私のバラ色ではない人生

野村にれ

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変わり種6

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「以前も時間の無駄だとか、色々言う者もいたそうで、定着しないのですよね。高位貴族が邪魔していることもあったそうですが、この度は心配ないでしょう」
「はい、身に付けて置いて損することはないはずです」

 バーセム公爵家、アーラック侯爵家が代表となっている以上、する気があるかは分からないが、オイエン侯爵家だけでは太刀打ち出来ない。

「ええ、敢えて身に付けないことで、あのように振舞えるのかもしれませんね」
「王妃陛下は意に介さない方でしたけども」
「まあ」
「何事にも潔い方ですから、あの手の生徒に王妃陛下を、貶めるのことなど出来るはずがないのです」
「公爵令嬢でしたからね」
「それもそうですが、陛下はきちんと立場を上手く使ってらした」

 公爵令息が同じ学年におらず、学年で一番爵位の高いのはソアリスであった。

 いくら同じ学生とはいえ、貴族の爵位の関係はどうしても起きてしまう。間違っていても爵位が高い者に、どうしても下の者は言い辛く、我慢するしかない。

 だが一番爵位の高いソアリスは、見た目は勝気には見えないが、一緒にいる侯爵令嬢や辺境伯令嬢二人よりも、強く、間違っていることを容赦なく指摘する。そして、処罰は学園に任せる。

 学園側に任せるというのは、優しい選択である。ロアンスラー公爵家からという方が本人だけでなく、家を巻き込んで、酷い罰になってしまう。

「学園で起きたことは学園で処罰する、それとももっと過酷な罪をお望みですか。ご希望でしたら仕方がありませんね」

 そのように言われた者は、何が行われるのかと、従った方がいいと判断する。

 ソアリスは何度も生徒会や風紀委員に勧誘されていたが、困った時には相談してくださいと入ることはなかったが、相談には乗っていた。

 だからこそ、王太子妃になると聞いた時は、ソアリス・ロアンスラーなら大丈夫だと、教師も生徒会だった者も思っただろう。

 何度か今回のような女生徒を連れて来たこともあった。暴力や暴言ではない、不愉快だという理由なので、どうにかして欲しいという相談である。

「友人でもないこの娘が、クソほど面白くもない自慢話にやって来て、非常にやかましいのですが、どうにかしてくださいませんか?」
「っな、違います!私は仲良くなりたいと思って」
「それならば、クソほど面白くない話しかしないのに、褒められ待ちされますの?それとも、あなたは自分の話が面白いと思っていますの?」
「そ、そうです」
「聞いてもいないのに、令息に髪の毛が美しいと言われた、瞳に吸い込まれそうだと言われた、で?先生、これを何と言いますか?」

 リリー・サートスはソアリスのクソほどには、注意したいところではあったが、それよりもである。

「褒められ待ちですね…」
「そうなのです。私たちとは気が合いませんわねぇ」
「「「ええ」」」

 その間もソアリスに後ろ手を拘束されたままで、おそらく多くの者に目撃をされながら連れて来たのだろうが、それほどまでに教室で大騒ぎしていたのであろう。おそらく、クラスの生徒に聞けば、証言が得られる。

 この令嬢も婚約者のいる令息や、見目のいい令息にすり寄っており、注意をしていたが止めなかった。そして、ソアリスたちの爵位も高い四人組に入ろうとしたのだろう、いや、入ってあげてもいいくらいに思っていたはずだ。

「こ、婚約者もいなくせに!」
「いないことで、あなたに迷惑を掛けたかしら?それとも貶したいだけかしら?」

 確かに四人中でソアリス以外には婚約者がいる状況だった。

「後者だったら問題ですわよね?」
「ち、違います」
「では教室で大騒ぎして、褒められ待ちをするような方とは、気が合わないということで、よろしいかしら?」
「っっ」

 その後は絡むことはなかったそうだが、図らずしもソアリスが王太子殿下の婚約者になったことで、さらに身を小さくしていた。その頃、ソアリスは嫌だ嫌だと嘆いていたのだが、知る由もない。
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