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マイノスの縁談
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「マイノスと気が合えばいいかもしれませんわね」
「甥御さんよね?」
「ええ、ちょうど年も一つしか変わりませんし」
エクシアーヌはマイノスの一つ年下になり、ただ相手が王女なのに、王太子ではない。ユリウスには既に婚約者がいるのだ。
「ただ、王太子ではないですが…」
「王太子でない方がいいの。シシリーヌが何を言い出すか、分からないもの」
「ああ…」
シシリーヌの相手は公爵家で、王太子の婚約者となれば、面白くないのだろう。第二王子ならギリギリというところだろうか。
「これは内緒なのだけど、シシリーヌを他国にって話もあったのだけど、あんな感じでしょう?絶対迷惑を掛けると思って、かと言ってエクシアーヌをってなれば、シシリーヌが嫉妬するから」
「なるほど…」
シシリーヌは扱い易いとは言えないので、問題になる可能性はある。
「メンタルは強いですよね?義妹がなかなか強い性格をしているですが」
「っえ、ソアリス王妃様が?」
「ええ、私と気が合うと言えば分かりますでしょう?」
アイリーンとマリエンヌ王妃は、年はマリエンヌの方が4つ上だが、片や元王女で公爵夫人、片や元侯爵令嬢で現王妃というひっくり返したような立場ながら、最初は探り探りだったが、現在は気兼ねのないほど親しくなっている。
「では私とも気が合いそうだわ!」
「確かにそうですわね」
「エクシアーヌなら大丈夫よ。毎度毎度、シシリーヌのあの理不尽をぶつけられ続けているんだから」
マリアンヌも注意するのだが、シシリーヌは自分は間違っていないと、自分の正しい道をマリエンヌにもエクシアーヌに押し付け続けている。
エクシアーヌは聞き流すようにしているようで、関係性は全く改善しない。
「分かりました、弟に聞いてみましょう。ただ決定ではなく、お互いに相性が良ければでよろしいですか?」
「ええ、勿論よ。エクシアーヌにもいい環境にいて欲しいですから」
「そうですね、シシリーヌ殿下は大丈夫ですの?」
「さあ、もう何を言ってもお手上げよ。正直、分からないわ。ただ破綻しても、国内なら回収はすぐに出来ますからね」
シシリーヌは現在17歳で、そろそろ結婚の話も出てもいいのだが、まだ何も決まっていない。
どうも婚約者である公爵令息にも同じように考えを押し付け、私がこれだけの愛を渡したのだから、同じくらい愛してくれないとなどと言い、困らせているそうだ。
両陛下も説得したのだが、何がいけないことなのか分からないと、話にならない。
だからこそ、破綻することも視野に入れており、公爵家から願い出られたら、受け入れるのではないだろうか。そうなると、婚約者がいなくなり、どうするつもりなのか分からないが、アイリーンが口を出すことではない。
二人の兄である王太子は、既に結婚しているので、次代については問題ない。
アンセムに文が届き、マイノスにも伝えられた。だが、相手を聞くと、眉間に皺を寄せた。
「私は王太子には絶対なりませんけど、いいのですか?」
「ああ、その方がいいそうだ」
「どういうことですか?」
シシリーヌ王女との確執を話すと、マイノスは深く頷いた。
「そんなことが起きるのですね」
「ああ、そうらしい。我が国は皆、仲が良いからな」
「ミフルの時に少しピリピリしましたけどね」
「あれはソアリスがキレたからな」
「やっぱり…」
ミフルも幼かったこともあり、気にしてはいけないと、きょうだいも口に出すことはなかったが、態度が改められたことにはさすがに気付いていた。
「お前たちはミフルを顔だけのすっからかんにしたいのか?とな」
「言いそうですね、母上と敵対しない相手なら私はいいですよ」
「アイリーン姉様曰く、大丈夫ではないかということだ。アイリーンが責任を持って迎えに来て、送ってくれるそうだ、行ってみるか?」
「はい」
マイノスはアイリーンが迎えに来て、ゾル王国に旅立って行った。
「甥御さんよね?」
「ええ、ちょうど年も一つしか変わりませんし」
エクシアーヌはマイノスの一つ年下になり、ただ相手が王女なのに、王太子ではない。ユリウスには既に婚約者がいるのだ。
「ただ、王太子ではないですが…」
「王太子でない方がいいの。シシリーヌが何を言い出すか、分からないもの」
「ああ…」
シシリーヌの相手は公爵家で、王太子の婚約者となれば、面白くないのだろう。第二王子ならギリギリというところだろうか。
「これは内緒なのだけど、シシリーヌを他国にって話もあったのだけど、あんな感じでしょう?絶対迷惑を掛けると思って、かと言ってエクシアーヌをってなれば、シシリーヌが嫉妬するから」
「なるほど…」
シシリーヌは扱い易いとは言えないので、問題になる可能性はある。
「メンタルは強いですよね?義妹がなかなか強い性格をしているですが」
「っえ、ソアリス王妃様が?」
「ええ、私と気が合うと言えば分かりますでしょう?」
アイリーンとマリエンヌ王妃は、年はマリエンヌの方が4つ上だが、片や元王女で公爵夫人、片や元侯爵令嬢で現王妃というひっくり返したような立場ながら、最初は探り探りだったが、現在は気兼ねのないほど親しくなっている。
「では私とも気が合いそうだわ!」
「確かにそうですわね」
「エクシアーヌなら大丈夫よ。毎度毎度、シシリーヌのあの理不尽をぶつけられ続けているんだから」
マリアンヌも注意するのだが、シシリーヌは自分は間違っていないと、自分の正しい道をマリエンヌにもエクシアーヌに押し付け続けている。
エクシアーヌは聞き流すようにしているようで、関係性は全く改善しない。
「分かりました、弟に聞いてみましょう。ただ決定ではなく、お互いに相性が良ければでよろしいですか?」
「ええ、勿論よ。エクシアーヌにもいい環境にいて欲しいですから」
「そうですね、シシリーヌ殿下は大丈夫ですの?」
「さあ、もう何を言ってもお手上げよ。正直、分からないわ。ただ破綻しても、国内なら回収はすぐに出来ますからね」
シシリーヌは現在17歳で、そろそろ結婚の話も出てもいいのだが、まだ何も決まっていない。
どうも婚約者である公爵令息にも同じように考えを押し付け、私がこれだけの愛を渡したのだから、同じくらい愛してくれないとなどと言い、困らせているそうだ。
両陛下も説得したのだが、何がいけないことなのか分からないと、話にならない。
だからこそ、破綻することも視野に入れており、公爵家から願い出られたら、受け入れるのではないだろうか。そうなると、婚約者がいなくなり、どうするつもりなのか分からないが、アイリーンが口を出すことではない。
二人の兄である王太子は、既に結婚しているので、次代については問題ない。
アンセムに文が届き、マイノスにも伝えられた。だが、相手を聞くと、眉間に皺を寄せた。
「私は王太子には絶対なりませんけど、いいのですか?」
「ああ、その方がいいそうだ」
「どういうことですか?」
シシリーヌ王女との確執を話すと、マイノスは深く頷いた。
「そんなことが起きるのですね」
「ああ、そうらしい。我が国は皆、仲が良いからな」
「ミフルの時に少しピリピリしましたけどね」
「あれはソアリスがキレたからな」
「やっぱり…」
ミフルも幼かったこともあり、気にしてはいけないと、きょうだいも口に出すことはなかったが、態度が改められたことにはさすがに気付いていた。
「お前たちはミフルを顔だけのすっからかんにしたいのか?とな」
「言いそうですね、母上と敵対しない相手なら私はいいですよ」
「アイリーン姉様曰く、大丈夫ではないかということだ。アイリーンが責任を持って迎えに来て、送ってくれるそうだ、行ってみるか?」
「はい」
マイノスはアイリーンが迎えに来て、ゾル王国に旅立って行った。
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