私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
上 下
82 / 421

団欒3

しおりを挟む
「あと衝撃的事実に気付いたのですが、私が会った時、ルイス殿下、鼻毛は出ていませんでしたわ」
「まさか!嘘でしょう…」

 ソアリスは驚愕の表情を浮かべている。

「興奮して出たのではありませんか」
「ますます気持ち悪いわね…」
「お母様も胸部を見られていたことも、気持ち悪いですよ…」
「私だって視線にまさかと思ったわよ!カイルスは今のところ、私にしか興味がないでしょうけど、ユリウスとマイノスは大丈夫でしょうね?」
「大丈夫よ!そんなことしていたら、三王女が黙ってないわ」

 兄が令嬢の胸部を見ていると言われたら、恥ずかしくて堪らない。

「そんな兄は嫌よね…同世代の子もよろしくないけど、ルイス殿下はばばあにまで興味を持つなんて、よっぽどじゃない!」
「ばばあって…」

 ソアリスは樽にはなりたくないとは思っているが、清潔で人が見て不快でなければいいくらいにしか思っていないが、鍛えている分、十分に若々しい。

 アンセムはばばあで、あることを思い出した。

「アリルが幼い頃にララシャ妃に会った時に、"おば"って言ったんだよ、覚えているか?」
「っえ」
「あの頃、アリルはソアリス以外は"おば"だったからな、伯母には違いないから、間違いではないんだが…多分、おばさん、おばはんの"おば"だろうな…」
「アリルもいい攻撃してるじゃない!」

 ソアリスはさも自分だけではないと、笑っている。

「絶対、お母様の影響でしょう」
「人のせいにしないで頂戴!お母様のことは真似してはいけませんと、口を酸っぱくして言ってあったでしょう?」

 ソアリスは悪い口を直す気もない癖に、子どもたちには駄目だと言い含めていた。

「ソアリス…そんなこと言っていたのか」
「そうよ、だって私を真似たら、輩の集団になってしまうじゃない。教師陣にも私は特殊な訓練を受けているからと、叱るように言ってあったの」
「特殊な訓練…あれだけ聞いていたのに、影響が少ないと思っていた」

 全くないとは言えないが、子どもたちは全員、ソアリスの悪い口を真似する者がおらず、驚いたものだ。

 子どもたちも教師にお母様が言っていたと、汚い言葉を使うことは確かにあったが、ソアリス様は特殊な訓練を受けている、真似するには過酷な訓練が必要だと、脅して貰っていたのだ。

 成長してからただの悪い口だと分かったが、使ってはならぬことも理解した。

「ああ!そうよ!お母様、聞いてないんじゃない?」

 アリルは今日の様子に、言いたいことがあった。

「何?」
「そのララシャ妃、体重が増加しているって」
「うっそ!」

 ソアリスは信じられないと目をまん丸にして、驚いている。

 エクシアーヌが話した時に、ソアリスは既にカイルスと共に眠っており、聞いていなかった。

「エクシアーヌ様が言っていたの」
「痩せていることが誇りだったのに。まさか!樽になっているとか?」
「あり得るかもしれないわよね」
「うわ~樽夫人に、樽王子妃…きっついわ」

 もし樽に似ていたら、ララシャもそうなるかもとは思っていたが、痩せていることが誇りだったので、痩せたままだろうと思っていた。

「下手したら、娘もかもしれないぞ?」
「ええ…」
「一人娘だろう?絶対、甘やかしているだろう?」
「確か、ミフルと同じ年だったわよね」
「ミフルと並ばされたら、悲惨なことになるかもしれないわね」

 顔を見たこともないので、分からないが、ミフルは本人が認めることはないが、絶世の美少女である。太刀打ちできる者はなかなかいない。

「今日のことで、会うこともないだろう」
「そうね!」
「そうかしら…何だか嫌な予感がするわ」
「止めてよ」
「そうだ、ソアリスの勘は今回も当たったじゃないか」

 この嫌な勘は当たるのか、当たらないのか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元婚約者の落ちぶれた公爵と寝取った妹が同伴でやって来た件

岡暁舟
恋愛
「あらあら、随分と落ちぶれたんですね」 私は元婚約者のポイツ公爵に声をかけた。そして、公爵の傍には彼を寝取った妹のペニーもいた。

わたし、何度も忠告しましたよね?

柚木ゆず
恋愛
 ザユテイワ侯爵令嬢ミシェル様と、その取り巻きのおふたりへ。わたしはこれまで何をされてもやり返すことはなく、その代わりに何度も苦言を呈してきましたよね?  ……残念です。  貴方がたに優しくする時間は、もうお仕舞です。  ※申し訳ございません。体調不良によりお返事をできる余裕がなくなっておりまして、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じさせていただきます。

アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚

里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」  なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。  アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。

義妹が私に毒を持ったので、飲んだふりをして周りの反応を見て見る事にしました

新野乃花(大舟)
恋愛
義姉であるラナーと義妹であるレベッカは、ラナーの婚約者であるロッドを隔ててぎくしゃくとした関係にあった。というのも、義妹であるレベッカが一方的にラナーの事を敵対視し、関係を悪化させていたのだ。ある日、ラナーの事が気に入らないレベッカは、ラナーに渡すワインの中にちょっとした仕掛けを施した…。その結果、2人を巻き込む関係は思わぬ方向に進んでいくこととなるのだった…。

【完結】研究一筋令嬢の朝

彩華(あやはな)
恋愛
研究二徹夜明けすぐに出席した、王立学園高等科、研究科卒業式後のダンスパーティ。そこで、婚約者である第二王子に呼び出された私こと、アイリ・マクアリス。婚約破棄?!いじめ?隣の女性は誰?なんでキラキラの室長までもが来るの?・・・もう、どうでもいい!!私は早く帰って寝たいの、寝たいのよ!!室長、後は任せます!! ☆初投稿になります。よろしくお願いします。三人目線の三部作になります。

【完結】地味令嬢の願いが叶う刻

白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。 幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。 家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、 いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。 ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。 庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。 レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。 だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。 喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…  異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

どんなに私が愛しても

豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。 これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

処理中です...