169 / 395
処罪4
しおりを挟む
「面白くもない冗談ね、そんなことまでして気を引きたいの?それとも楽しませたいの?だから、あなたは」
「事実だ、ここに父上からの書状もある。読みなさい」
信用しないことも分かっていたので、王族として相応しくない行動を行ったため、国王陛下から離縁を命じる書類を作って貰っていた。
ララシャの同意なく、離縁することも出来るが、これまでの情と、矛先がソアリスに向かうことは容易であるために、責任を果たさなくてはならない。
ララシャは書状を受け取り、持つ手が震えていた。
「う、そ…嘘よ!そんなはずないわ!あなたは私を一生愛しているはずでしょう?愛していないって言うの?」
「正直、感情の話以前の問題だ。君は問題を起こした」
「問題って…エミアンの婚約者のこと?どうなったの?」
「どうなったって何だ?エミアンローズと結婚が出来るかってことか?」
「そうよ!」
当たり前じゃないかと言わんばかりだが、纏まることなどあり得ないとまだ分かっていないのか。
「グレイ殿下は非常にお怒りだった」
「エミアンのこと何も言っていなかったの?」
「会ってもいないのに、顔すら知らないさ。一生、会うこともない」
「あなた会ったの?だったら、どうしてエミアンを連れて行かなかったの!」
「はあ…そんなこと出来るわけがないと分からないのか?」
譲れなどと言った娘を連れて行って、エミアンローズがおかしなことでも言ったら、取り返しがつかなくなる。父上も兄上も許すわけがない。
「どうしてよ…」
「謝罪に行ったのに、娘を紹介などしたら、国がどうなるかも分からないのか?」
「エミアンの将来が掛かっているのよ?」
「エスザール王国は関係ない」
「関係あるわ!」
「何の関係がある?会ったことも挨拶したこともないだろう?」
血筋であるのはアンセム陛下で、エスザール王国と懇意にしているわけでもないのに、関係はあるというのが信じられない。
「だから、連れて行っていれば、そうよ、私も一緒に行くわ」
「ララシャとエミアンローズは、エスザール王国に入国禁止になった」
「…は?」
「エスザール王国の国王陛下の決定だ」
「っな!そんな酷いわ…」
「困ることはないだろう」
ララシャもエミアンローズもエスザール王国に行ったことは、前回が初めてだった。これまで生きて来れたのが、その理由である。
「エミアンが、愛する人に会えないじゃない!」
「もっと重い罰の方が良かったか?今からでも申し出てもいい」
「え、罰って…」
「当時、ピデム王国の第二王子妃が、エスザール王国とクロンデール王国の縁組に意見をしたんだ。どうなるか分からなかったのか?覚悟もなく言ったのか?そんなに軽い立場ではない」
「私はソアリスの姉として」
「王子妃ではない立場だったというのか?」
そんな都合のいい話はないのだが、思い込んでいるのだろうと否定する。
「そ、そうよ」
「だが、ソアリス妃に立場を聞かれただろう?忠告すら気付かないのか?」
「忠告…」
「そうだよ、王子妃として立場を考えるべきだと言ってくれていたんだ」
「そんなはずないわよ!」
何か言っていたが、ソアリスが忠告していたはずはない。リベルは王妃だからって、勘違いしている。
「ソアリスは自分は王妃だって、自慢したくて、だから、本当は私が」
「自分が王妃だったと?確かにそうだな、私さえ現れなかったら、そうなっていたかもしれないものな」
「かもじゃない、そうなっていたわ」
「王太子妃教育は終わってからだろう?」
「母国なら終わっていたわ」
ピデム王国だから出来なかったと今でも思っており、とは言っても今さらかもしれないで、何か出来るわけではない。
「君の離縁後については、兄上が王宮で謝罪と相談をしてくれている。そちらに従うことになる。ロアンスラー公爵家も同意している」
「本当なの…」
ようやく、今後と言われて、ようやく離縁に実感が湧いていた。
「事実だ、ここに父上からの書状もある。読みなさい」
信用しないことも分かっていたので、王族として相応しくない行動を行ったため、国王陛下から離縁を命じる書類を作って貰っていた。
ララシャの同意なく、離縁することも出来るが、これまでの情と、矛先がソアリスに向かうことは容易であるために、責任を果たさなくてはならない。
ララシャは書状を受け取り、持つ手が震えていた。
「う、そ…嘘よ!そんなはずないわ!あなたは私を一生愛しているはずでしょう?愛していないって言うの?」
「正直、感情の話以前の問題だ。君は問題を起こした」
「問題って…エミアンの婚約者のこと?どうなったの?」
「どうなったって何だ?エミアンローズと結婚が出来るかってことか?」
「そうよ!」
当たり前じゃないかと言わんばかりだが、纏まることなどあり得ないとまだ分かっていないのか。
「グレイ殿下は非常にお怒りだった」
「エミアンのこと何も言っていなかったの?」
「会ってもいないのに、顔すら知らないさ。一生、会うこともない」
「あなた会ったの?だったら、どうしてエミアンを連れて行かなかったの!」
「はあ…そんなこと出来るわけがないと分からないのか?」
譲れなどと言った娘を連れて行って、エミアンローズがおかしなことでも言ったら、取り返しがつかなくなる。父上も兄上も許すわけがない。
「どうしてよ…」
「謝罪に行ったのに、娘を紹介などしたら、国がどうなるかも分からないのか?」
「エミアンの将来が掛かっているのよ?」
「エスザール王国は関係ない」
「関係あるわ!」
「何の関係がある?会ったことも挨拶したこともないだろう?」
血筋であるのはアンセム陛下で、エスザール王国と懇意にしているわけでもないのに、関係はあるというのが信じられない。
「だから、連れて行っていれば、そうよ、私も一緒に行くわ」
「ララシャとエミアンローズは、エスザール王国に入国禁止になった」
「…は?」
「エスザール王国の国王陛下の決定だ」
「っな!そんな酷いわ…」
「困ることはないだろう」
ララシャもエミアンローズもエスザール王国に行ったことは、前回が初めてだった。これまで生きて来れたのが、その理由である。
「エミアンが、愛する人に会えないじゃない!」
「もっと重い罰の方が良かったか?今からでも申し出てもいい」
「え、罰って…」
「当時、ピデム王国の第二王子妃が、エスザール王国とクロンデール王国の縁組に意見をしたんだ。どうなるか分からなかったのか?覚悟もなく言ったのか?そんなに軽い立場ではない」
「私はソアリスの姉として」
「王子妃ではない立場だったというのか?」
そんな都合のいい話はないのだが、思い込んでいるのだろうと否定する。
「そ、そうよ」
「だが、ソアリス妃に立場を聞かれただろう?忠告すら気付かないのか?」
「忠告…」
「そうだよ、王子妃として立場を考えるべきだと言ってくれていたんだ」
「そんなはずないわよ!」
何か言っていたが、ソアリスが忠告していたはずはない。リベルは王妃だからって、勘違いしている。
「ソアリスは自分は王妃だって、自慢したくて、だから、本当は私が」
「自分が王妃だったと?確かにそうだな、私さえ現れなかったら、そうなっていたかもしれないものな」
「かもじゃない、そうなっていたわ」
「王太子妃教育は終わってからだろう?」
「母国なら終わっていたわ」
ピデム王国だから出来なかったと今でも思っており、とは言っても今さらかもしれないで、何か出来るわけではない。
「君の離縁後については、兄上が王宮で謝罪と相談をしてくれている。そちらに従うことになる。ロアンスラー公爵家も同意している」
「本当なの…」
ようやく、今後と言われて、ようやく離縁に実感が湧いていた。
4,383
お気に入りに追加
8,469
あなたにおすすめの小説
継母の品格 〜 行き遅れ令嬢は、辺境伯と愛娘に溺愛される 〜
出口もぐら
恋愛
【短編】巷で流行りの婚約破棄。
令嬢リリーも例外ではなかった。家柄、剣と共に生きる彼女は「女性らしさ」に欠けるという理由から、婚約破棄を突き付けられる。
彼女の手は研鑽の証でもある、肉刺や擦り傷がある。それを隠すため、いつもレースの手袋をしている。別にそれを恥じたこともなければ、婚約破棄を悲しむほど脆弱ではない。
「行き遅れた令嬢」こればかりはどうしようもない、と諦めていた。
しかし、そこへ辺境伯から婚約の申し出が――。その辺境伯には娘がいた。
「分かりましたわ!これは契約結婚!この小さなお姫様を私にお守りするようにと仰せですのね」
少しばかり天然、快活令嬢の継母ライフ。
■この作品は「小説家になろう」にも投稿しています。
【完結】愛されないあたしは全てを諦めようと思います
黒幸
恋愛
ネドヴェト侯爵家に生まれた四姉妹の末っ子アマーリエ(エミー)は元気でおしゃまな女の子。
美人で聡明な長女。
利発で活発な次女。
病弱で温和な三女。
兄妹同然に育った第二王子。
時に元気が良すぎて、怒られるアマーリエは誰からも愛されている。
誰もがそう思っていました。
サブタイトルが台詞ぽい時はアマーリエの一人称視点。
客観的なサブタイトル名の時は三人称視点やその他の視点になります。
婚約破棄された令嬢のささやかな幸福
香木あかり
恋愛
田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。
「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」
婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
ならば一人で生きていくだけ。
アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。
「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」
初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。
「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」
何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。
しかし丁重にお断りした翌日、
「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」
妹までもがやってくる始末。
しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。
「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」
家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。
従姉の子を義母から守るために婚約しました。
しゃーりん
恋愛
ジェットには6歳年上の従姉チェルシーがいた。
しかし、彼女は事故で亡くなってしまった。まだ小さい娘を残して。
再婚した従姉の夫ウォルトは娘シャルロッテの立場が不安になり、娘をジェットの家に預けてきた。婚約者として。
シャルロッテが15歳になるまでは、婚約者でいる必要があるらしい。
ところが、シャルロッテが13歳の時、公爵家に帰ることになった。
当然、婚約は白紙に戻ると思っていたジェットだが、シャルロッテの気持ち次第となって…
歳の差13歳のジェットとシャルロッテのお話です。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~
和泉鷹央
恋愛
忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。
彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。
本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。
この頃からだ。
姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。
あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。
それまではとても物わかりのよい子だったのに。
半年後――。
オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。
サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。
オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……
最後はハッピーエンドです。
別の投稿サイトでも掲載しています。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
さげわたし
凛江
恋愛
サラトガ領主セドリックはランドル王国の英雄。
今回の戦でも国を守ったセドリックに、ランドル国王は褒章として自分の養女であるアメリア王女を贈る。
だが彼女には悪い噂がつきまとっていた。
実は養女とは名ばかりで、アメリア王女はランドル王の秘密の恋人なのではないかと。
そしてアメリアに飽きた王が、セドリックに下げ渡したのではないかと。
※こちらも不定期更新です。
連載中の作品「お転婆令嬢」は更新が滞っていて申し訳ないです(>_<)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる