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禍害1
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「エクシアーヌ」
「お姉、様?なぜここに?」
エクシアーヌたちは鉄道から降り、今日泊まるホテルに移動しようとしていると、姉・シシリーヌがいたのだ。
「私もこっそり付いて来たの。クロンデール王国に行ってみたいの。いいでしょう?あなただけずるいわ」
ずるいには別の意味を持っているように感じた。パトリック様と婚約を解消してから、静かにはなっていたが、気分屋であることは変わらない。
「お父様には許可を得たのですか?」
「内緒に決まっているじゃない」
「えっ?」
後ろに控えていた侍女が声を上げ、許可を取ったと言って連れて来たのだろうと察した。仕方がないので、とりあえずホテルで追加で部屋を取り、事情を書いて、急いでお父様に届けてもらうように頼んだ。
スディアが妊娠中ということもあるので、このまま喧嘩になってシシリーヌを返して、面倒なことになっても困る。かといって勝手にクロンデール王国に連れて行くわけにも行かない。お父様からの返事を待つしかない。
一日が経ち、クロンデール王国から許可を得たから、シシリーヌも連れて向かいなさいと父から返事があった。
迎えに来て欲しいと願っていたが、そうはいかないようだ。
そして、ソアリス王妃が何を言っても、毅然とした態度を取ること、全て任せてしまいなさい、絶対よと母の字で書いてあった。
どういう意味だろうと思ったが、ソアリス王妃は姿勢のいい、美しくもあるが、可愛らしい方だと思った。あの方が追い返すか、説得してくれるのだろうか、確かに私では姉を説得は出来ないだろう。
一体、姉は何のために行くのか、両親が婚約者を探していると聞いているが、自分で探そうとでも思っているのだろうか。
その間、シシリーヌはというと、侍女と私の護衛と一緒にホテルの周りを優雅に散策していたそうだ。
丸一日遅くなってしまったが、再び鉄道に乗り、横で楽しみねと機嫌のいいシシリーヌに、憂鬱な気持ちを抱えたまま、クロンデール王国にやって来た。
「ようこそお越しくださいました。クロンデール王国、第一王女、アリル・グレンバレンでございます。シシリーヌ王女殿下はお初にお目にかかります。お疲れでしょう。部屋にご案内いたします」
現れたのはアリル王女であった。
「シシリーヌ・ゾルワンでございます。無理を言って申し訳ありませんでした、どうしてもクロンデール王国に来てみたかったものですから」
「それはありがとうございます。エクシアーヌ様、お久しぶりですね。兄は後で顔を出しますので、私で我慢してくださいね」
「いっ、いえ、ありがとうございます」
シシリーヌとエクシアーヌはそれぞれ部屋に案内され、エクシアーヌが部屋に入ると、アリル王女がささっと一緒に入室した。
「シシリーヌ王女はご両親から、我が母ソアリスに一任されました」
「そうだったのですね。ご迷惑をお掛けして、申し訳ありません」
「エクシアーヌ様のせいではありません、勝手に付いて来られたのでしょう?」
「はい、気付いたら後ろに…」
アリルの様子に事情はきちんと伝わっているようだと安心した。
「まあ、怖い!ただし、母が嫌になっても、兄のことは嫌わないでやってください。お願いします」
「そんなことあり得ません」
「そうだといいのですが…いずれ分かると思いますが、とにかく母が何を言っても、黙っていることが得策です。いいですね?」
「は、い…」
アリル王女は強く頷いて、去って行った。だが、エクシアーヌが嫌われるのなら分かるが、ソアリス王妃を嫌うことはないだろう。
実はとても怖い方なのかしらと思ったが、王妃は並大抵の精神ではやっていけない。強くて当たり前、強くないとやっていけないと母が言っていた。特に今回は悪いのはこちらなのだから、何があっても耐えようと身を引き締めた。
「お姉、様?なぜここに?」
エクシアーヌたちは鉄道から降り、今日泊まるホテルに移動しようとしていると、姉・シシリーヌがいたのだ。
「私もこっそり付いて来たの。クロンデール王国に行ってみたいの。いいでしょう?あなただけずるいわ」
ずるいには別の意味を持っているように感じた。パトリック様と婚約を解消してから、静かにはなっていたが、気分屋であることは変わらない。
「お父様には許可を得たのですか?」
「内緒に決まっているじゃない」
「えっ?」
後ろに控えていた侍女が声を上げ、許可を取ったと言って連れて来たのだろうと察した。仕方がないので、とりあえずホテルで追加で部屋を取り、事情を書いて、急いでお父様に届けてもらうように頼んだ。
スディアが妊娠中ということもあるので、このまま喧嘩になってシシリーヌを返して、面倒なことになっても困る。かといって勝手にクロンデール王国に連れて行くわけにも行かない。お父様からの返事を待つしかない。
一日が経ち、クロンデール王国から許可を得たから、シシリーヌも連れて向かいなさいと父から返事があった。
迎えに来て欲しいと願っていたが、そうはいかないようだ。
そして、ソアリス王妃が何を言っても、毅然とした態度を取ること、全て任せてしまいなさい、絶対よと母の字で書いてあった。
どういう意味だろうと思ったが、ソアリス王妃は姿勢のいい、美しくもあるが、可愛らしい方だと思った。あの方が追い返すか、説得してくれるのだろうか、確かに私では姉を説得は出来ないだろう。
一体、姉は何のために行くのか、両親が婚約者を探していると聞いているが、自分で探そうとでも思っているのだろうか。
その間、シシリーヌはというと、侍女と私の護衛と一緒にホテルの周りを優雅に散策していたそうだ。
丸一日遅くなってしまったが、再び鉄道に乗り、横で楽しみねと機嫌のいいシシリーヌに、憂鬱な気持ちを抱えたまま、クロンデール王国にやって来た。
「ようこそお越しくださいました。クロンデール王国、第一王女、アリル・グレンバレンでございます。シシリーヌ王女殿下はお初にお目にかかります。お疲れでしょう。部屋にご案内いたします」
現れたのはアリル王女であった。
「シシリーヌ・ゾルワンでございます。無理を言って申し訳ありませんでした、どうしてもクロンデール王国に来てみたかったものですから」
「それはありがとうございます。エクシアーヌ様、お久しぶりですね。兄は後で顔を出しますので、私で我慢してくださいね」
「いっ、いえ、ありがとうございます」
シシリーヌとエクシアーヌはそれぞれ部屋に案内され、エクシアーヌが部屋に入ると、アリル王女がささっと一緒に入室した。
「シシリーヌ王女はご両親から、我が母ソアリスに一任されました」
「そうだったのですね。ご迷惑をお掛けして、申し訳ありません」
「エクシアーヌ様のせいではありません、勝手に付いて来られたのでしょう?」
「はい、気付いたら後ろに…」
アリルの様子に事情はきちんと伝わっているようだと安心した。
「まあ、怖い!ただし、母が嫌になっても、兄のことは嫌わないでやってください。お願いします」
「そんなことあり得ません」
「そうだといいのですが…いずれ分かると思いますが、とにかく母が何を言っても、黙っていることが得策です。いいですね?」
「は、い…」
アリル王女は強く頷いて、去って行った。だが、エクシアーヌが嫌われるのなら分かるが、ソアリス王妃を嫌うことはないだろう。
実はとても怖い方なのかしらと思ったが、王妃は並大抵の精神ではやっていけない。強くて当たり前、強くないとやっていけないと母が言っていた。特に今回は悪いのはこちらなのだから、何があっても耐えようと身を引き締めた。
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