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人気者王女の末路1
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シシリーヌの前には、リガルタ陛下とマリエンヌ王妃。身体に影響があってはならないと、スディア王太子妃は実家に戻らせている。
「あちらでの行動を全て報告を受けた。何か言い訳があるなら、先にしなさい」
シシリーヌには覆すような成果はないことから、言うことが出来ない。さすがに嘘を言っても、同意してくれるとは思えない。
だが、クロンデール王国には理解して貰えなかっただけで、責められるようなことは、止められたので起こしていない。
「私は良かれと思ってのことでしたの。第一王女の方がいいに決まっていますでしょう?ですが、分かっていただけないようでしたので、教えて差し上げようと思ったのですが、あっ、そうですの、殿下たちには侍女が付いていたんですのよ。女性を側に置くなんて、信じられませんでしょう?」
ゾル王国では王族に護衛以外の異性が付くことはない、護衛も既婚者で、緊急事態以外は触れたりすることも禁止であった。
「それだけか?」
「っえ、ええ」
「まず、なぜエクシアーヌに勝手に付いて行ったのだ?」
「クロンデール王国に行ってみたかったのです」
シシリーヌは相変わらずの凛とした姿で、答えた。
「それならば、きちんと手続きをしてからだろう?勝手に行って、迷惑を掛けた自覚もないのか?」
「エクシアーヌの姉として、挨拶をして置きたかったのです」
「答えになっていない」
リガルタは呆れるしかなかった。いつも質問に答えになっていないようなことしか言わない。いつもは面倒になって切り上げるが、今回はそうはいかない。
「なぜエクシアーヌの婚約者を奪おうとした?」
「奪おうとなんて人聞きの悪い。第二王女より、第一王女の方がいいからに決まっているではありませんか」
「誰がそんなこと言った?」
「言わなくても分かりますわ。第一王女と第二王女なら、第一王女がいいに決まっているでしょう?」
「婚約を白紙にされたのにか?」
話をしたはずなのに、まだ自分に価値があると思っているのか、思わないと自我が保てないのか。
「そ、それはパトリックが勝手に」
「ダソール公爵令息だ、二度と呼び捨てにするな!」
「解消したからって、名前を呼ぶくらいいいじゃない!」
「だったら、お前に婚約者がいて、前の婚約者を名前で呼んでいても、構わないというのだな。よく分かった。だが、ダソール公爵家の要望だ。今後、パトリックの名前を呼ぶことは許さない!」
「どうして私が悪いみたいに言うのよ!婚約を白紙にされて、妹とクロンデール王国に行っただけでしょう?」
リガルタは開き直るシシリーヌに、深く溜息を吐いた。
「何が悪いかを説明しなきゃならないのか?それほどまでに愚かなのか?」
「悪いことになんてしていないわ!」
「それは止められたから、何も出来なかったの間違いでしょう?」
黙っていたマリエンヌもついに口を開いた。
「まず勝手にクロンデール王国に行こうとしたこと。ユリウス殿下とマイノス殿下に、不適切な距離を取ろうとしたこと。自分の方が婚約者に相応しいと言ったこと。マイノス殿下の私室に夜中に訪ねて、押し入ろうとしたこと。きちんとした理由が言えるのなら、言ってみなさい!」
「だから、私は良かれと思って」
「痴女のような真似をした理由を言いなさい!」
マリエンヌも口が悪いわけではないが、シシリーヌがしたことをどうしても痴女だとしか思えなかった。
「痴女って…何てことを言うの!」
「婚約者のいる相手に近付こうとしたり、夜に押し掛けたり、あなたが逆だったらどうですか?何もしていないと言えますか?パトリックが女性と話していただけで怒鳴り散らしていた、嫉妬深い、あなたが?」
シシリーヌには妹の婚約者とその兄にすり寄ろうとした、事実だけが圧し掛かる。
「あちらでの行動を全て報告を受けた。何か言い訳があるなら、先にしなさい」
シシリーヌには覆すような成果はないことから、言うことが出来ない。さすがに嘘を言っても、同意してくれるとは思えない。
だが、クロンデール王国には理解して貰えなかっただけで、責められるようなことは、止められたので起こしていない。
「私は良かれと思ってのことでしたの。第一王女の方がいいに決まっていますでしょう?ですが、分かっていただけないようでしたので、教えて差し上げようと思ったのですが、あっ、そうですの、殿下たちには侍女が付いていたんですのよ。女性を側に置くなんて、信じられませんでしょう?」
ゾル王国では王族に護衛以外の異性が付くことはない、護衛も既婚者で、緊急事態以外は触れたりすることも禁止であった。
「それだけか?」
「っえ、ええ」
「まず、なぜエクシアーヌに勝手に付いて行ったのだ?」
「クロンデール王国に行ってみたかったのです」
シシリーヌは相変わらずの凛とした姿で、答えた。
「それならば、きちんと手続きをしてからだろう?勝手に行って、迷惑を掛けた自覚もないのか?」
「エクシアーヌの姉として、挨拶をして置きたかったのです」
「答えになっていない」
リガルタは呆れるしかなかった。いつも質問に答えになっていないようなことしか言わない。いつもは面倒になって切り上げるが、今回はそうはいかない。
「なぜエクシアーヌの婚約者を奪おうとした?」
「奪おうとなんて人聞きの悪い。第二王女より、第一王女の方がいいからに決まっているではありませんか」
「誰がそんなこと言った?」
「言わなくても分かりますわ。第一王女と第二王女なら、第一王女がいいに決まっているでしょう?」
「婚約を白紙にされたのにか?」
話をしたはずなのに、まだ自分に価値があると思っているのか、思わないと自我が保てないのか。
「そ、それはパトリックが勝手に」
「ダソール公爵令息だ、二度と呼び捨てにするな!」
「解消したからって、名前を呼ぶくらいいいじゃない!」
「だったら、お前に婚約者がいて、前の婚約者を名前で呼んでいても、構わないというのだな。よく分かった。だが、ダソール公爵家の要望だ。今後、パトリックの名前を呼ぶことは許さない!」
「どうして私が悪いみたいに言うのよ!婚約を白紙にされて、妹とクロンデール王国に行っただけでしょう?」
リガルタは開き直るシシリーヌに、深く溜息を吐いた。
「何が悪いかを説明しなきゃならないのか?それほどまでに愚かなのか?」
「悪いことになんてしていないわ!」
「それは止められたから、何も出来なかったの間違いでしょう?」
黙っていたマリエンヌもついに口を開いた。
「まず勝手にクロンデール王国に行こうとしたこと。ユリウス殿下とマイノス殿下に、不適切な距離を取ろうとしたこと。自分の方が婚約者に相応しいと言ったこと。マイノス殿下の私室に夜中に訪ねて、押し入ろうとしたこと。きちんとした理由が言えるのなら、言ってみなさい!」
「だから、私は良かれと思って」
「痴女のような真似をした理由を言いなさい!」
マリエンヌも口が悪いわけではないが、シシリーヌがしたことをどうしても痴女だとしか思えなかった。
「痴女って…何てことを言うの!」
「婚約者のいる相手に近付こうとしたり、夜に押し掛けたり、あなたが逆だったらどうですか?何もしていないと言えますか?パトリックが女性と話していただけで怒鳴り散らしていた、嫉妬深い、あなたが?」
シシリーヌには妹の婚約者とその兄にすり寄ろうとした、事実だけが圧し掛かる。
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