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妖精2
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『ち、違うわ、男心が分かるって言っているの!』
『そうだったのね、奥方以外に鼻の下を伸ばすとか?意思とは関係なく、下半身が反応するとか?是非、どういう気持ちなの?教えて頂戴』
ソアリスはさあ!と言わんばかりに、座り込んでいるリパールを、真っ直ぐな眼差しでじっと見つめている。
『それは…』
『あなた、あれでしょう?男っぽいって言われてしまうのと言って、そんなことないよって言われるの待ちの、クソアピール女よね?』
『違うわ!私はそんなこと…』
図星だったが、認めることは恥ずかしかった。
リパールは顔の造形は美しいと言われる方だったが、慎ましい乳房のコンプレックスを抱え、男っぽいって言われるのと言うと、皆がそんなことないよと言ってくれることが、気にしなくていいと言われているようで嬉しかった。
リパールは男っぽいと言ったのだが、ソアリスが男勝りに変換したのだ。
『男っぽいと自称していれば、乳房が慎ましいと、コンプレックスを隠すことも出来る、なるほど、なるほど』
『どうしてそんな風に言われなきゃいけないのよ!』
ソアリスからスッと笑みが消えた瞬間だった。
『お前が面白くもねぇ話を私にして来たからだろうが!てめえは何様だ?私は王太子妃で、元は公爵令嬢だぞ?よくも言って来れたものだなぁ?ああ?』
実はこの時が、アンセムもオーランもクイオも、ソアリスの暴言は聞いてはいたが、目でしっかり初めて見た瞬間だった。
この騒動は、アンセムが時期が来たら側妃を娶ると言った、後の出来事である。ゆえに、ようやく解放されたソアリスは全てが吹っ切れていた。使い慣れて過ぎている言葉の数々に、身分も振りかざすことに、戸惑いもない。
そして、その場にいたもの全員が貴族令嬢から、聞いたことのない言葉に慄いた。しかも、彼女は既に王太子妃である。
『ソ、ソアリス…そのくらいで』
『私はね、クソみたいな話を聞くのが、この世で一番嫌いなんだよ!なぜ、私がお前のクソアピールに付き合わなければならない?答えろ!』
『っひ』
もはや、手にナイフや鎌でも持っていたら、拷問官か殺し屋に間違われるほどの威圧感であった。
『妃殿下、妹が申し訳ありませんでした!』
クイオは深く頭を下げた。
『側妃に私は関与していない!そんなになりたいのなら、慎ましい乳房でも、乳首がヒリヒリするくらい擦り込めば、効果があるんじゃないか?二度として来るなよ、次は応援を呼ぶからな』
ケッと言わんばかりに去って行ったソアリスに、皆、呆然とするしかなかった。
応援というのは、ソアリスの友人たちである。ソアリスほど口は悪くないが、美しい言葉のまま、抉り続けることが出来る猛者たちである。
リパールは男っぽいと自称する割に、武術が出来るわけでもなく、騎士になるわけでもなく、兄二人だったために男の子と遊ぶことが多かっただけであった。
ソアリスにあっさり捕まった時点で、力はない。
その後、そもそもリパールに側妃の話などはなく、ソアリスの妊娠が分かったこともあり、クイオは側近を辞そうとしたが、ソアリスも私は側妃に関与はしないと、処罰を望まなかった。
リパールはというと、周りにとても口が悪くて怖かったと吹聴したが、だからどうにかなるわけではない。しかも、ソアリスに会えば、男勝りのテクニシャンと呼ばれて、心が折れて、もう勘弁してくださいと、大人しく嫁いでいった。
今も顔を見るだけで逃げ出していく。
「妹も妖精に操られていたんじゃないか?」
「そそそ、そうです!」
クイオは思い出して、脂汗が流れ出ていた。あの日からオーランとクイオも、ソアリスを怒らせてはならぬと肝に銘じた。
ユリウスはどれだけ変な女に絡まれているのだと、耳を疑い、ルルエも珍しく渋い顔をして聞いている。
『そうだったのね、奥方以外に鼻の下を伸ばすとか?意思とは関係なく、下半身が反応するとか?是非、どういう気持ちなの?教えて頂戴』
ソアリスはさあ!と言わんばかりに、座り込んでいるリパールを、真っ直ぐな眼差しでじっと見つめている。
『それは…』
『あなた、あれでしょう?男っぽいって言われてしまうのと言って、そんなことないよって言われるの待ちの、クソアピール女よね?』
『違うわ!私はそんなこと…』
図星だったが、認めることは恥ずかしかった。
リパールは顔の造形は美しいと言われる方だったが、慎ましい乳房のコンプレックスを抱え、男っぽいって言われるのと言うと、皆がそんなことないよと言ってくれることが、気にしなくていいと言われているようで嬉しかった。
リパールは男っぽいと言ったのだが、ソアリスが男勝りに変換したのだ。
『男っぽいと自称していれば、乳房が慎ましいと、コンプレックスを隠すことも出来る、なるほど、なるほど』
『どうしてそんな風に言われなきゃいけないのよ!』
ソアリスからスッと笑みが消えた瞬間だった。
『お前が面白くもねぇ話を私にして来たからだろうが!てめえは何様だ?私は王太子妃で、元は公爵令嬢だぞ?よくも言って来れたものだなぁ?ああ?』
実はこの時が、アンセムもオーランもクイオも、ソアリスの暴言は聞いてはいたが、目でしっかり初めて見た瞬間だった。
この騒動は、アンセムが時期が来たら側妃を娶ると言った、後の出来事である。ゆえに、ようやく解放されたソアリスは全てが吹っ切れていた。使い慣れて過ぎている言葉の数々に、身分も振りかざすことに、戸惑いもない。
そして、その場にいたもの全員が貴族令嬢から、聞いたことのない言葉に慄いた。しかも、彼女は既に王太子妃である。
『ソ、ソアリス…そのくらいで』
『私はね、クソみたいな話を聞くのが、この世で一番嫌いなんだよ!なぜ、私がお前のクソアピールに付き合わなければならない?答えろ!』
『っひ』
もはや、手にナイフや鎌でも持っていたら、拷問官か殺し屋に間違われるほどの威圧感であった。
『妃殿下、妹が申し訳ありませんでした!』
クイオは深く頭を下げた。
『側妃に私は関与していない!そんなになりたいのなら、慎ましい乳房でも、乳首がヒリヒリするくらい擦り込めば、効果があるんじゃないか?二度として来るなよ、次は応援を呼ぶからな』
ケッと言わんばかりに去って行ったソアリスに、皆、呆然とするしかなかった。
応援というのは、ソアリスの友人たちである。ソアリスほど口は悪くないが、美しい言葉のまま、抉り続けることが出来る猛者たちである。
リパールは男っぽいと自称する割に、武術が出来るわけでもなく、騎士になるわけでもなく、兄二人だったために男の子と遊ぶことが多かっただけであった。
ソアリスにあっさり捕まった時点で、力はない。
その後、そもそもリパールに側妃の話などはなく、ソアリスの妊娠が分かったこともあり、クイオは側近を辞そうとしたが、ソアリスも私は側妃に関与はしないと、処罰を望まなかった。
リパールはというと、周りにとても口が悪くて怖かったと吹聴したが、だからどうにかなるわけではない。しかも、ソアリスに会えば、男勝りのテクニシャンと呼ばれて、心が折れて、もう勘弁してくださいと、大人しく嫁いでいった。
今も顔を見るだけで逃げ出していく。
「妹も妖精に操られていたんじゃないか?」
「そそそ、そうです!」
クイオは思い出して、脂汗が流れ出ていた。あの日からオーランとクイオも、ソアリスを怒らせてはならぬと肝に銘じた。
ユリウスはどれだけ変な女に絡まれているのだと、耳を疑い、ルルエも珍しく渋い顔をして聞いている。
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