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妖精3
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「では、私に王太子妃殿下は畑が悪いのではないですか、私の娘ならと言い出して、指毛がボーボーで、大きな宝石の付いた指輪に絡んで痛い痛いと言い出した、脂ぎったテカテカのおっさんも?」
「誰だ、そいつは?」
「まあ、あの方は違うの?」
「誰だ?」
「ブリッジ侯爵です」
「あれは、クズだ。失脚しただろう」
「あら、あれは違ったのね。汚いおっさんでしたものね」
ブリッジ侯爵はアンセムが王太子時代に、横領が発覚して、失脚した。今は全く繋がりのない遠縁が後を継いでいる。
「では、私の娘を側妃にと言っていたので、調べてみたら娘はまだ9歳で、次に会った時も言って来るので、9歳の娘を殿下に孕ませろとはどういうつもりだ?お前は鬼畜か?それとも殿下をロリコンだと思っているのか?と言ったら、隠し子が発覚した、服から生乾きの匂いのするおっさんも?」
「あれは調査して、離縁されてボロボロになっただろう?」
「そうでしたわね」
隠し子も15歳で、どうかと思う年齢ではあったが、9歳よりはマシだろう。
目的は隠し子を引き取るのに、側妃に召し上げるからという理由にしようと思っていたが、妻は何も知らず、しかも婿養子だったことで、離縁されて、生家で肩身の狭い思いをしている。
「誰ですか?」
「スベルク伯爵家の、元婿養子で、サチ子爵家の三男坊だ」
「オースマントロートっていう長ったらしい名前で、長男はジース、次男はラルクっていうの」
「で、三男がオースマントロート?」
「謎だよな…」
側近のオーランとクイオも唸りながら、腕を組んでいる。
「ええ、それで気になって、聞いたの」
「聞いたのか?」
「そうよ、スベルク伯爵側にね?」
「それで?」
皆、話が脱線しているにもかかわらず、興味津々である。
「娘だと信じて名前を考えていたから、男の子の名前を考えていなかったんですって。それで慌てて、オース、マント、ロートって名前を出して」
「まさか繋げたのか?」
「そうらしいの!繋げてしまえとなったそうよ。だから皆、好きな名で呼んでいたそうよ。おかげで、3つの名前で遊んでいたようだけど」
「「「ああ…」」」
オースマントロートは隠し子がいたように、女性関係が乱れており、スベルク伯爵に婿入りしても、治ることはなかった。
皆、長年の些細な謎が解けて、スッキリしていた。
「なぜ臭かったのかしら?」
「どうも奥方は疑ってらしたようだ、嫌がらせだろうな」
「んまあ!とっても、素晴らしい嫌がらせね!」
ソアリスはいつか使えるという顔をしており、皆の顔は引き攣った。
「ルルエ!何か言って来る奴は妖精だそうよ」
「は、はい」
「美人でもブスでも、ハゲでもデブでも、みーんな、妖精さんだ。そう思いなさい!そして、妖精さんが現れたら私を呼びなさい、私は好かれておりますから」
「はっ、はい!これからはそうします」
妙な方向で対策を取られたが、ソアリスはうんうんと満足そうに頷いている。
その場は解散され、ユリウスとルルエは部屋に戻った。
「お義母様は、やはりお強いですわね」
「…言っていなかったけど、口が悪いんだよ…私室で鬱憤を晴らしたり、今日みたいに人を馬鹿にするのが好きなんだ。騙したみたいで、すまない」
ユリウスはルルエは軽蔑するのではないかと、悪い口のことは時折出てしまうので、気付いてはいただろうが、きちんと話してはいなかった。
「い、いえ!何だか怒ってらっしゃる声を聞いたことがあります」
「聞いていたのか?」
「何度かです。誰か怒られているのかと思っていたのですけど、鬱憤を晴らされていたのですね」
「ああ、母の処世術なんだ」
「分かります!」
「分かるの?」
ルルエも今は不安にはなっていたが、穏やかなまま過ごしていると思っていた。
「誰だ、そいつは?」
「まあ、あの方は違うの?」
「誰だ?」
「ブリッジ侯爵です」
「あれは、クズだ。失脚しただろう」
「あら、あれは違ったのね。汚いおっさんでしたものね」
ブリッジ侯爵はアンセムが王太子時代に、横領が発覚して、失脚した。今は全く繋がりのない遠縁が後を継いでいる。
「では、私の娘を側妃にと言っていたので、調べてみたら娘はまだ9歳で、次に会った時も言って来るので、9歳の娘を殿下に孕ませろとはどういうつもりだ?お前は鬼畜か?それとも殿下をロリコンだと思っているのか?と言ったら、隠し子が発覚した、服から生乾きの匂いのするおっさんも?」
「あれは調査して、離縁されてボロボロになっただろう?」
「そうでしたわね」
隠し子も15歳で、どうかと思う年齢ではあったが、9歳よりはマシだろう。
目的は隠し子を引き取るのに、側妃に召し上げるからという理由にしようと思っていたが、妻は何も知らず、しかも婿養子だったことで、離縁されて、生家で肩身の狭い思いをしている。
「誰ですか?」
「スベルク伯爵家の、元婿養子で、サチ子爵家の三男坊だ」
「オースマントロートっていう長ったらしい名前で、長男はジース、次男はラルクっていうの」
「で、三男がオースマントロート?」
「謎だよな…」
側近のオーランとクイオも唸りながら、腕を組んでいる。
「ええ、それで気になって、聞いたの」
「聞いたのか?」
「そうよ、スベルク伯爵側にね?」
「それで?」
皆、話が脱線しているにもかかわらず、興味津々である。
「娘だと信じて名前を考えていたから、男の子の名前を考えていなかったんですって。それで慌てて、オース、マント、ロートって名前を出して」
「まさか繋げたのか?」
「そうらしいの!繋げてしまえとなったそうよ。だから皆、好きな名で呼んでいたそうよ。おかげで、3つの名前で遊んでいたようだけど」
「「「ああ…」」」
オースマントロートは隠し子がいたように、女性関係が乱れており、スベルク伯爵に婿入りしても、治ることはなかった。
皆、長年の些細な謎が解けて、スッキリしていた。
「なぜ臭かったのかしら?」
「どうも奥方は疑ってらしたようだ、嫌がらせだろうな」
「んまあ!とっても、素晴らしい嫌がらせね!」
ソアリスはいつか使えるという顔をしており、皆の顔は引き攣った。
「ルルエ!何か言って来る奴は妖精だそうよ」
「は、はい」
「美人でもブスでも、ハゲでもデブでも、みーんな、妖精さんだ。そう思いなさい!そして、妖精さんが現れたら私を呼びなさい、私は好かれておりますから」
「はっ、はい!これからはそうします」
妙な方向で対策を取られたが、ソアリスはうんうんと満足そうに頷いている。
その場は解散され、ユリウスとルルエは部屋に戻った。
「お義母様は、やはりお強いですわね」
「…言っていなかったけど、口が悪いんだよ…私室で鬱憤を晴らしたり、今日みたいに人を馬鹿にするのが好きなんだ。騙したみたいで、すまない」
ユリウスはルルエは軽蔑するのではないかと、悪い口のことは時折出てしまうので、気付いてはいただろうが、きちんと話してはいなかった。
「い、いえ!何だか怒ってらっしゃる声を聞いたことがあります」
「聞いていたのか?」
「何度かです。誰か怒られているのかと思っていたのですけど、鬱憤を晴らされていたのですね」
「ああ、母の処世術なんだ」
「分かります!」
「分かるの?」
ルルエも今は不安にはなっていたが、穏やかなまま過ごしていると思っていた。
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