間違えたのかもしれないと後悔していた。
「何度も縁談を申し込んだことも、不愉快に思ってらっしゃる。メオリールも望んだことだろう?」
「それは、まだお決めになっていないから…アプローチしてもいいじゃない。一度断られたからって、諦められないもの…」
ある意味、ファシリアの血筋というところだろう。
「ファシリアの二の舞になりたいか?」
「え?」
「これ以上、押し進めても、ファシリアと同じだと言われるだけだぞ?」
「それは、嫌よ…」
「では、諦めなさい。それがお前のためでもある」
アプダード侯爵令息ではない相手にはなるが、結婚するためにも、これ以上イメージを悪くするわけにはいかない。今ならば、ファシリアのせいということに出来る。
「これ以上、余計なことをすれば、あちらから正式に苦情が入ることになるだろう。そんなことにはなりたくないだろう?」
「それはそうだけど、このままなんて…」
「正式に苦情が入ったら、庇えない…だから諦めなさい」
メオリールは納得が出来ないまま、絶望して部屋に戻るしかなかった。ファシリアにも伝えたことが知らされた。
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