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災い来たる5
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「言わないわよ!」
「公務もないから、肥え太っていてもいいのかしら?」
エミアンローズがいなくなったことで、これでもかというほど、嫌味というか、悪口の応酬となっている。
「あなたはそればっかり!」
「だって、そんな体形を見せ付けられて、黙っていろって言う方が無理な話じゃない?何だか面白くなって来たわ、ふふふ」
「だから!妊娠をして!そうよ、あなた40歳を過ぎて、子どもを産むなんて、私とても恥ずかしかったのよ」
ララシャは結局、リベルが祝いを送っているが、ケイトの出産の祝いを一切言っていない。そんなことは頭にないという状況で、どれだけ自分のことしか頭にないか分かるというものである。
そして、ようやく第7子のことを思い出した。
周りが気を使って、おめでたいと言ってくれたが、こんな年で本当に恥ずかしいわと言うことが、とても気持ちが良かった。
「恥ずかしい、そう、それは悪かったわね」
黙って控えていた侍女と護衛はその言葉に、怒りで震えたが、そんなことで傷付くソアリスではない。
「だったら、私も肥え太った、樽のような姉を持って恥ずかしいのだけど?」
「樽ですって!」
「ララシャ様、太ってらっしゃるのはご存知?なんて言われていたのよ?見るまで信じていなかったけど…これは言われるわよね」
「っな、ななな」
他者から言われた時と聞き、さすがに動揺をした。
「妊娠して体形が変わるのは分かるわ。別に人前に立たない人間なら、気にしなくてもいいかもしれないけど、病気でもないのに肥え太った王族なんて、見てられないでしょう?」
ユリウスが遠くから見ても、明らかに異彩を放っていたと言っていた。
「あなたは戻り易かっただけじゃない」
「勝手に戻ったのではないわ、食事制限や運動をして、戻したのよ?あなたは乳母もおらず、一人で育てたとでも言うの?」
「そんなはずないでしょう!」
乳母を雇えないというのは、お金がないという意味で、どうして私が一人で育てなきゃならないのよと、怒っていた。
「だったら乳母も雇えない方に比べて、楽をさせて貰っていることは、分かっているのでしょう?だったら、体重くらい戻しなさいよ、影で笑われているわよ?」
「はあ?笑われるわけないでしょう」
「今、ローティー・オイエンと並んだら、そっくりなんじゃない?」
ローティーはララシャの友人で、変わり種のせいで、未だに婚約者が決まらないミリンティーの母親である。
「はあ?」
「娘さんも同じ体形だから、そっくりだと思うわよ。当時、あなたはずっと馬鹿にしていたわよね?」
友人をあんなに太って恥ずかしくないのか、隣にいるとますます太って見えて、申し訳ないなどと言っていた。
「ローティーと一緒だなんて…」
「娘に婚約者がいないところも同じね。紹介して欲しいと言われなかった?」
「言われたけど…」
連絡はあり、王太子妃殿下の茶会で、声を掛けてみたが、周りにはおりませんわねと言われてしまった。
「あなたが紹介してくれればいいじゃない」
「嫌よ、評判の悪い娘なんて」
「評判が悪い?」
「ええ、侯爵令嬢としてあるまじき行為をされたの。婚約者が出来ないのも無理もないわ」
侯爵令嬢となれば嫁ぎ先も限られる、子どもが多い場合は下位貴族に嫁ぐことも出来るが、オイエン侯爵家はローティーと嫡男だけである。
それなのに下位貴族に嫁ぐということは、何か利益でもない限り、嫁ぎ先がなかったと取られてしまう。
「え?どういうこと?」
「友人なのだから、本人に聞いたら?それとも会うのが怖いかしら?」
「だから、しつこいわね!私はそんな話をしに来たのではないわ」
もう二度と会わないかもしれないと察しているので、言いたいことは言ってしまおうと思っているソアリスだった。
「公務もないから、肥え太っていてもいいのかしら?」
エミアンローズがいなくなったことで、これでもかというほど、嫌味というか、悪口の応酬となっている。
「あなたはそればっかり!」
「だって、そんな体形を見せ付けられて、黙っていろって言う方が無理な話じゃない?何だか面白くなって来たわ、ふふふ」
「だから!妊娠をして!そうよ、あなた40歳を過ぎて、子どもを産むなんて、私とても恥ずかしかったのよ」
ララシャは結局、リベルが祝いを送っているが、ケイトの出産の祝いを一切言っていない。そんなことは頭にないという状況で、どれだけ自分のことしか頭にないか分かるというものである。
そして、ようやく第7子のことを思い出した。
周りが気を使って、おめでたいと言ってくれたが、こんな年で本当に恥ずかしいわと言うことが、とても気持ちが良かった。
「恥ずかしい、そう、それは悪かったわね」
黙って控えていた侍女と護衛はその言葉に、怒りで震えたが、そんなことで傷付くソアリスではない。
「だったら、私も肥え太った、樽のような姉を持って恥ずかしいのだけど?」
「樽ですって!」
「ララシャ様、太ってらっしゃるのはご存知?なんて言われていたのよ?見るまで信じていなかったけど…これは言われるわよね」
「っな、ななな」
他者から言われた時と聞き、さすがに動揺をした。
「妊娠して体形が変わるのは分かるわ。別に人前に立たない人間なら、気にしなくてもいいかもしれないけど、病気でもないのに肥え太った王族なんて、見てられないでしょう?」
ユリウスが遠くから見ても、明らかに異彩を放っていたと言っていた。
「あなたは戻り易かっただけじゃない」
「勝手に戻ったのではないわ、食事制限や運動をして、戻したのよ?あなたは乳母もおらず、一人で育てたとでも言うの?」
「そんなはずないでしょう!」
乳母を雇えないというのは、お金がないという意味で、どうして私が一人で育てなきゃならないのよと、怒っていた。
「だったら乳母も雇えない方に比べて、楽をさせて貰っていることは、分かっているのでしょう?だったら、体重くらい戻しなさいよ、影で笑われているわよ?」
「はあ?笑われるわけないでしょう」
「今、ローティー・オイエンと並んだら、そっくりなんじゃない?」
ローティーはララシャの友人で、変わり種のせいで、未だに婚約者が決まらないミリンティーの母親である。
「はあ?」
「娘さんも同じ体形だから、そっくりだと思うわよ。当時、あなたはずっと馬鹿にしていたわよね?」
友人をあんなに太って恥ずかしくないのか、隣にいるとますます太って見えて、申し訳ないなどと言っていた。
「ローティーと一緒だなんて…」
「娘に婚約者がいないところも同じね。紹介して欲しいと言われなかった?」
「言われたけど…」
連絡はあり、王太子妃殿下の茶会で、声を掛けてみたが、周りにはおりませんわねと言われてしまった。
「あなたが紹介してくれればいいじゃない」
「嫌よ、評判の悪い娘なんて」
「評判が悪い?」
「ええ、侯爵令嬢としてあるまじき行為をされたの。婚約者が出来ないのも無理もないわ」
侯爵令嬢となれば嫁ぎ先も限られる、子どもが多い場合は下位貴族に嫁ぐことも出来るが、オイエン侯爵家はローティーと嫡男だけである。
それなのに下位貴族に嫁ぐということは、何か利益でもない限り、嫁ぎ先がなかったと取られてしまう。
「え?どういうこと?」
「友人なのだから、本人に聞いたら?それとも会うのが怖いかしら?」
「だから、しつこいわね!私はそんな話をしに来たのではないわ」
もう二度と会わないかもしれないと察しているので、言いたいことは言ってしまおうと思っているソアリスだった。
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