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禍害(裏)2
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「だが、エクシアーヌ王女は保護すればいいんじゃないか?」
「まだ私の予想の範囲内なのよ。そうだと分かっているのなら、私が来た瞬間に迎え撃つわよ!下衆で下劣で、下品な王女は国へ帰れ!とな」
「…ん、ああ」
「証拠がないから、迎え撃つ準備を整えるの。エクシアーヌ王女にはマイノスと、王女の誰かにこちらに任せて欲しいと話して置いてもらうわ」
「それがいいな」
板挟みになってしまうエクシアーヌ王女を、不安にさせては可哀想だ。
「あと、目的は気力を削ぐことよ?」
「それはそうだが」
「エクシアーヌ王女がマイノスに会える状態だと、シシリーヌも出て来るでしょう。どうして私は駄目なの?なんて言い出すわ。ルルエ嬢のこともあるのだから、忙しいと遠ざけるのが無難よ」
「そう、だな」
勝手に接触して、誤解を招いて、ルルエ嬢を傷付けるようなことになっても困る。
「王女に対応させるのは賛成だ」
王女たちが対応すれば、同性であり、誤解を招くこともなく、王家に蔑ろにされているわけではないと理解して貰えるはずだ。
「だが、カイルスを差し向けるとは?」
「あの子は私の意のままだもの。ちょっとかあさま、あのお姉ちゃんにいじめられたのなんて吹き込めば、やっつけに行くわ」
「何てことを…」
だが、カイルスは悪い奴だと認定して、「おかあさまをいじめるなんてひどい」と言い出すに決まっている。
「どうして?私に無駄な時間を使わせるのだから、嫌がらせじゃない。言わばいじめよ。小さい子に嫌われると、心証ってとても悪いでしょう?ほほほほほ」
とても理不尽で問題があるように思えるが、作戦としては真っ当である。
「何も起きなければ、それで良し。起きたら迎え撃つだけよ」
「分かった、配置を考えよう」
「キャロライン、どうかしら?」
今日の侍女は、キャロライン・パッセ侯爵夫人。もう一人侍女を取ると聞いて、メディナ・コンクレット侯爵夫人、ポーリア・ラーバ伯爵夫人に自ら何度も何度も頼みに行って、侍女に推薦して貰った逸材である。
「はい、王妃様。起きなければよろしいかとは存じますが、王妃様の勘は当たります。私も賛同いたします。メディナ様、ポーリア様にはすぐに連絡いたします」
「よろしく」
「はっ!御前失礼いたします」
アンセムはその姿に、私の側近よりも、側近らしいではないかと思った。
王妃の侍女メディナ、ポーリア、キャロラインはソアリスとユリウスとマイノスに一人ずつ付き、監視と報告を回しながら行動することになった。
カイルス以外の子どもたちにも説明と、これからの動きが説明された。
「エクシアーヌ王女は大丈夫でしょうか」
「婚約者らしい発言で、素晴らしいじゃないか、マイノス!」
「母上、揶揄わないでください」
「今のところは大丈夫だろう、ソアリスの言うことが当たっていないといいが…ただ、会ったこともない者を何も見ない内に判断すべきではないからな」
5人はそうですねと、アンセムの言葉に同意した。
「やらかしてくれた方が早く帰ると思うけどね」
「ソアリス!」
「大丈夫よ、やらかさなくても最悪、カイルス砲があるから、カイルスが嫌がっていると帰らせればいいわ」
「何てことを考えているんだ…」
「大丈夫、いける、いける!よよよと泣き真似でもすれば、カイルスは私のために立ち向かうわ」
皆、何か言い返したいが、何も言えなかった。
最近、計算の苦手なソアリスは書類を二重確認だと、カイルスに持って行かせて、「おにいちゃま、おねえちゃま、よろしくおねがいしまし」と言って、断れないのを分かっていて、運ばせているのだ。
「「「「「否定できないことが悔しい!」」」」」
そして、クロンデール王国にシシリーヌとエクシアーヌがやって来た。
「まだ私の予想の範囲内なのよ。そうだと分かっているのなら、私が来た瞬間に迎え撃つわよ!下衆で下劣で、下品な王女は国へ帰れ!とな」
「…ん、ああ」
「証拠がないから、迎え撃つ準備を整えるの。エクシアーヌ王女にはマイノスと、王女の誰かにこちらに任せて欲しいと話して置いてもらうわ」
「それがいいな」
板挟みになってしまうエクシアーヌ王女を、不安にさせては可哀想だ。
「あと、目的は気力を削ぐことよ?」
「それはそうだが」
「エクシアーヌ王女がマイノスに会える状態だと、シシリーヌも出て来るでしょう。どうして私は駄目なの?なんて言い出すわ。ルルエ嬢のこともあるのだから、忙しいと遠ざけるのが無難よ」
「そう、だな」
勝手に接触して、誤解を招いて、ルルエ嬢を傷付けるようなことになっても困る。
「王女に対応させるのは賛成だ」
王女たちが対応すれば、同性であり、誤解を招くこともなく、王家に蔑ろにされているわけではないと理解して貰えるはずだ。
「だが、カイルスを差し向けるとは?」
「あの子は私の意のままだもの。ちょっとかあさま、あのお姉ちゃんにいじめられたのなんて吹き込めば、やっつけに行くわ」
「何てことを…」
だが、カイルスは悪い奴だと認定して、「おかあさまをいじめるなんてひどい」と言い出すに決まっている。
「どうして?私に無駄な時間を使わせるのだから、嫌がらせじゃない。言わばいじめよ。小さい子に嫌われると、心証ってとても悪いでしょう?ほほほほほ」
とても理不尽で問題があるように思えるが、作戦としては真っ当である。
「何も起きなければ、それで良し。起きたら迎え撃つだけよ」
「分かった、配置を考えよう」
「キャロライン、どうかしら?」
今日の侍女は、キャロライン・パッセ侯爵夫人。もう一人侍女を取ると聞いて、メディナ・コンクレット侯爵夫人、ポーリア・ラーバ伯爵夫人に自ら何度も何度も頼みに行って、侍女に推薦して貰った逸材である。
「はい、王妃様。起きなければよろしいかとは存じますが、王妃様の勘は当たります。私も賛同いたします。メディナ様、ポーリア様にはすぐに連絡いたします」
「よろしく」
「はっ!御前失礼いたします」
アンセムはその姿に、私の側近よりも、側近らしいではないかと思った。
王妃の侍女メディナ、ポーリア、キャロラインはソアリスとユリウスとマイノスに一人ずつ付き、監視と報告を回しながら行動することになった。
カイルス以外の子どもたちにも説明と、これからの動きが説明された。
「エクシアーヌ王女は大丈夫でしょうか」
「婚約者らしい発言で、素晴らしいじゃないか、マイノス!」
「母上、揶揄わないでください」
「今のところは大丈夫だろう、ソアリスの言うことが当たっていないといいが…ただ、会ったこともない者を何も見ない内に判断すべきではないからな」
5人はそうですねと、アンセムの言葉に同意した。
「やらかしてくれた方が早く帰ると思うけどね」
「ソアリス!」
「大丈夫よ、やらかさなくても最悪、カイルス砲があるから、カイルスが嫌がっていると帰らせればいいわ」
「何てことを考えているんだ…」
「大丈夫、いける、いける!よよよと泣き真似でもすれば、カイルスは私のために立ち向かうわ」
皆、何か言い返したいが、何も言えなかった。
最近、計算の苦手なソアリスは書類を二重確認だと、カイルスに持って行かせて、「おにいちゃま、おねえちゃま、よろしくおねがいしまし」と言って、断れないのを分かっていて、運ばせているのだ。
「「「「「否定できないことが悔しい!」」」」」
そして、クロンデール王国にシシリーヌとエクシアーヌがやって来た。
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