私のバラ色ではない人生

野村にれ

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大伯母

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 ララシャもアリルが出産したことにを知ることになった。わざわざララシャに伝えたわけではなく、ロアンスラー公爵家が喜びに満ちていたからである。

「何かあったの?」
「アリル様が子どもをお産みになったのだ。お前は興味もないだろう?」
「え?」

 サイラスに答えは貰ったが、話し終えるとすぐに去っていった。

「孫が3人なんて、とても年寄りに見えるって知らないのかしら?周りの見えていない、ソアリスだから仕方ないわね。私だったら、お祖母様なんて絶対呼ばれたくないし、呼ばせないわ」

 誰かに聞かれていたら、子どもが生まれたことをそのように考え、認められることはないが、自分も大伯母なのに、何言ってんだ?鏡を見ていないのか?と言いたいところではあるが、ララシャは今でもソアリスの方が年下なのに、どんどん老け込んでいくと馬鹿にし続けていた。

 しかもアリルは一度は手元に置こうとした王女で、手元に置けていたら、私も祖母になっていたのかと、引き取らなくて良かったなどと勝手に思っていた。

 ララシャはある意味、ピデム王国でも王子宮にいることが多かったので、ロアンスラー公爵家にいることも、生活面に関しては、豪華な食事と夫と娘がいないだけで、あまり変化はないと言える。

 豪華な食事や、クリームたっぷりパンケーキもなくなったが、お腹がすいたと言い出すのが面倒で、これまでロアンスラー公爵家ではあまり食べていなかった分だと思って、食べるものは与えているので、一切痩せてはいない。

 元々、王子宮でも使用人にも距離を置かれ、ロアンスラー公爵家でも世話だけはして貰えているので、見た目も考えも変わっていなかった。

 それよりも、サイラスから聞かされた、もう一つの話の方に驚いた。

「オイエン侯爵の娘は他国に嫁いだそうだ」
「え?どこへ?」
「イルヤ王国の王家だ」
「王家ですって」

 疎い者や、下位貴族でなければ、イルヤ王国という時点で察するが、何も知らないララシャは、あのローティーの娘が王家に嫁ぐなんてと悔しい気持ちになった。

 ソアリスに頼むことすらしていなかった癖に、それなら教えてくれてもいいのに、連絡もないなんて失礼ではないか。王家に嫁がせて、いい気になっているのかもしれないと、勝手に怒っていた。

 リベルとエミアンローズのことは気になっているが、こちらから連絡することは出来ないと言われているので、ララシャにはどうにも出来ない。

 どうして離れて耐えられるはずがないのに、連絡がないのかと不満に思っていたが、リベルとエミアンローズも、同じように連絡しないように言われているのではないかと都合よく考え、自分のために心配している。

 ピデム王国では、貴族も一応話はして貰えるが、ソアリスがララシャに思っていたように、自慢や惚気話になっていくことに、仲良くしてくれる者も出来なかった。

 ララシャの評判を聞き、価値がないと見透かされていたのだろう。

 唯一、オリンダー王太子妃には茶会に誘って貰い、ララシャは王子妃だから、貴族にとっては恐れ多い存在なのだと受け取っていた。

 ピデム王国でのことが当たり前になっていたが、今は王族ではない。クロンデール王国で当時は王太子の婚約者ということもあって、茶会やパーティーに参加していたことが、ララシャに蘇るようになっていた。

 だが、お誘いもなければ、自分で催すことは出来ない。

 ならば機嫌のいいはずのローティーに力になって貰おうと、手紙を送りはしたが、ローティーはミリンティーのことで、今は情けなさとショックで、意気消沈していた。

 ソアリスにも非礼をしてしまったということもあり、丁度夜会に誘われていた、前に一緒に会ったファシリア・バート伯爵夫人に、欠席の連絡と可能ならララシャを誘って欲しいと手紙を出した。

 そして、ファシリアからララシャは夜会の誘いを受けることになった。
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