私のバラ色ではない人生

野村にれ

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アリルの出産1

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 ミフルはアリルとエクルに、ブリンブリンティーいや、ミリンティーの新しい名前について、共有するために手紙を書いた。

 特にブッヒッヒは声に出すと、笑いが込み上げてくると書くと、二人は声に出して、笑ってしまった。互いの夫にどうしたんだい?と尋ねられる羽目になった。

 アリルはソアリスの付けた名前の説明をして、ルーファはさすがソアリス様だと感激し、リズに嬉しそうに話しに行ってしまったくらいだ。

「ブリンブリンティー妃から、ブーヒーだそうです」
「あはははは!お似合いのあだ名じゃない」
「ブッヒッヒもあるそうです」
「ふふふふふ、ひっどいわね」
「でも口にすると、ちょっと楽しくなって来ます」
「ブッヒッヒ、本当ね」
「ブッヒッヒ」

 エクルはブルックスはこの前の一件から事実だったのだとようやく信じてくれた。その夜、ブーヒーとブッヒッヒが流行ったが、もう本物を見ることはない。

 そして、しばらくしてアリルの陣痛が始まった。

 ちょっとだけ行ってくるわとソアリスはバーセム公爵家に向かい、アンセムも付いて行きたかったが、ソアリスの目はお前役に立たないくせに?と言わんばかりで、王宮に留まった。

 まるで我が家のようにバーセム公爵家に入り、当たり前のように迎えられた。

「リズばあさん!どんな感じ?」
「ソアリスばあさん、順調よ」

 既にアリルは陣痛に耐えながら、万全の態勢が取られている。

「お母様!」
「アリル~!痛いでしょう?お母様、7人も産んで凄いって思った?」

 こんな時もソアリスは、通常運転である。

「思ったわ、と言うより、前から思っているわ」
「尊敬した?」
「元々しているわよ、イタタタタ」
「いきんでは駄目よ。押してあげましょう、逃げるから」

 ソアリスは親指で力強く、アリルの腰をぎゅっと押すと、アリルは楽になったと言い、ルーファに伝授した。

「アリル、ブッヒッヒ~よ!あ!間違えた、ヒッヒッフーよ」
「お母様、ちょっと、ブッヒッヒ~って、止めてよ、もう~」

 ルーファも笑っていて、アリルは笑うと痛むので、羨ましく感じた。

「ミオトじいさんが戻ったら、やってもらうといいわ!絶対一番適任者よ!」
「折れたりしない?あの人、ソアリスと同じで、力の微調整なんて器用なこと出来ないわよ」
「あ…それは…」

 いくらバーセム公爵だとしても、自分と同じだと言われると、途端に自身がなくなるソアリスであった。

「でもケイトの陣痛の時に、私を運んでくれた恩人よ?」
「誕生日プレゼントになったでしょう?」
「ええ、とっても」

 ソアリスは満足そうに頷いている。

「父が運んだのですか?」
「そうなの~たまたま通り掛かって、あれは運命だったわ」
「役得ですね」
「そうなの!」

 ルーファにミオトにとって光栄なことだと思っているが、アリルとリズはちゃんとソアリスの方が幸運だったと理解している。

 そして、ソアリスの登場のおかげなのか、アリルは分娩に入った。

 ルーファは立ち会うと言い、他の皆は別室で待つことになった。するとソアリスが何か祈り出し、心配なのねと思っていたが、最初はいいが、次の台詞にリズもリファラも『んんん?』となっている。

「健康に生まれますように。なるべくミオト・バーセムに似ますように」
「ソアリス…」
「だって、ルーファはリズに似てて、アリルは私に似てしまったのよ?いよいよ合体してしまうじゃない?」
「そんなこと考えていたの…?」
「そうよ、リズに似たらいいけど」
「ミオトに似て欲しいだけでしょう?女の子だったら、逞し過ぎるわよ?」

 リファラは顔はミオトとリズの両方に似ているが、逞しい体ではない。

「いいじゃない!最高よ!」

 いつものことだが、ミオトへの評価が高過ぎる。

「う、生まれたか?」

 そこへ噂のミオト・バーセムが帰って来た。陣痛が始まっていることは分かっていたが、仕事に行かなければならず、なかなか帰れなかった。
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