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驚愕3
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「アンセム!ソアリスが表に出る公務はあるの?」
「確か、図書館のリニューアルくらいだったかと…メディナ夫人、どうだ?」
「はい、外出する予定はそちらだけです」
王宮内の公務であれば、具合が悪くなれば休めばいいが、外出する公務となると、そうはいかない。そのことであること、ないことを言われるのも避けたい。
「では、そちらはソアリスは風邪だと言って、エクルとミフルに行かせましょう」
「風邪ですか」
「まだお腹は目立たないようだから、もう少し様子を見て、公表した方がいいわ。風邪は妊娠の伏線とするのよ」
「は、はい!」
「私で出来ることがあれば、代わるから」
「きゃ~お義母様ぁ~」
一国の王妃の言葉ではないが、テラーは慣れている。
「またこの子は、サボれることを喜んでいるのね。今回はカイルスの時以上に、おサボりなさい!母が認めましょう!」
「さすが、前王妃陛下っ!!」
ソアリスはソファで前の机に両手をついて、テラーにひれ伏して見せた。
「私も、私も、手伝うぞ!」
「あなた腰が痛いんでしょう?大丈夫なの?」
ロランは二日前から腰が痛いと言っており、呼びに来た時も、マッサージをして貰っていたのだ。
「後で医師を向かわせましょう」
「お願い。で、子どもたちにはまだ言っていないのね…まあ、困惑するだろうけど、カイルスも大きくなっているから、今なら大丈夫かもね」
「赤ちゃん返りしそうだな…」
アンセムの言葉に皆、否定は出来ずに静まり返った。
「甥っ子にも優しくしているようですから、大丈夫じゃない?」
カイルスは甥・ミオスを思いのほか、可愛がっている。
「ソアリス、あの子の重い愛を舐めてはいけない」
「でも、赤ちゃん返りしたらしたでいいわよ。皆、多かれ少なかれ、赤ちゃん返りしたもの。まだ子どもなんだから」
ユリウス、マイノス、アリル、エクル、年の離れたミフルですら多少したのだ。
「そうだな…ここに呼んだら、人口密度がさらに上がるな」
「でも一気に言った方がいいわよ」
「面倒なだけでしょう」
「さすがリズ!」
「さすがリズじゃないわよ!皆様、口にされないだけで思っていらっしゃるわよ」
皆、サッと目を逸らした。側近と侍女で、皆を呼んで来てもらうことにした。アリルも来ていたので、運命かのように全員揃っている。
ゾロゾロとやって来て、ルルエとエクシアーヌだけは椅子を用意した。
「お母様~」
一番に飛び込んで来たのは、もちろんカイルス。当たり前のように、定位置であるソアリスの横に、お行儀よく座った。
「多いわね~!」
「ほぼ、あなたが産んだ子じゃない」
「大きくなったから、余計に思うわね。今度、皆で長縄跳びでもしようかしら」
「回す役に夫を貸すわ」
「最高ね」
ソアリスとリズは呑気に話しているが、総勢8名はさすがに圧迫感があった。
「さあ、じいさん。おっしゃいな」
アンセムに丸投げする気である。皆、祖父母がいることもあり、さすがに何だと背筋を伸ばしているが、ソアリスの様子に暗い話ではないとは思っている。
「あのだな…その…」
再び言い難そうにしているアンセムに、テラーの溜息が聞こえ、結局ソアリスが言うことにした。
「43歳、ソアリスばあさんは、第7子を妊娠し、ビックリすることに、エクシアーヌが孫を産んだ後で、叔父か叔母を出産する予定です」
「は?」「え?」「はあ?」「うそ」や、絶句している者もおり、立ったまま座ったまま、口が空いて閉じようともしない者もいる。
「リズ・バーセムが気付いて、ばあさん先程まで、気付いてもおりませんでした。皆様、ばあさんへのご協力お願いします」
ソアリスは一気に終えたいので、疑問や言いたいことを全て言い切った。
「お母様、体は大丈夫なの?」
一番に質問をしたのは、アリルだった。
「今のところは大丈夫よ」
「甥っ子と、エクシアーヌ様に甥っ子か姪っ子、さらに妹か弟が…それでお祖父様とお祖母様がいたのね。病気とかではなくて良かったけど」
「確か、図書館のリニューアルくらいだったかと…メディナ夫人、どうだ?」
「はい、外出する予定はそちらだけです」
王宮内の公務であれば、具合が悪くなれば休めばいいが、外出する公務となると、そうはいかない。そのことであること、ないことを言われるのも避けたい。
「では、そちらはソアリスは風邪だと言って、エクルとミフルに行かせましょう」
「風邪ですか」
「まだお腹は目立たないようだから、もう少し様子を見て、公表した方がいいわ。風邪は妊娠の伏線とするのよ」
「は、はい!」
「私で出来ることがあれば、代わるから」
「きゃ~お義母様ぁ~」
一国の王妃の言葉ではないが、テラーは慣れている。
「またこの子は、サボれることを喜んでいるのね。今回はカイルスの時以上に、おサボりなさい!母が認めましょう!」
「さすが、前王妃陛下っ!!」
ソアリスはソファで前の机に両手をついて、テラーにひれ伏して見せた。
「私も、私も、手伝うぞ!」
「あなた腰が痛いんでしょう?大丈夫なの?」
ロランは二日前から腰が痛いと言っており、呼びに来た時も、マッサージをして貰っていたのだ。
「後で医師を向かわせましょう」
「お願い。で、子どもたちにはまだ言っていないのね…まあ、困惑するだろうけど、カイルスも大きくなっているから、今なら大丈夫かもね」
「赤ちゃん返りしそうだな…」
アンセムの言葉に皆、否定は出来ずに静まり返った。
「甥っ子にも優しくしているようですから、大丈夫じゃない?」
カイルスは甥・ミオスを思いのほか、可愛がっている。
「ソアリス、あの子の重い愛を舐めてはいけない」
「でも、赤ちゃん返りしたらしたでいいわよ。皆、多かれ少なかれ、赤ちゃん返りしたもの。まだ子どもなんだから」
ユリウス、マイノス、アリル、エクル、年の離れたミフルですら多少したのだ。
「そうだな…ここに呼んだら、人口密度がさらに上がるな」
「でも一気に言った方がいいわよ」
「面倒なだけでしょう」
「さすがリズ!」
「さすがリズじゃないわよ!皆様、口にされないだけで思っていらっしゃるわよ」
皆、サッと目を逸らした。側近と侍女で、皆を呼んで来てもらうことにした。アリルも来ていたので、運命かのように全員揃っている。
ゾロゾロとやって来て、ルルエとエクシアーヌだけは椅子を用意した。
「お母様~」
一番に飛び込んで来たのは、もちろんカイルス。当たり前のように、定位置であるソアリスの横に、お行儀よく座った。
「多いわね~!」
「ほぼ、あなたが産んだ子じゃない」
「大きくなったから、余計に思うわね。今度、皆で長縄跳びでもしようかしら」
「回す役に夫を貸すわ」
「最高ね」
ソアリスとリズは呑気に話しているが、総勢8名はさすがに圧迫感があった。
「さあ、じいさん。おっしゃいな」
アンセムに丸投げする気である。皆、祖父母がいることもあり、さすがに何だと背筋を伸ばしているが、ソアリスの様子に暗い話ではないとは思っている。
「あのだな…その…」
再び言い難そうにしているアンセムに、テラーの溜息が聞こえ、結局ソアリスが言うことにした。
「43歳、ソアリスばあさんは、第7子を妊娠し、ビックリすることに、エクシアーヌが孫を産んだ後で、叔父か叔母を出産する予定です」
「は?」「え?」「はあ?」「うそ」や、絶句している者もおり、立ったまま座ったまま、口が空いて閉じようともしない者もいる。
「リズ・バーセムが気付いて、ばあさん先程まで、気付いてもおりませんでした。皆様、ばあさんへのご協力お願いします」
ソアリスは一気に終えたいので、疑問や言いたいことを全て言い切った。
「お母様、体は大丈夫なの?」
一番に質問をしたのは、アリルだった。
「今のところは大丈夫よ」
「甥っ子と、エクシアーヌ様に甥っ子か姪っ子、さらに妹か弟が…それでお祖父様とお祖母様がいたのね。病気とかではなくて良かったけど」
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