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「イタタタタ…」
「ソ、ソアリス様!」
44歳の誕生日、当日。少し痛みがあるなと思いながら、歩いていたソアリスだったが、急に蹲った。護衛の一人が支え、一人が医師を呼びに行くと、ちょうどリズの夫であるバーセム公爵が歩いて来たが、様子に気付いて走り込んで来た。
「ソアリス様!」
「公爵…」
「陣痛ですか」
「多分?」
「お運ぎしてもよろしいですか」
護衛も鍛え上げた素晴らしい身体をしているが、体格の段階で、バーセム公爵には敵わないために、スッと身を引いた。
「まあ、公爵にお姫様抱っこして貰えるの?嬉しい…イタタタタ」
「お任せください、リズの名に懸けて」
ひょいと抱き上げたバーセム公爵は、ガシガシと力強い足取りで、歩き出した。
「リズの名って、あははは、イタタタタ…笑わせないで」
「はい!」
リズごめんねと思いながら、バーセム公爵の逞しい胸板に身を委ねた。
「王妃陛下―――!!」
ロペス医師も、走らないとか言ってられないと、こちらも鈍足で向かって来た。そのまま部屋に入り、準備が始まった。
「公爵、ありがとうございました」
「勿体ないお言葉でございます」
「リズに頑張るからって伝えて」
「はい!リズが、お誕生日おめでとうございますと伝えて欲しいと」
バーセム公爵はリズの伝言を伝えるために、ソアリスを探していたのだ。
「ありがとう!」
さすがにバーセム公爵に居てもらうことは出来ず、出て行って貰った。
「陛下がいらしてます」
「大丈夫陛下なら、いいわ」
「大丈夫陛下って何だ!」
もう入って来ており、夫なので仕方ないが、ソアリスは視界に入れると、あからまさに嫌な顔をしている。
「また壊れた人形みたいに、大丈夫かっていうつもりでしょう?大丈夫であるはずないのに…イタタタタ」
「平気か?」
「同じじゃない」
「痛むか?」
「痛むわよ」
いつもは邪魔になってはいけないと、すぐに退出していたが、今回は何か力になりたいと意気込んでいた。
「何かして欲しいことはないか?」
「変わりに産んでくれと言ったら、産めんのか?ああ?」
通常時にそんなことを言われれば、公務を押し付けるが、苛立っているソアリスに今、欲しい言葉ではなかった。
「そ、それ以外で…手でも握ろうか?」
「はあ?そんなもんで、痛みが治まるわけないだろうが!」
一国の王に言う台詞ではないが、第7子を44歳で、産もうとしている王妃には言う権利があるだろう。皆も聞かなかったことにすることくらい、容易である。
「っあ、お誕生日おめでとう」
「今!?今、言うことか?」
今朝は会っていなかった二人は、顔を合わせていなかった。
「だが」
「夕食のお肉、楽しみにしていたのにぃぃぃ!」
その言葉に、シェフが出産を頑張って貰うために、美味しいお肉をご用意していますと言っていたことを思い出してしまった。
「ああ…だがこればっかりは」
「分かってるわよ、イタタタタ…」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえ!」
「す、すまない…」
アンセムはなんて言えばいいんだと、頭をフル稼働するが、全くいい言葉が浮かばなかった。
「ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ…」
ブツブツと呟き始めたアンセムに、いつも以上に沸点の低いソアリスはキレた。
「オーラン、クオス!どこにいる!呪詛を吐いている国王を追い出せ!」
「呪詛じゃない」
「頑張っている人間に、ガンバレ、ガンバレって、いい加減にしやがれ!」
オーランとクイオに両腕を持たれてしまい、血圧が上がりますから出ていてくださいと、ロペス医師にも言われて、追い出されることになった。
王族が廊下で待つわけにはいかないので、皆で待機室で待つことになった。アンセムだけは立ち会っても良かったのだが、叶わなかった。
女性陣は座っているが、男性陣はうろうろ歩き回っている。唯一、座っている男性はカイルスだけである。
「ソ、ソアリス様!」
44歳の誕生日、当日。少し痛みがあるなと思いながら、歩いていたソアリスだったが、急に蹲った。護衛の一人が支え、一人が医師を呼びに行くと、ちょうどリズの夫であるバーセム公爵が歩いて来たが、様子に気付いて走り込んで来た。
「ソアリス様!」
「公爵…」
「陣痛ですか」
「多分?」
「お運ぎしてもよろしいですか」
護衛も鍛え上げた素晴らしい身体をしているが、体格の段階で、バーセム公爵には敵わないために、スッと身を引いた。
「まあ、公爵にお姫様抱っこして貰えるの?嬉しい…イタタタタ」
「お任せください、リズの名に懸けて」
ひょいと抱き上げたバーセム公爵は、ガシガシと力強い足取りで、歩き出した。
「リズの名って、あははは、イタタタタ…笑わせないで」
「はい!」
リズごめんねと思いながら、バーセム公爵の逞しい胸板に身を委ねた。
「王妃陛下―――!!」
ロペス医師も、走らないとか言ってられないと、こちらも鈍足で向かって来た。そのまま部屋に入り、準備が始まった。
「公爵、ありがとうございました」
「勿体ないお言葉でございます」
「リズに頑張るからって伝えて」
「はい!リズが、お誕生日おめでとうございますと伝えて欲しいと」
バーセム公爵はリズの伝言を伝えるために、ソアリスを探していたのだ。
「ありがとう!」
さすがにバーセム公爵に居てもらうことは出来ず、出て行って貰った。
「陛下がいらしてます」
「大丈夫陛下なら、いいわ」
「大丈夫陛下って何だ!」
もう入って来ており、夫なので仕方ないが、ソアリスは視界に入れると、あからまさに嫌な顔をしている。
「また壊れた人形みたいに、大丈夫かっていうつもりでしょう?大丈夫であるはずないのに…イタタタタ」
「平気か?」
「同じじゃない」
「痛むか?」
「痛むわよ」
いつもは邪魔になってはいけないと、すぐに退出していたが、今回は何か力になりたいと意気込んでいた。
「何かして欲しいことはないか?」
「変わりに産んでくれと言ったら、産めんのか?ああ?」
通常時にそんなことを言われれば、公務を押し付けるが、苛立っているソアリスに今、欲しい言葉ではなかった。
「そ、それ以外で…手でも握ろうか?」
「はあ?そんなもんで、痛みが治まるわけないだろうが!」
一国の王に言う台詞ではないが、第7子を44歳で、産もうとしている王妃には言う権利があるだろう。皆も聞かなかったことにすることくらい、容易である。
「っあ、お誕生日おめでとう」
「今!?今、言うことか?」
今朝は会っていなかった二人は、顔を合わせていなかった。
「だが」
「夕食のお肉、楽しみにしていたのにぃぃぃ!」
その言葉に、シェフが出産を頑張って貰うために、美味しいお肉をご用意していますと言っていたことを思い出してしまった。
「ああ…だがこればっかりは」
「分かってるわよ、イタタタタ…」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえ!」
「す、すまない…」
アンセムはなんて言えばいいんだと、頭をフル稼働するが、全くいい言葉が浮かばなかった。
「ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ…」
ブツブツと呟き始めたアンセムに、いつも以上に沸点の低いソアリスはキレた。
「オーラン、クオス!どこにいる!呪詛を吐いている国王を追い出せ!」
「呪詛じゃない」
「頑張っている人間に、ガンバレ、ガンバレって、いい加減にしやがれ!」
オーランとクイオに両腕を持たれてしまい、血圧が上がりますから出ていてくださいと、ロペス医師にも言われて、追い出されることになった。
王族が廊下で待つわけにはいかないので、皆で待機室で待つことになった。アンセムだけは立ち会っても良かったのだが、叶わなかった。
女性陣は座っているが、男性陣はうろうろ歩き回っている。唯一、座っている男性はカイルスだけである。
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