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未婚者のパーティー1
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ミリンティーは誘われることもなく、全員参加の王家の夜会に出席していたくらいで、久し振りのパーティーであったために、緊張していた。
誰か疎遠にはなってしまっているが、同級生はいないかと探していたが、未婚限定であるために年下、爵位の下の者たちばかりであった。
ゆえに、噂されても当然であった。
「あの方って…」
「おそらくオイエン侯爵令嬢ですわね…今日の中で、一番爵位の高い方にはなるでしょうね」
「年齢もではなくて?」
「いいえ、年齢はマーチス子爵令嬢がいらっしゃいますから」
ファビラミア・マーチス子爵令嬢は、現在25歳である。
「そうでしたわね、でもあの方は…」
「まあ、そうですわね」
花盛りというべき令嬢たちに、ミリンティーもまだ21歳、世代が違うだけで一気に老け込んだ気持ちになるはずなのだが、自分の置かれている立場に今まで気付いていない鈍感力を発揮していた。
ある意味、そういったところはローティーに似ているのだろう。
ミリンティーのことは世代の違いで、詳しくは知られていない。だが、そうなって来ると、どうして侯爵令嬢に婚約者がいないのか、見た目が問題になって来る。
本日もドレスなので、肉付きの良さがまじまじと分かる。
パーティーでは噂のファビラミア・マーチスが、なるべく爵位の高い令息、見た目のいい令息にだけ声を掛けて、擦り寄っていた。
ファビラミアは、豊かな胸に大きな尻に、女性らしい身体付きではあったが、令嬢としては下品な姿と相まって、安っぽい存在となっていた。
まともに結婚したい令息は、相手にしたくない。
なぜ25歳になっても結婚していないのかは、本人は体が弱くてと言っているが、婚約者はいなかったが、結婚前に不特定多数の男性と関係を持ち、身持ちが悪く、婚約者も出来なかったというのは理由である。
関係を持った相手は結局、婚約してくれる者はおらず、平民もおり、行き遅れてしまったのだ。
それでもいいと思っていたが、親に25歳までしか養わないと言われて、愛人でもいいので、普通のパーティーにも愛人希望で参加し、未婚者のパーティーにも参加するようになっている。
ミリンティーは、軽食を取る女性に見覚えがあった。
「確か、オット伯爵令嬢…」
同じクラスではなかったが、同じ学年の令嬢だった。知り合いのいない中で、そんな繋がりですらミリンティーは、ホッとしていた。話したこともなかったが、気付けば声を掛けていた。
「オット伯爵令嬢よね?」
「…オイエン侯爵令嬢、ご無沙汰しております」
リーリア・オット伯爵令嬢は頭を下げた。
「あなたが参加しているとは思わなかったわ」
「いえ、私は付き添いでして」
「付き添い?」
「はい、義妹の付き添いで参加しています」
ミリンティーは付き添いなど聞いていなかった、だったら誰か一緒に来てくれれば良かったのにと思ったが、親が付いてきているような者はいない。
概ね、リーリアのように姉や兄などが付き添っているのである。
「そうでしたの…ご結婚されているのね」
「はい、エルムート伯爵家に嫁いでおります」
偶然ではあったが、エルムート伯爵の嫡男の妻が、リーリアであった。現在はリーリア・エルムートである。
「そう…」
言われてみれば、結婚したはずの令息はあまりいないが、同級生ではない令嬢ではあったが、壁際の方に何人か見掛けた。離縁されたのかと、心の中で笑っていたが、違ったのか。
「赤い組紐を付けている方は、付き添いの方です」
最初に説明があったのだが、ミリンティーは聞いてはいなかった。リーリアは予防線として、知らせて置くことにした。
「そうなのね、あの声を掛けて回っているのは、どなたなの?」
ミリンティーも、ファビラミアの行動が目に付いていた。
「あの方はファビラミア・マーチスです」
「子爵家の…あれはどうなの?マナーがなっていないんじゃなくて?」
「…え」
それは一番、ミリンティーが言う権利のない言葉であった。
誰か疎遠にはなってしまっているが、同級生はいないかと探していたが、未婚限定であるために年下、爵位の下の者たちばかりであった。
ゆえに、噂されても当然であった。
「あの方って…」
「おそらくオイエン侯爵令嬢ですわね…今日の中で、一番爵位の高い方にはなるでしょうね」
「年齢もではなくて?」
「いいえ、年齢はマーチス子爵令嬢がいらっしゃいますから」
ファビラミア・マーチス子爵令嬢は、現在25歳である。
「そうでしたわね、でもあの方は…」
「まあ、そうですわね」
花盛りというべき令嬢たちに、ミリンティーもまだ21歳、世代が違うだけで一気に老け込んだ気持ちになるはずなのだが、自分の置かれている立場に今まで気付いていない鈍感力を発揮していた。
ある意味、そういったところはローティーに似ているのだろう。
ミリンティーのことは世代の違いで、詳しくは知られていない。だが、そうなって来ると、どうして侯爵令嬢に婚約者がいないのか、見た目が問題になって来る。
本日もドレスなので、肉付きの良さがまじまじと分かる。
パーティーでは噂のファビラミア・マーチスが、なるべく爵位の高い令息、見た目のいい令息にだけ声を掛けて、擦り寄っていた。
ファビラミアは、豊かな胸に大きな尻に、女性らしい身体付きではあったが、令嬢としては下品な姿と相まって、安っぽい存在となっていた。
まともに結婚したい令息は、相手にしたくない。
なぜ25歳になっても結婚していないのかは、本人は体が弱くてと言っているが、婚約者はいなかったが、結婚前に不特定多数の男性と関係を持ち、身持ちが悪く、婚約者も出来なかったというのは理由である。
関係を持った相手は結局、婚約してくれる者はおらず、平民もおり、行き遅れてしまったのだ。
それでもいいと思っていたが、親に25歳までしか養わないと言われて、愛人でもいいので、普通のパーティーにも愛人希望で参加し、未婚者のパーティーにも参加するようになっている。
ミリンティーは、軽食を取る女性に見覚えがあった。
「確か、オット伯爵令嬢…」
同じクラスではなかったが、同じ学年の令嬢だった。知り合いのいない中で、そんな繋がりですらミリンティーは、ホッとしていた。話したこともなかったが、気付けば声を掛けていた。
「オット伯爵令嬢よね?」
「…オイエン侯爵令嬢、ご無沙汰しております」
リーリア・オット伯爵令嬢は頭を下げた。
「あなたが参加しているとは思わなかったわ」
「いえ、私は付き添いでして」
「付き添い?」
「はい、義妹の付き添いで参加しています」
ミリンティーは付き添いなど聞いていなかった、だったら誰か一緒に来てくれれば良かったのにと思ったが、親が付いてきているような者はいない。
概ね、リーリアのように姉や兄などが付き添っているのである。
「そうでしたの…ご結婚されているのね」
「はい、エルムート伯爵家に嫁いでおります」
偶然ではあったが、エルムート伯爵の嫡男の妻が、リーリアであった。現在はリーリア・エルムートである。
「そう…」
言われてみれば、結婚したはずの令息はあまりいないが、同級生ではない令嬢ではあったが、壁際の方に何人か見掛けた。離縁されたのかと、心の中で笑っていたが、違ったのか。
「赤い組紐を付けている方は、付き添いの方です」
最初に説明があったのだが、ミリンティーは聞いてはいなかった。リーリアは予防線として、知らせて置くことにした。
「そうなのね、あの声を掛けて回っているのは、どなたなの?」
ミリンティーも、ファビラミアの行動が目に付いていた。
「あの方はファビラミア・マーチスです」
「子爵家の…あれはどうなの?マナーがなっていないんじゃなくて?」
「…え」
それは一番、ミリンティーが言う権利のない言葉であった。
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