私のバラ色ではない人生

野村にれ

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災い来たる3

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 王宮でお菓子も出なかったと言われたら嫌なので、用意させると、エミアンローズは音を立てながら、くちゃくちゃと食べていた。

 婚約者が出来たということは聞かないが、教育はどうなっているのか、これが原因かもしれないと思った。甘やかして言われるがまま与えて育て、これからどうするつもりなのか。

 いずれ自分の思う様にならずに、喚き出すことだろうと想像した。だが、その前に聞かなくてはならないことがある。

「ねえ、一つ聞いていいかしら?」
「なあに?」
「どうしてそんなに肥え太っているの?」
「はあ!?」

 太っていると言われるのは嫌なのか、目を吊り上がらせた。

「はあ?じゃないわよ、お母様と全く同じ体形になったことは分かるけど、痩せていることが誇りではなかったの?ビックリして、誰か分からなかったわ」
「妊娠したから仕方ないのよ」
「16年も前でしょう?いつまで引きずっているの?何、食べたの?」

 ソアリスはまだ1年も経っていないが、16年も前のことを言い、ララシャはまだ妊娠のせいだということを、盾にしていた。

「太ってなどいないわ」
「いやいや、それは無理でしょう。体はコルセットをしているのでしょうけど…しなかったらどうなるの?二の腕も昔の足くらいになっているじゃない」
「誰も太ったなど言っていないわ」
「気を使って言わないのか、言う気持ちをなくすほどの体形ってことでしょう?」
「はあ!?」
「何を食べたのよ?何を食べたら、そうなるの?」

 以前は痩せ細っていなかったソアリスを、肥え太ってもいないのに、いつも太っているわねと言っていたのだ。

「うるさいわね!」
「私にいつも太っていると言っていたじゃない、だから何かと言っているの!何を食べたの?食べても太らないはどうしたの?」

 ソアリスはとにかく、何を食べたのかが気になっていた。

「ママ、足りない~」
「そのくらいにして置きなさい」

 10個近くはあったはずのフィナンシェを、ペロリと食べ切っていた。

 これはその体形になるだろうと、部屋にいる者、全員が思った。

「ええ~!エミアン、もっと食べたいわ」

 16歳になる王族が、エミアンと自分を呼んでいることに、信じられない目で見つめた。だが、ソアリスは初めて姪に話し掛けることにした。

「ねえ、エミアンローズ殿下。ママはいつも何を食べているの?」
「ちょっと」

 ララシャは聞かれたくないのか、慌てている。

「ママ?美味しい物を食べているわ」
「美味しい物って?」
「パンケーキとか、ポテトとか」
「へえ…クリームたっぷり?」
「うん!一杯のっているのを毎朝、食べているわ」

 ソアリスは、うわ~っといった目で、ララシャを見つめた。ララシャもバツが悪いのか、目を泳がせている。

「表に出ることもないから…」
「出させて貰えないんでしょう?共通語はまだ話せないの?大丈夫なの?」
「うるさいわね!」
「聞いてみたかったのよ、あなたの扱いがどうなっているのか。ほとんど公務も出ていないのでしょう?」

 ソアリスはさすがに国内の出席事情や、出席に許可がいることは知らないが、公務に出ていないことは知っている。

「出なくていいからよ」
「出なくていいなんてあるの?」
「あるのよ!」

 それこそ妊娠でもしていなければ、出なくていい何てことはない。

「怒りっぽくなったわね、前はあんなに自信満々に生きていたのに。期待にくらい応えられると言っていたでしょう?自分は特別だと思っていたのでしょう?」
「応えているわ」
「そう?何の努力もしていないようにしか見えないけど」
「っな!リベルは私を愛しているのだから、いいのよ!」

 言いたいことは言った、ソアリスは本題に入ることにした。

「で、何の用なの?」
「グレイ殿下の婚約者を、エミアンローズに代わって欲しいの」
「は?」
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