95 / 348
変わり種6
しおりを挟む
「以前も時間の無駄だとか、色々言う者もいたそうで、定着しないのですよね。高位貴族が邪魔していることもあったそうですが、この度は心配ないでしょう」
「はい、身に付けて置いて損することはないはずです」
バーセム公爵家、アーラック侯爵家が代表となっている以上、する気があるかは分からないが、オイエン侯爵家だけでは太刀打ち出来ない。
「ええ、敢えて身に付けないことで、あのように振舞えるのかもしれませんね」
「王妃陛下は意に介さない方でしたけども」
「まあ」
「何事にも潔い方ですから、あの手の生徒に王妃陛下を、貶めるのことなど出来るはずがないのです」
「公爵令嬢でしたからね」
「それもそうですが、陛下はきちんと立場を上手く使ってらした」
公爵令息が同じ学年におらず、学年で一番爵位の高いのはソアリスであった。
いくら同じ学生とはいえ、貴族の爵位の関係はどうしても起きてしまう。間違っていても爵位が高い者に、どうしても下の者は言い辛く、我慢するしかない。
だが一番爵位の高いソアリスは、見た目は勝気には見えないが、一緒にいる侯爵令嬢や辺境伯令嬢二人よりも、強く、間違っていることを容赦なく指摘する。そして、処罰は学園に任せる。
学園側に任せるというのは、優しい選択である。ロアンスラー公爵家からという方が本人だけでなく、家を巻き込んで、酷い罰になってしまう。
「学園で起きたことは学園で処罰する、それとももっと過酷な罪をお望みですか。ご希望でしたら仕方がありませんね」
そのように言われた者は、何が行われるのかと、従った方がいいと判断する。
ソアリスは何度も生徒会や風紀委員に勧誘されていたが、困った時には相談してくださいと入ることはなかったが、相談には乗っていた。
だからこそ、王太子妃になると聞いた時は、ソアリス・ロアンスラーなら大丈夫だと、教師も生徒会だった者も思っただろう。
何度か今回のような女生徒を連れて来たこともあった。暴力や暴言ではない、不愉快だという理由なので、どうにかして欲しいという相談である。
「友人でもないこの娘が、クソほど面白くもない自慢話にやって来て、非常にやかましいのですが、どうにかしてくださいませんか?」
「っな、違います!私は仲良くなりたいと思って」
「それならば、クソほど面白くない話しかしないのに、褒められ待ちされますの?それとも、あなたは自分の話が面白いと思っていますの?」
「そ、そうです」
「聞いてもいないのに、令息に髪の毛が美しいと言われた、瞳に吸い込まれそうだと言われた、で?先生、これを何と言いますか?」
リリー・サートスはソアリスのクソほどには、注意したいところではあったが、それよりもである。
「褒められ待ちですね…」
「そうなのです。私たちとは気が合いませんわねぇ」
「「「ええ」」」
その間もソアリスに後ろ手を拘束されたままで、おそらく多くの者に目撃をされながら連れて来たのだろうが、それほどまでに教室で大騒ぎしていたのであろう。おそらく、クラスの生徒に聞けば、証言が得られる。
この令嬢も婚約者のいる令息や、見目のいい令息にすり寄っており、注意をしていたが止めなかった。そして、ソアリスたちの爵位も高い四人組に入ろうとしたのだろう、いや、入ってあげてもいいくらいに思っていたはずだ。
「こ、婚約者もいなくせに!」
「いないことで、あなたに迷惑を掛けたかしら?それとも貶したいだけかしら?」
確かに四人中でソアリス以外には婚約者がいる状況だった。
「後者だったら問題ですわよね?」
「ち、違います」
「では教室で大騒ぎして、褒められ待ちをするような方とは、気が合わないということで、よろしいかしら?」
「っっ」
その後は絡むことはなかったそうだが、図らずしもソアリスが王太子殿下の婚約者になったことで、さらに身を小さくしていた。その頃、ソアリスは嫌だ嫌だと嘆いていたのだが、知る由もない。
「はい、身に付けて置いて損することはないはずです」
バーセム公爵家、アーラック侯爵家が代表となっている以上、する気があるかは分からないが、オイエン侯爵家だけでは太刀打ち出来ない。
「ええ、敢えて身に付けないことで、あのように振舞えるのかもしれませんね」
「王妃陛下は意に介さない方でしたけども」
「まあ」
「何事にも潔い方ですから、あの手の生徒に王妃陛下を、貶めるのことなど出来るはずがないのです」
「公爵令嬢でしたからね」
「それもそうですが、陛下はきちんと立場を上手く使ってらした」
公爵令息が同じ学年におらず、学年で一番爵位の高いのはソアリスであった。
いくら同じ学生とはいえ、貴族の爵位の関係はどうしても起きてしまう。間違っていても爵位が高い者に、どうしても下の者は言い辛く、我慢するしかない。
だが一番爵位の高いソアリスは、見た目は勝気には見えないが、一緒にいる侯爵令嬢や辺境伯令嬢二人よりも、強く、間違っていることを容赦なく指摘する。そして、処罰は学園に任せる。
学園側に任せるというのは、優しい選択である。ロアンスラー公爵家からという方が本人だけでなく、家を巻き込んで、酷い罰になってしまう。
「学園で起きたことは学園で処罰する、それとももっと過酷な罪をお望みですか。ご希望でしたら仕方がありませんね」
そのように言われた者は、何が行われるのかと、従った方がいいと判断する。
ソアリスは何度も生徒会や風紀委員に勧誘されていたが、困った時には相談してくださいと入ることはなかったが、相談には乗っていた。
だからこそ、王太子妃になると聞いた時は、ソアリス・ロアンスラーなら大丈夫だと、教師も生徒会だった者も思っただろう。
何度か今回のような女生徒を連れて来たこともあった。暴力や暴言ではない、不愉快だという理由なので、どうにかして欲しいという相談である。
「友人でもないこの娘が、クソほど面白くもない自慢話にやって来て、非常にやかましいのですが、どうにかしてくださいませんか?」
「っな、違います!私は仲良くなりたいと思って」
「それならば、クソほど面白くない話しかしないのに、褒められ待ちされますの?それとも、あなたは自分の話が面白いと思っていますの?」
「そ、そうです」
「聞いてもいないのに、令息に髪の毛が美しいと言われた、瞳に吸い込まれそうだと言われた、で?先生、これを何と言いますか?」
リリー・サートスはソアリスのクソほどには、注意したいところではあったが、それよりもである。
「褒められ待ちですね…」
「そうなのです。私たちとは気が合いませんわねぇ」
「「「ええ」」」
その間もソアリスに後ろ手を拘束されたままで、おそらく多くの者に目撃をされながら連れて来たのだろうが、それほどまでに教室で大騒ぎしていたのであろう。おそらく、クラスの生徒に聞けば、証言が得られる。
この令嬢も婚約者のいる令息や、見目のいい令息にすり寄っており、注意をしていたが止めなかった。そして、ソアリスたちの爵位も高い四人組に入ろうとしたのだろう、いや、入ってあげてもいいくらいに思っていたはずだ。
「こ、婚約者もいなくせに!」
「いないことで、あなたに迷惑を掛けたかしら?それとも貶したいだけかしら?」
確かに四人中でソアリス以外には婚約者がいる状況だった。
「後者だったら問題ですわよね?」
「ち、違います」
「では教室で大騒ぎして、褒められ待ちをするような方とは、気が合わないということで、よろしいかしら?」
「っっ」
その後は絡むことはなかったそうだが、図らずしもソアリスが王太子殿下の婚約者になったことで、さらに身を小さくしていた。その頃、ソアリスは嫌だ嫌だと嘆いていたのだが、知る由もない。
3,784
お気に入りに追加
7,625
あなたにおすすめの小説
「だから結婚は君としただろう?」
イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。
黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。
救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。
プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。
それを。
あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。
アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。
…そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。
けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。
「君を愛することはない」
と。
わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
婚約者の断罪
玉響
恋愛
ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢には、最愛の人がいる。婚約者である、バイロン・ゼフィランサス侯爵令息だ。
見目麗しく、令嬢たちからの人気も高いバイロンはとても優しく、ミリアリアは幸せな日々を送っていた。
しかし、バイロンが別の令嬢と密会しているとの噂を耳にする。
親友のセシリア・モナルダ伯爵夫人に相談すると、気の強いセシリアは浮気現場を抑えて、懲らしめようと画策を始めるが………。
もう尽くして耐えるのは辞めます!!
月居 結深
恋愛
国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。
婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。
こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?
小説家になろうの方でも公開しています。
2024/08/27
なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。
悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。
ふまさ
恋愛
「──馬鹿馬鹿しい。何だ、この調査報告書は」
ぱさっ。
伯爵令息であるパーシーは、テーブルに三枚に束ねられた紙をほうった。向かい側に座る伯爵令嬢のカーラは、静かに口を開いた。
「きちんと目は通してもらえましたか?」
「むろんだ。そのうえで、もう一度言わせてもらうよ。馬鹿馬鹿しい、とね。そもそもどうして、きみは探偵なんか雇ってまで、こんなことをしたんだ?」
ざわざわ。ざわざわ。
王都内でも評判のカフェ。昼時のいまは、客で溢れかえっている。
「──女のカン、というやつでしょうか」
「何だ、それは。素直に言ったら少しは可愛げがあるのに」
「素直、とは」
「婚約者のぼくに、きみだけを見てほしいから、こんなことをしました、とかね」
カーラは一つため息をつき、確認するようにもう一度訊ねた。
「きちんとその調査報告書に目を通されたうえで、あなたはわたしの言っていることを馬鹿馬鹿しいと、信じないというのですね?」
「き、きみを馬鹿馬鹿しいとは言ってないし、きみを信じていないわけじゃない。でも、これは……」
カーラは「わかりました」と、調査報告書を手に取り、カバンにしまった。
「それではどうぞ、お好きになさいませ」
【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。
川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる