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私が主役3
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ララシャを知る、聞こえない位置にいる者は、ひそひそと会話を始めた。
『あれがララシャ様?嘘でしょう』
『体形が…誰か分からなくなっているじゃない』
『体形で、離縁されたの?』
『さすがに、それはないでしょう』
『でも、王家よ?』
ララシャを王子妃だったことで、名前くらいしか知らない者は、陛下の元婚約者で、王妃陛下の姉だと知ると、信じられないという目で見つめた。
『あれが?王妃陛下だったというのか?随分、年上だったか?』
『いえ、王妃陛下と一つしか変わらないわ』
『転がってしまいそうじゃないか』
『ちょっと!止めてよ』
そんなことを言われているとは知らないララシャは、注目を浴びてしまって申し訳ないわねという気分で、前方に見知った顔を見付けて声を掛けた。
「ナディア、久しぶりね」
「え?…ララシャ様ですの?」
ナディア・ストローフ。ストローフ伯爵の嫡女で、現在は婿養子を迎えて、当主となっている。ララシャとは同じクラスで、話をする間柄だった。
ナディアはララシャの姿に驚きを隠せず、王家に離縁されたのに、夜会に参加していることにもだが、やはり気になるのは、その体形である。
食べても太らないはずが、これはどういうことなのだろうかと、首を傾けた。
食べ過ぎるとちゃんと太るナディアは、母に口酸っぱく、体形のことを言われていたこともあり、ララシャに羨ましいと話すと、そんなことはないわと言いながらも、誇らしそうな令嬢であった。
同じクラスだった時のララシャは、アンセム王太子殿下の婚約者で、ゆくゆくは王太子妃という存在。媚びるつもりはなかったが、失礼のないように過ごしていた。
だが、急にピデム王国の第二王子殿下と婚約することになり、あっさりと結婚してしまった。
媚びていた方々は折角、付き合ってあげていたのにと態度を変えた。
婚約者になったのはララシャの妹・ソアリス様であった。パッと見は似ているが、庇護欲をそそるララシャとは違い、ハツラツとした令嬢だった。
学年も違い、関わることはなかったが、公爵令嬢ということで、目に余る生徒には容赦がなく、影の支配者と呼ばれていた。だが、私はそれは公爵令嬢としてあるべき姿だと思った。
爵位の高い者の務めであり、婚約者だからと行っていたわけではない。
それでも『王太子殿下の婚約者だからって、調子に乗って、私の方が優秀なのよ』と言われていたところに遭遇したことがあったが、『だったらお前が婚約者になるか?陛下に進言してやろう、優秀で完璧な令嬢だと、失敗したら自害してもいいと言っているとな』と脅していた。
その後、その令嬢は王妃陛下に『パーフェクトガール』と呼ばれて、もう止めてくださいと泣き出したり、逃げていくことになった。さすが影の支配者と呼ばれるくらいだと納得した。
「出戻ってしまったの、お恥ずかしいわ」
「伺っています。ファシリア夫人に誘われたのですか?」
「ええ、そうなの。どうしようかと思ったのだけど、お招きいただいたのだから、来てみたのよ」
あくまで誘われたから、出席したということが、ララシャにとって大事であった。
「そうでしたか…」
「ローティーは来ていないのかしら?」
「ああ…おそらくいらしてないと思います」
「そうなの?話を聞きたかったのだけど」
それは酷だろうと思ったが、曖昧にほほ笑むしかなかった。
「ご主人と来られたの?」
「いえ、今日は息子と来ましたの。今は友人と話をしていますわ」
紹介する気はなかったので、離れていて良かったとすら思った。
「私も娘がいるのですけど、離れ離れになってしまって」
ナディアはそれはそうだろうと思ったが、再び曖昧にほほ笑んだ。
その様子を見ていたポーリア。
「ストローフ伯爵が捕まったようですわね」
「彼女は状況を分かっているだろうから、心配はないだろう」
ナディアと別れたララシャは、今度はまた違う同級生へと話しかけて、意見の齟齬があって離縁されたと、悲劇のヒロインを振りまいていった。
『あれがララシャ様?嘘でしょう』
『体形が…誰か分からなくなっているじゃない』
『体形で、離縁されたの?』
『さすがに、それはないでしょう』
『でも、王家よ?』
ララシャを王子妃だったことで、名前くらいしか知らない者は、陛下の元婚約者で、王妃陛下の姉だと知ると、信じられないという目で見つめた。
『あれが?王妃陛下だったというのか?随分、年上だったか?』
『いえ、王妃陛下と一つしか変わらないわ』
『転がってしまいそうじゃないか』
『ちょっと!止めてよ』
そんなことを言われているとは知らないララシャは、注目を浴びてしまって申し訳ないわねという気分で、前方に見知った顔を見付けて声を掛けた。
「ナディア、久しぶりね」
「え?…ララシャ様ですの?」
ナディア・ストローフ。ストローフ伯爵の嫡女で、現在は婿養子を迎えて、当主となっている。ララシャとは同じクラスで、話をする間柄だった。
ナディアはララシャの姿に驚きを隠せず、王家に離縁されたのに、夜会に参加していることにもだが、やはり気になるのは、その体形である。
食べても太らないはずが、これはどういうことなのだろうかと、首を傾けた。
食べ過ぎるとちゃんと太るナディアは、母に口酸っぱく、体形のことを言われていたこともあり、ララシャに羨ましいと話すと、そんなことはないわと言いながらも、誇らしそうな令嬢であった。
同じクラスだった時のララシャは、アンセム王太子殿下の婚約者で、ゆくゆくは王太子妃という存在。媚びるつもりはなかったが、失礼のないように過ごしていた。
だが、急にピデム王国の第二王子殿下と婚約することになり、あっさりと結婚してしまった。
媚びていた方々は折角、付き合ってあげていたのにと態度を変えた。
婚約者になったのはララシャの妹・ソアリス様であった。パッと見は似ているが、庇護欲をそそるララシャとは違い、ハツラツとした令嬢だった。
学年も違い、関わることはなかったが、公爵令嬢ということで、目に余る生徒には容赦がなく、影の支配者と呼ばれていた。だが、私はそれは公爵令嬢としてあるべき姿だと思った。
爵位の高い者の務めであり、婚約者だからと行っていたわけではない。
それでも『王太子殿下の婚約者だからって、調子に乗って、私の方が優秀なのよ』と言われていたところに遭遇したことがあったが、『だったらお前が婚約者になるか?陛下に進言してやろう、優秀で完璧な令嬢だと、失敗したら自害してもいいと言っているとな』と脅していた。
その後、その令嬢は王妃陛下に『パーフェクトガール』と呼ばれて、もう止めてくださいと泣き出したり、逃げていくことになった。さすが影の支配者と呼ばれるくらいだと納得した。
「出戻ってしまったの、お恥ずかしいわ」
「伺っています。ファシリア夫人に誘われたのですか?」
「ええ、そうなの。どうしようかと思ったのだけど、お招きいただいたのだから、来てみたのよ」
あくまで誘われたから、出席したということが、ララシャにとって大事であった。
「そうでしたか…」
「ローティーは来ていないのかしら?」
「ああ…おそらくいらしてないと思います」
「そうなの?話を聞きたかったのだけど」
それは酷だろうと思ったが、曖昧にほほ笑むしかなかった。
「ご主人と来られたの?」
「いえ、今日は息子と来ましたの。今は友人と話をしていますわ」
紹介する気はなかったので、離れていて良かったとすら思った。
「私も娘がいるのですけど、離れ離れになってしまって」
ナディアはそれはそうだろうと思ったが、再び曖昧にほほ笑んだ。
その様子を見ていたポーリア。
「ストローフ伯爵が捕まったようですわね」
「彼女は状況を分かっているだろうから、心配はないだろう」
ナディアと別れたララシャは、今度はまた違う同級生へと話しかけて、意見の齟齬があって離縁されたと、悲劇のヒロインを振りまいていった。
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